レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20201103
- 登録日時
- 2021/08/27 00:30
- 更新日時
- 2021/08/29 16:28
- 管理番号
- 中央-2021-23
- 質問
-
解決
「TOKYOアーカイブ」で公開されている特別文庫室所蔵の以下の資料を見た。
[幸后月松影] (特別文庫室請求記号:N198-2)
https://archive.library.metro.tokyo.lg.jp/da/detail?tilcod=0000000003-00018895(最終確認日:2021年7月27日)
画中に「いかけの松 尾上菊五郎」とあるが、講談の演目「いかけ松」と関係はあるか。
- 回答
-
講談と同じ人物を扱った歌舞伎演目の役者絵である。
調査過程は以下のとおり。
「[幸后月松影]」(特別文庫室請求記号:N198-2)には、画中文字より「いかけの松」を演じた歌舞伎役者「尾上菊五郎」が描かれている。
「いかけ松」について調べるために、オンラインデータベース「ジャパンナレッジ Lib」(ネットアドバンス)を参照したところ、資料1、2に歌舞伎の演目についての記述があることがわかった。
資料1
p.829「いかけまつ【鋳掛松】」
本名題「船打込橋間白浪(ふねへうちこむはしまのしらなみ)」で通称「鋳掛松」、別名題「幸後月松影(さいわいのちのつきにまつかげ)」の歌舞伎の演目である。鋳掛け屋松五郎が、花水橋(両国橋)の上から金持ちの豪遊を見て、しがない生活がつまらなくなり悪の道に走る筋立てとある。
資料2
p.367「船打込橋間白浪」
人情物の講談から取材した作で、河竹黙阿弥の白浪物の一つとある。
以上より、「いかけの松」が登場する歌舞伎の演目は、人情物の講談から取材して作られたことがわかる。
なお、都立図書館蔵書検索で、<鋳掛松>をキーワードに検索したところ、資料3、4が見つかった。
資料3 p.564、資料4 p.884-885に「鋳掛松」の興行年表が掲載されている。
これによると、「幸後月松影」のタイトルでは、「明治5年9月」に「中村座」で上演されており、「松五郎」を「尾上菊五郎」が演じている。
データベース等の最終検索年月日:2021年7月27日
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 歌舞伎 (774 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】日本国語大辞典 第1巻 / 小学館国語辞典編集部/編集 / 小学館 / 2000.12 / 第2版 <R/813.1/5020/1>
- 【資料2】歌舞伎事典 / 服部 幸雄/編 / 平凡社 / 2011.3 / 新版 <R/774.0/5003/2011>
- 【資料3】黙阿弥脚本集 第6巻 / 河竹黙阿弥/著 / 春陽堂 / 1920 <J250/K493/M5-6>
- 【資料4】黙阿弥全集 第5巻 / 河竹黙阿弥/著 / 春陽堂 / 1924 <J250/K493/M2-5>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000303741