レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2023/09/08 17:29
- 更新日時
- 2023/09/08 17:45
- 管理番号
- 218
- 質問
-
解決
尼崎地域の工場立地は、どのような理由や経緯によって決まるのか。一例として、現在跡地が「グンゼタウンセンターつかしん」になっているグンゼ塚口工場は、なぜこの場所に建てられたのか。
- 回答
-
グンゼ塚口工場の前身である郡是製糸塚口絹製品工場は、昭和9年(1934)に立花村塚口字西塩辛(現尼崎市塚口本町4丁目)に建設されました。工場敷地の東側を通って尼崎・伊丹間を南北に結ぶ産業道路(現正式名称「主要地方道尼崎・池田線」)が前年の昭和8年に開通しているので、原材料の搬入や製品出荷にこの道路を利用することを目的として、道路沿いに設置されたものと考えられます。
グンゼ塚口工場以外にも、官設鉄道神崎駅(現JR尼崎駅、明治7年‐1874‐開設)の周辺に立地するキリンビール神崎工場(大正7年、1918設立)や山岡内燃機神崎工場(昭和11年、1936設立)の例にあるように、鉄道や道路交通の利用を目的として沿線に工場が設置されるケースが多くみられます。
さらに、尼崎地域の臨海部が広範囲にわたって工場地帯化していく背景として、港湾部であり運河網が形成されていることから、原材料搬入・製品出荷に船を活用できることが大きな要因のひとつとなったと考えられます。臨海部については、これに加えて、水路によって区切られた島状区画からなる江戸時代の新田地帯であることから、広く平坦な工場用地を要する重化学工業系工場立地に適していたこと、資本や労働力の確保のうえで有利な都市部(大阪・尼崎等)に近かったことなどが、工場集積要因になったと考えられます。
このように、工場立地は複合的な要因から決定されており、その要因のひとつとして交通インフラの有無が重要な位置を占めていたと考えられます。
- 回答プロセス
-
1 尼崎地域の各工場及び交通機関の設置年代・経緯等を調べることができる文献
◆『尼崎地域史事典』(尼崎市,1996)
2 尼崎地域の工業化の概要が記されている文献
◆『尼崎市史』第3巻(尼崎市,1970)
◆『図説尼崎の歴史』下巻(尼崎市,2007)
3 個別企業・工場の設置経緯等を調べることができる文献
◆各企業の社史類
- 事前調査事項
- NDC
-
- 経済史.事情.経済体制 (332 10版)
- 運輸.交通 (680 10版)
- 参考資料
-
-
尼崎市立地域研究史料館編集 , 尼崎市立地域研究史料館 , 尼崎市. 尼崎地域史事典. 尼崎市, 1996-03.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000082971-00 (当館請求記号 219/A/ア) -
尼崎市. 尼崎市史 第3巻. 尼崎市, 1970.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001209935-00 (当館請求記号 219/A/ア) -
尼崎市立地域研究史料館編集 , 尼崎市立地域研究史料館. 図説尼崎の歴史 : 尼崎市制九〇周年記念 上巻,下巻. 尼崎市, 2007. (新「尼崎市史」 / 尼崎市立地域研究史料館編集,)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I004857410-00 (当館請求記号 219/A/ア-3)
-
尼崎市立地域研究史料館編集 , 尼崎市立地域研究史料館 , 尼崎市. 尼崎地域史事典. 尼崎市, 1996-03.
- キーワード
-
- 工場立地
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 工業
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000338412