十月の中の十日について、【資料1】【資料2】で語句の意味を確認したところ、質問にあるとおり「日の短いさかり」「日の最も短い時期」であることが分かります。
【資料1】『日本国語大辞典 第6巻』(小学館国語辞典編集部編集 小学館 2001)
p1210 じゅうがつの中の十日
「陰暦一〇月の中旬。日の短いさかりをいう。」
【資料2】『故事・俗信 ことわざ大辞典』(尚学図書編集 小学館 1982)
p559 十月の中の十日
「陰暦一〇月の中旬。日の最も短い時期をいう。」
次に、なぜ冬至ではなく十月の中の十日を「日の最も短い時期」と言うのかについて調べました。
【資料3】~【資料5】によると、冬至の頃は農事が終わっていて人を雇う必要もないので、十月の中の十日を「(農繁期の中で)日が最も短い時期」と言うとのことです。
【資料3】『新編故事ことわざ辞典』(創拓社 1992)
p706「十月の中の十日に心無しを使うな」の解説の中に、「実際には最も日の短いのは冬至であるが、そのころには農事も終わって人を雇う必要はないから、問題にはならない」
【資料4】『暮らしの中のことわざ辞典 第3版』(集英社 1989)
p226「十月の昼間なし」の解説の中に、「実際に最も日の短いのは冬至のころだが、そのころには農事も終って人を雇う必要もないので、農家にとってはこのころの日の短いのが一番こたえるものとみえる」
【資料5】『みやかん 2020年清秋号』(宮城県管工業協同組合広報誌)(
https://www.miyakan.or.jp/miyakan/images/2020_seisyu.pdf)
p25に諺を紹介するコーナーがあり、「時雨月の中の十日に心無き人な使いそ」という諺の解説の末に「※実際に一年で最も昼が短いのは冬至だが、ここでは農繁期の中で最も昼が短いということ。」とありましたが、出典などは明記されていませんでした。
この他に、日の入り時刻と冬至の関係について調べると、日の入りが最も早い日は冬至とは別の日であることが以下の資料から分かります。
【資料6】『日の出・日の入りの計算 天体の出没時刻の求め方』(長沢工著 地人書館 1999)
p50 冬至、夏至の日の出、日の入り
「北半球では、夏至の日に昼がもっとも長く、冬至の日に昼がもっとも短い。(中略)しかし、冬至に日の出がもっとも遅く、日の入りがもっとも早いのではない。」とあり、その理由は「天球上を移動する太陽の赤経の増加量が、季節によって異なるため」としています。
【資料7】『暦の百科事典』(暦の会編 本の友社 1999)
p237-240 日出が一番早いのは夏至の日?
「冬至の頃に日出が一番遅くなるのは一月八日で、日没が一番早くなるのは十二月六日である。冬至が十二月二二日なので、冬至の日からのずれは、それぞれ十七日と十六日とになる。」(日付は「昭和六○年の場合」と記載あり)とあります。
その理由として、太陽そのものを観測して決めた「視太陽時」と、視太陽時の進み方を一年間にわたって均した「平均太陽時」について解説しています。
【資料8】国立天文台ホームページ よくある質問「質問1-4)1年のうちで、日の出、日の入が一番早い日(遅い日)はいつ?」(
https://www.nao.ac.jp/faq/a0104.html)
「日の出がもっとも遅い日は冬至の半月ほど後、日の入がもっとも早い日は冬至の半月ほど前になります。」とあり、季節によって太陽の動く速度が違う理由を解説しています。
日の入りの詳しい時刻については、理科年表で確認できます。
【資料9】『理科年表 第95冊(令和4年)』(国立天文台編 丸善出版 2021)
p3「二十四節気」によると、令和4年の冬至は12月22日です。
p26で冬至の日の入り時刻を確認すると16時32分ですが、日の入り時刻は11月29日~12月13日の16時28分の方が早くなっています。
(インターネット最終アクセス:2022年12月18日)