レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/02/14
- 登録日時
- 2022/03/08 00:30
- 更新日時
- 2022/03/08 00:30
- 管理番号
- 6001054615
- 質問
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解決
大坂の蘭学者・橋本宗吉の著作『阿蘭陀始制エレキテル究理原』を読みたい。
- 回答
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『阿蘭陀始制エレキテル究理原』につきまして、次の資料で確認しました。
■『阿蘭陀始制エレキテル究理原』(橋本鄭(曇斎) 文化10年)
大阪府立中之島図書館では文化10年の写本2冊を所蔵しています。
請求記号:621-2
■『和蘭始制エレキテル究理原 橋本曇斎先生遺稿』(橋本曇斎/[著] 三崎省三 1925)
後述の『江戸科学古典叢書 11 エレキテル全書』の「(附)『究理原』の写本と復刻」(p.75-76)には、これが最初の復刻で、「大阪府立図書館本つまり大槻本の転写本と『ヱレキテル訳説』の影印」と「『究理原』の活字化したもの」の三冊があるようで、「三崎本ともいわれる。」(p.76)とあります。
当館所蔵分は活字になっています。
こちらの資料は、国立国会図書館デジタルコレクションでも見ることができます。
国立国会図書館デジタルコレクション(2022/2/14現在)
・『和蘭始制ヱレキテル究理原』(橋本鄭/著 三崎省三 大正14)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/981205
■『阿蘭陀始制エレキテル究理原』([橋本曇斎/著] 橋本曇斎先生百年記念会 1940.11)
後述の『江戸科学古典叢書 11 エレキテル全書』の「(附)『究理原』の写本と復刻」(p.75-76)には、「これは上松寅三郎氏が大阪府立図書館蔵の大槻本の転写本と底本に、三崎本・九大蔵書本と対校、さらに人見本・中川本・天金本・鍋島本と照合し、謄写版刷としたものを出版したのである。各写本の相違が判然とする。」(p.76)とあります。
当館所蔵分は、奥付に「昭和十五年八月以長濱重麿氏蔵本複製畢」とあり、くずし字ですが、国立国会図書館デジタルコレクション(図書館向けデジタル化資料送信サービス)で確認すると、活字のものもあるようです。
国立国会図書館デジタルコレクション(図書館向けデジタル化資料送信サービス)(2022/2/14現在)
・『究理原 : 阿蘭陀始制エレキテル』(橋本宗吉/著 橋本曇斎先生百年記念会 昭15)(くずし字のもの)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1144162
・『究理原 : 阿蘭陀始制エレキテル』(橋本宗吉/著 橋本曇斎先生百年記念会 昭15)(活字のもの)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1144156
■『国書総目録 第1巻 あ-お』(岩波書店 1989.9)
p.689に「阿蘭陀始制エレキテル究理原」の項があります。大阪府立中之島図書館以外の所蔵や、活字本(「日本科学古典全書二」とあります。)などの情報を確認できます。
■『江戸科学古典叢書 11 エレキテル全書』(青木国夫/[ほか]編集 恒和出版 1978)
常陸文庫蔵『阿蘭陀始制エレキテル究理原』の影印(題簽は『魄力車圖説』となっています)が掲載されています。(p.37-135)
また、後ろに「原文読解」として『阿蘭陀始制エレキテル究理原(魄力車図説 上下)』の翻刻も掲載されています。(p.17-46)
さらに「解説」の中では『阿蘭陀始制エレキテル究理原』についてはp.62-66に記載があり、また「(附)『究理原』の写本と復刻」がp.75-76にあります。
「(附)『究理原』の写本と復刻」には、「『阿蘭陀始制エレキテル究理原』の刊行は許されず、原本も失われ、写本として伝えられ、人見本・中川本(霞亭本)・大槻本・天金本・鍋島本があり、これらを底本として復刻・活字文化などがなされた。」として、それぞれの写本について説明があります。当館所蔵のものについては、「大槻本 大槻如電所蔵の写本であったが、大正十四年の震災で焼失した。これを転写したものが現大阪府立図書館および九州大学所蔵本である。」(p.76)とあります。
■『日本科学古典全書 第6巻』(三枝博音/編纂 朝日新聞社 1942)
第6巻となっていますが、『国書総目録 第1巻 あ-お』で活字本として挙げられている「日本科学古典全書二」がこの資料かと思われます。
『阿蘭陀始制エレキテル究理原』が翻刻されています。なお、p.573-582が解説で、本文はp.583-627となります。解説の中に「三 内容の概観」(p.577-581)があります。底本については「長濱氏所蔵本」とだけ書かれています。(p.582)
『江戸科学古典叢書 11 エレキテル全書』の「(附)『究理原』の写本と復刻」(p.75-76)によれば、この資料は「人見本の『究理原』が活字化され収められている。人見本を主に上松氏の『校訂究理原稿』と対校している。」とあります。また、人見本などの原写本は「長浜重麿氏(中略)などがかつて蔵されていたが、現在は全て常陸弥壮次氏の常陸文庫内所蔵となっている。」(p.76)とあります。
なお、常陸文庫の資料につきましては、次の資料に記載があります。
小曽戸洋「杏雨書屋のコレクション」(『日本医史学雑誌』61(1) 2015)p.9-11
インターネットで公開されています。(2022/2/14現在)
http://jsmh.umin.jp/journal/61-1/61-1_kaicho.pdf
「平成18年には常陸弥壮次旧蔵のエレキテル・雷関係のコレクション,常陸文庫571点が入庫した.」(p.10)とあります。
〔事例作成日:2022年2月14日〕
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 科学史.事情 (402 10版)
- 電気工学 (540 10版)
- 参考資料
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- 和蘭始制エレキテル究理原 橋本/曇斎∥[著] 三崎省三 1925
- 国書総目録 第1巻 補訂版 岩波書店 1989.9 (689)
- 江戸科学古典叢書 11 青木/国夫∥[ほか]編集 恒和出版 1978 (37-135、17-46、62-66、75-76)
- 日本科学古典全書 第6巻 三枝/博音∥編纂 朝日新聞社 1942 (571-627)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪
- 質問者区分
- 業務
- 登録番号
- 1000313228