①『世界遺産の神社』の「日光東照宮」の項には、「神様になった徳川家康を祀る」として日光東照宮で家康を祀ることになった経緯が解説されている。その中で各建築物の彫刻群について解説があり、「家康は寅年、寅の月、寅の日生まれと伝えられることから、虎は拝殿や神輿社といった重要建築物の正面に施されました。」と記述がある。
②『日光東照宮の謎』の「第二章 東照宮の彫刻に秘められた謎」には「1 東照宮の建築と彫刻」の項があり、その中にある「彫刻の配置が語るもの」で「東照宮の彫刻は、ただ漫然と取りつけられているのではない。そのことを端的に示しているのが虎の彫刻である。」、「使用箇所は本殿・拝殿・神輿舎・本地堂・表門・仮殿など、いずれも直接祭神と関わる建物の正面中央(本殿・表門は背面)に用いられている。これは、家康の干支が寅(虎)であることによると思われる。」と記述がある。また、「4 動物彫刻の意味」の項にある「十二支、その他の動物」で、五重塔の十二支彫刻について「周知のとおり十二支は方角を示すものであり、当宮の場合も、当然その方角に配置されている。」と記述がある。
③『徳川家と日光東照宮』にはコラム「五重塔の初層を彩る十二支の動物彫刻」があり、日光東照宮の彫刻の数について、「実在する動物で最多は家康の干支である虎」という記述があり、「現在の我々にとって身近な動物も、当時の人々には不思議な力を持つ存在であった。配置場所にもこだわりが見られ、特に虎の彫刻のほとんどは建物の正面に配されている。」とある。また、五重塔の十二支彫刻について、「建物の4面に各3種類ずつ、それぞれの動物が守護する方角に施されている。」「五重塔正面(東側)には、家康の生まれ年の寅(虎)、秀忠の卯(兎)、家光の辰(龍)が並ぶ。」と記述がある。
④『図説社寺建築の彫刻』の「第一章 動物編」には「(2)十二支動物の部」の項があり、「建築彫刻で、十二支の動物が揃って使われている場合は、五重塔や三重塔の初層の蟇股に、その方位に合わせて北から順に子(鼠)・丑(牛)・寅(虎)…、と配する場合が多い。東照宮の五重塔(文政元・一八一八年再建)は参道の西側に建てられているので、参道側からは東面の虎・兎・龍の彫刻が見える。」と記述がある。また、「虎」について、東照宮の彫刻について「虎の彫刻は御祭神のシンボルとして、本社・本地堂・神輿舎・御仮殿など主要な社殿の正面や真後ろに用いられている。」と記述がある。