レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/07/29
- 登録日時
- 2023/07/29 10:50
- 更新日時
- 2024/03/23 11:53
- 管理番号
- 2023-0034
- 質問
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解決
日中戦争や太平洋戦争時に、籤のがれによって戦争に行かなかった人、戦争に行って帰ってきた人などが再度兵役に行くことになった場合、それらの過去の経歴が徴兵の選出に影響することはあったのか。
- 回答
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『近代日本軍隊教育・生活マニュアル資料集成 昭和編第1巻』
「徴兵検査研究録」(青木袈裟美編 昭和3年刊行)」のp200~「第17章 抽籤」仕組みや抽籤方法について記述あり。p201~「第四 徴集順序」の記述あり。
『毎日年鑑 昭和15年』
p163「軍事 兵役法改正」に「徴集順序(籤のがれの廃止)」の項目あり。「従来徴兵検査の結果…“籤のがれ”というものがあったが、今後は体格のいいものを絶対的のものとしてとる建前で籤のがれは全然無くなった。」
『赤紙』
本書の全体を通じて、召集について当時の担当者の証言も含め記述多数。
p168~「赤紙から逃れた人々」在郷軍人の中には所在不明者がいた。在郷軍人名簿には所在不明者は印を押して、出てきたらすぐに召集するようにした旨の証言あり。
p155~「召集者はこうして決められた」召集者決定については、陸軍省兵備課が指示し、兵備課が編成人数内の現役兵と在郷軍人の配分を指定した。
p157~「動員担当者の証言」 p159(動員担当者の証言として)在郷軍人名簿の健康程度と特業を見る。健康程度が甲であれば問題ない、丙はあまり召集しない。乙の人を召集しようとする時は、兵事主任に連絡して健康状態の確認をしていた。
『赤紙と徴兵』
p141 軍が召集事務のために特に重視していたのが、在郷軍人の健康状態、職業、特業、特有技能を把握しておくことだった。
『徴兵制と近代日本 1868-1945』
p229「(ii)後備役の名称廃止 (略)警備その他の必要により、本来なら後備役になる時期になっても、召集に応じなければならなくなった。」
p240「ある在郷軍人は二度も出征しながら、ある者は一度も応召していないというような不公平が顕在化した。そこで陸軍は昭和十八(一九四三)年、陸亜機密第二二八〇号をもって、日中戦争開始以来応召回数二回以上の者を招集する時には、陸軍大臣の認可を必要とすることにしてセーブをかけた。」
【インターネット情報】
『佛教大学大学院紀要 文学研究科篇 第39号(2011年3月)徴兵検査における抽籤制度の一考察』
https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/DB/0039/DB00390L053.pdf
p56「なお、籤外者の徴集順序は、徴兵令では懲罰的な意味合いから、徴兵忌避者が上位に据えられていたが、兵役法の施行(昭和2年)からは兵役は名誉であり、志願者の意思尊重の趣旨から、順序が逆転し籤外現役志願者を筆頭とする。」とあり。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 国防政策.行政.法令 (393 8版)
- 国防.軍事 (390 8版)
- 参考資料
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- 『近代日本軍隊教育・生活マニュアル資料集成 昭和編第1巻』一ノ瀬俊也 編 柏書房 2010.01 , ISBN 9784760137541 (390.7/I16/1 開架一般 000052800)
- 『毎日年鑑 昭和15年』大阪毎日新聞社 共編 大阪毎日新聞社 1939.10 (059/Ma31/1940 閉架一般 000029236)
- 『赤紙 男たちはこうして戦場へ送られた』小沢眞人 著者 創元社 1997.07 , ISBN 4422300334 (393.2/O97 開架一般 000037076)
- 『赤紙と徴兵』吉田敏浩 著 彩流社 2011.08 , ISBN 9784779116254 (393.2/Y86 開架一般 060004369)
- 『徴兵制と近代日本 1868-1945』加藤陽子 著者 吉川弘文館 1996.10 , ISBN 4642074961 (393.2/Ka86 閉架一般 000034336)
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『佛教大学大学院紀要 文学研究科篇 第39号(2011年3月)徴兵検査における抽籤制度の一考察
(秋山博志)』 https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/DB/0039/DB00390L053.pdf (2023/08/08確認)
- キーワード
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- 徴集
- 徴集順序
- 徴兵
- 召集
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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『良心的兵役拒否の思想』阿部知二 著者 岩波書店 1969.(07000003628)
『日本平和論大系 18』家永三郎 責任編集 日本図書センター 1994.04(000020369)p260~「ある徴兵拒否者の歩み-トルストイに導かれて」昭和13年の徴兵検査日に拒否をして逃亡(親類宅へ)し、説得されて後日検査を受けた人の体験談。結局は病人と扱われて、兵役無関係となった。当時の日記の記述もあり、克明に書かれている。※クジ逃れについて該当しない。
『兵役拒否』佐々木陽子 編著 青弓社 2004.04(000045836)
p175「第三期=(略)「徴兵忌避が全面的に非合法化された時代」である。そのため、「忌避の手段としては、逃亡、失踪、身体毀損、計画的人為的な詐欺による仮病、または身体の衰弱化など、目的のためには、命がけの手段を選ぶよりほかなかった時代である」。」
『国家総動員史 上巻』石川準吉 著者 国家総動員史刊行会 1983.02(000030751)p1455「第三章 徴集」p1457.1458籤免れ(くじのがれ)や籤逃れの記述はあるが(軍縮時代には、身体検査の結果が良好なものが予定人数以上にあった場合は「籤免れ」と称して、抽選の結果現役入営を免れ、第一補充兵役に回された時代もあった等)、それが徴集に影響を及ぼす等の記述は見当たらず。
『国防大事典』桜井忠温[著] 中外産業調査会 1932.02(000000554)
『徴兵制 岩波新書;黄版143』大江志乃夫 著 岩波書店 1981.01(000057914)
『在郷軍人会』藤井忠俊 著者 岩波書店 2009.11(000052702)p270戦時召集猶予者について。警察、技手、教職員、運転手などの職種が猶予者となった。
『地域のなかの軍隊 8』荒川章二 編 吉川弘文館 2015.06(000060121)
『徴兵・戦争と民衆』喜多村理子 著者 吉川弘文館 1999.06(000037856)
【インターネット情報】
関西学院大学リポジトリ「誰が兵士になったのか(2) : 学歴・職業による兵役の不平等」
https://kwansei.repo.nii.ac.jp/records/17461
どういった学歴・職業の人が兵士になる(=召集応召)のかを分析している。籤逃れについては言及はない。
「旧日本軍における人事評価制度-将校の考科・考課を中心に」
http://www.nids.mod.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j9_1_4.pdf
陸軍海軍の将校の考科(課)の要素(健康・技能など)が記述されている。将校なので籤逃れに該当しないが、どういった点に評価がつけられているかはわかる。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000336536