レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年6月8日
- 登録日時
- 2021/09/19 16:25
- 更新日時
- 2021/11/24 21:24
- 管理番号
- 県立長野-21-131
- 質問
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解決
諏訪市にある諏訪大社の紋「梶の木」について、その関係・由縁を知りたい。
- 回答
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『諏訪大社』 信濃毎日新聞社編・刊 1980 【N174/35】p.160-161に、
諏訪社の紋章は「穀(かじ)の葉」である。その古い文献としてはまず『画(え)詞(ことば)』があ
る。桓武天皇のとき、坂上田村麿が征夷大将軍として東征にむかった頃である。(中略)
信州にはいって大田切という所で、まず一騎の兵客に参会した。だれかと問うと
当国ノ住人ナリ。殊ニ官仕ノ志アリテ参向ス。
と答えた。
その兵客のすがたは、穀の葉の藍摺(あいずり)の水干を着、タカの羽の箆(の)矢(や)を負い、あし
毛の馬に乗っていたというのである。(中略)
奥州では、高丸は城(達谷ノ岩屋)にたてこもっていて出て戦わず、城は険阻で攻めようにもなかっ
たとき、兵客はまた怪異を示した。流鏑馬の儀を行い、のぞき見をした高丸を射殺して首をあげたの
である。
帰途諏訪と佐久との境の大泊(佐久市)まで来たとき、兵客は装束を冠帯に改め、
吾ハ是諏方明神ナリ。王威ヲ守ランガタメニ将軍ニ随逐ス。今スデニ賊首を奉ル。今更ニ上
洛及バズ・・・・・・
といって別れたというのであって、兵客の身分をあらわしたのは穀の葉だけであった。
そののち『我妻鏡』やそのほか、おりおり出てくる諏方大明神や諏方大祝はみんな穀の葉で身分を
あらわしている。
の記述があった。また、『諏訪大社』 三輪磐根著 学生社 1978 【N174/32】p.49-50にも、
(前略)梶は製紙の原料にする楮(こうぞ)のことで、梶の皮は古代白和幣(しらぎにて)をつくり、
幣帛(へいはく)として用い、また神前の食器とした。(中略)建御名方神(たけみなかたのかみ)の着
衣にこの紋が用いられてことが、「絵詞」や「吾妻鏡」にみられる。(中略)ところで、上社と下社
とではその紋に若干の違いがある。
それは根の部分で、上社の紋は四本足、下社は五本足となっている。上社の紋を諏訪梶、下社の紋
を明神梶という。
という記述があった。『日本家紋大事典』 丹羽基二著 新人物往来社 2008 【288.6/ニモ】p.182に、
カジの木は、昔から祭具の幣(ぬさ)として用いられ、葉は神前に供える食器ともなっていた。
とあり、神具や祭式に用いられていたことから、神官の職業を表すシンボルともなっていたと考えられる。これら3冊を紹介した。
- 回答プロセス
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1 所蔵資料を「諏訪大社」で検索をする。201件ヒット。件数が多いので、諏訪市の寺社に関する郷土分類のN174の棚を見る。
2 タイトルが「諏訪大社」や目次に「梶」「梶の葉」「神紋」のある資料の該当ページを調べていく。『諏訪大社』信濃毎日新聞社編ほかで、諏訪大社の神紋「梶の葉」についての記述を確認する。
<調査済資料>
・『諏訪明神誌』
山田肇著 南信日日新聞社 1926 【N174/12】p.32-33 30コマ [最終確認 2021/11/17]
・『諏訪の祭神』 村岡月歩著 雄山閣出版 1969 【N174/28】
・『神々の里 古代諏訪物語』 今野野菊著 国書刊行会 【N241/73】
- 事前調査事項
- NDC
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- 神道 (170 10版)
- 神社.神職 (175 10版)
- 参考資料
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信濃毎日新聞社 編 , 信濃毎日新聞社. 諏訪大社. 信濃毎日新聞社, 1980.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002069234-00 (【N174/35】p.160-161) -
三輪磐根 著 , 三輪, 磐根, 1898-. 諏訪大社. 学生社, 1978.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001391918-00 (【N174/32】p.49-50) -
丹羽基二 著 , 丹羽, 基二, 1919-2006. 日本家紋大事典. 新人物往来社, 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009899250-00 , ISBN 9784404035721 (【288.6/ニモ】p.182)
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信濃毎日新聞社 編 , 信濃毎日新聞社. 諏訪大社. 信濃毎日新聞社, 1980.
- キーワード
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- 諏訪大社
- 穀
- 梶の葉
- 神紋
- 信州学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000304880