レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/12/28
- 登録日時
- 2023/03/18 00:30
- 更新日時
- 2023/03/18 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-220169
- 質問
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解決
宮城県図書館所蔵の『御家中士凡諸藝道傳來調書拔』について,下記の2点を調査したい。
1. タイトルには寛政4年とあり,弘化3年長沼清三郎の写本で菊田定郷氏舊藏とあります。本書収蔵までの経緯,また原本を所蔵している機関を知りたい。
2. 桃生町の白髭神社にある「竹永隼人師弟合祀碑」によると,寛政元年に諸芸道の調査があったことが記されている。本書はその上申(以聞)をもとに記録されたものと推察されるが,この調査が行われた背景や担当者,経緯を知りたい。
- 回答
-
※【 】内は当館請求記号です。
1. 所蔵の経緯と原本の所在について
(1)経緯と寄贈者である菊田定郷について
下記資料に記載がありました。
資料1 宮城県図書館編『宮城県図書館和古書目録』宮城県図書館, 1991【K029/ミ1-18】
p.4「菊田定郷旧蔵書」の項
「昭和32年,仙台市光禅寺通の菊田家から,1,027部1,326冊の図書が寄贈された。(中略)その多くに「菊田氏蔵書記」の印記がある。(中略)菊田定郷は,慶応4年(1868)3月22日,士族菊田衆利の4男として生れた。もとの名は,多利治である。「定郷」は,明治24年に改名した。号は「任天」ほかに「菊廼家佛天」の筆名を用いた。(中略)定郷は,明治16年,外記丁小学校卒業後,宮城英学校に学んだが退学し,18年仙台鎮台役備軍司令部雇となり,20年退職して,本願寺宮城教校教授となった。(中略)明治23年から36年までは,定郷の新聞記者時代であって,東北毎日新聞社,東北日報社,奥羽新聞社などの記者生活を送る。(中略)36年2月,奥羽新聞社を退社して,大正10年4月,仙台市会議員に当選するまでは,古書籍業時代といえよう。(中略)大正10年4月,仙台市会議員に当選した。1期4年,14年4月に定郷は再び当選し,昭和4年3月までが市会議員時代である。(中略)昭和4年3月,市会議員の任期も終わり,前後して古書店も廃業し,(中略)仙台人名大辞書の編纂に本格的に取り組むことにした。(中略)昭和8年2月,『仙台人名大辞書』刊行。翌9年8月15日死去。享年66歳。」
(2)筆写した長沼清三郎について
下記資料を確認しましたが,長沼清三郎に関する記述は確認できませんでした。
資料2 菊田定郷著『仙台人名大辞書』仙台人名大辞書刊行会, 1933【K280/キ1】
資料3 『角川日本姓氏歴史人物大辞典 4』角川書店, 1994【K288/カ9】
資料4 鈴木省三編『仙台叢書 第6巻』仙台叢書刊行会, 1924【K081/セ1/6】
(pp.269-495「仙台府諸士版籍」)
(3)原本の所蔵について
宮城県内の図書館・大学等が所蔵している古書が収録されている下記目録を検索しましたが,関連する資料の所蔵については確認できませんでした。
資料5 東北大学附属図書館編『東北大学所蔵和漢書古典分類目録 和書 上』東北大学附属図書館, 1976【K029/ト2-3/3】
資料6 東北大学附属図書館編『東北大学所蔵和漢書古典分類目録 和書 中』東北大学附属図書館, 1978【K029/ト2-3/4】
資料7 東北大学附属図書館編『東北大学所蔵和漢書古典分類目録 和書 下』東北大学附属図書館, 1979【K029/ト2-3/5】
資料8 東北大学附属図書館編『東北大学所蔵和漢書古典分類目録 和書書名索引』東北大学附属図書館, 1982【K029/ト2-3/7】
資料9 宮城教育大学附属図書館編『宮城教育大学所蔵和漢書古典目録』宮城教育大学附属図書館, 1980【K029/ミ4/1】
資料10 仙台市博物館[編]『仙台市博物館収蔵資料目録 7』仙台市博物館, 1994【K025/セ2-2/イ7】
資料11 仙台市民図書館編『仙台市民図書館所蔵和漢書目録』仙台市民図書館, 2000【K029/2000.3/タ】
資料12 東北福祉大学図書館編『東北福祉大学図書館所蔵和漢書目録』東北福祉大学図書館, 2008【K029/2008.3】
資料13 仙台市博物館[編]『仙台市博物館収蔵資料目録 16』仙台市博物館, 2008【K025/セ2-2/16】
2. 寛政元年に実施された諸芸道の調査について
下記資料に関連する記述がありました。
資料14 東京大学史料編纂所編『大日本古文書 家わけ第三 [8]』東京大学出版会, 2001【K205/2001.5/8】
pp.258-272「2878 伊達重村諸芸調申付覚書」
寛政元年のものと思われる文書です。書上の書法等についての記述があります。
なお,上記資料は,東京大学史料編纂所の「古文書フルテキストデータベース」で本文の画像が公開されています。
URLは下記のとおりです。(最終アクセス:2023年2月14日)
https://clioimg.hi.u-tokyo.ac.jp/viewer/view/idata/850/8500/05/0308/0258?m=all&s=0258&n=20
資料15 玉蟲久五郎「仙台藩伝来の武芸について」『仙台郷土研究』復刊6(1), pp.21-30, 1981.
玉蟲家の古記録中の武芸にする記述について述べたもので,p.25に「〔玉蟲〕尚茂記録によれば,安永年間,天明年間,寛政年間に仙台藩に提出した記録中に武芸伝授形式,系統系譜を尚茂記録中で明確に知ることができた。」とあり,「天明九年(寛政元年)己酉六月二日に,若老荒井加右衛門より玉蟲十蔵宛に次の文書が届き,これに対して玉蟲家より委細書を提出している。」として,それらの文書の翻刻が掲載されています。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 東北地方 (212 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 郷土資料 -- 宮城県
- 武道 -- 歴史 -- 江戸時代
- 御家中士凡諸芸道伝来調書抜
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000330654