以下の資料から、関連する記述を確認しました。複数の説が見受けられます。
・『植物和名の語源』新装版(深津正/著 八坂書房 1999)
p.264-265 「III 植物和名語源散歩」「テイカカズラ」の項に、謡曲『定家』のあらすじと、これがテイカカズラの名前の由来である旨の記載があります。
・『図説草木名彙辞典』(柏書房 1991)
p.260 「ていかかずら【定家葛】テイカカヅラ」項の注記に「和名は、一説に謡曲「定家」の一節によるとも、植生地の「庭下」からとも」とあります。
・『野草大百科』(山田卓三/監修 北隆館 1992)
p.127 「テイカカズラ」の項に、和名について「藤原定家が没した時、定家にあこがれていた女性達が、つたかずらとなってその墓を覆いつくしたからとも、後白河天皇の皇女、式子内親王の墓に定家の執念がまとわりついて花となったともいわれている。」とあります。
・『野外植物民俗事苑』(長沢武/編著 ほおずき書籍/発行 星雲社/発売 2012)
p.262-263 「テイカカズラ[定家鬘](キョウチクトウ科)」項の「名前の由来と方言」に「「定家鬘」で、鎌倉時代の歌人藤原定家の墓に生えたので名が付いたといわれる蔓植物。」とあり、「民俗事項」の項には謡曲「定家蔦」が関係の深い物語といわれているとあります。
・『日本国語大辞典 第9巻(ちゆうひ-とん)』 第2版(日本国語大辞典第二版編集委員会,小学館国語辞典編集部/編 小学館 2001)
p.539 「ていか‐かずら …かづら【定家葛】」の項に、謡曲「定家」の一部が引用されています。また、語源説の一つに謡曲「定家」があげられています。
・『俚言集覧 中巻』増補(村田了阿/編 名著刊行会 1965)
p.691 「増 ていかかつら」の項に「絡石(増)京都相國寺中定家の墓に絡石まとひしより此名ありといふ」とあります。
・『和漢三才図会 17』(寺島良安/著 島田勇雄/ほか訳注 平凡社 1991)
p.253-254 「絡石 ていかかずら ロツシツ」項に「…(略)…俗に定家葛という。伝えによれば黄門の定家卿(藤原定家。黄門は中納言の呼称)の古墳の石に生えた。それでこう名づけるのだという。」とあります。
以下の資料にお求めの記述は確認できませんでした。
・『日本古典全集 第16巻 本草和名』(正宗敦夫/編 現代思潮社 1978)
※日本古典全集刊行会より発行の復刻
・『日本大百科全書 16』(小学館 1987)
・『植物の名前のつけかた 植物学名入門』新装版
(L.H.ベイリー/著 八坂書房編集部/訳 八坂書房 2000)
・『花の名前 花ことば・花データ・由来がわかる,庭の花・花屋さんの花・園芸店の花522種』
(浜田豊/著 日東書院 2003)
・『新牧野日本植物圖鑑』(牧野富太郎/原著,大橋広好,邑田仁,岩槻邦男/編 北隆館 2008)
・『植物の百科事典』(石井龍一/ほか編 朝倉書店 2009)
・『世界大百科事典 19(テ-トウク) 2011年改訂新版』(平凡社 2011)
・『和漢古典植物名精解』(木下武司/著 和泉書院 2017)
・『草木名の語源』(江副水城/著 鳥影社 2018)