①には、「「食虫植物」とは、その名のとおり「虫を食べる植物」のことです。葉などで虫をつかまえて消化し、栄養を吸収するという、きわめてめずらしい特徴をもっています。」とあり、虫をつかまえるしくみについて「とじこみ式捕虫」「ねばりつけ式捕虫」「おとし穴式捕虫」「すいこみ式捕虫」「さそいこみ式捕虫」の方法がカラー写真とイラストとともに分かりやすく紹介されている。
まず、「とじこみ式捕虫」は、「捕虫葉(虫をとらえる葉)ではさみこむ捕虫方法で、「ワナ式捕虫」ともよばれます。」とあり、「ハエトリグサの捕虫葉は、両手首をあわせて花の形にひらいた状態のようです。左右の捕虫葉には、虫がふれたことを感じる感覚毛が3本ずつついていて、短時間のうちに感覚毛に2回、虫などがふれると、電気信号が流れて、捕虫葉がとじます。とじた捕虫葉は、左右の手のひらをあわせて指を組んだような状態になるので、はさまれた虫はにげられなくなります。やがて、とじる力は強くなっていき、はさんだ虫の体液をしぼりだします。捕虫葉からは消化液がでて、虫の体は消化・吸収されていきます。」とある。
次に、「ねばりつけ式捕虫」は、「水あめのようなべたつく粘液で虫をとらえる捕虫方法です。モウセンゴケの1枚の捕虫葉の表面には200本以上もの腺毛がついています。それぞれの腺毛の先からは粘液がでていて、丸い水滴のように見えます。粘液はべたつくため、いったんくっついてしまうと、小さな虫はにげることができません。」とある。
次に、「おとし穴式捕虫」は、「壺のような形の捕虫袋で虫をつかまえる方法です。ネぺンテスは、ふたの内側や捕虫袋のえりの周辺にある蜜腺から、においのある液体をだして虫をさそいます。やってきた虫が、えりで足をすべらせると、もうにげられません。捕虫袋の内壁はタイルのようにすべりやすくなっているので、虫は袋の中におちやすく、おちた虫はにげられないしくみになっています。」とある。
次に、「すいこみ式捕虫」は、「水中にすむ食虫植物に見られる捕虫方法で、近づいてきたプランクトンを、スポイトで水をすいこむようにしてつかまえます。」とある。
そして、「さそいこみ式捕虫」は、「地中にのびた葉が捕虫する方法で、ゲンリセアのなかまだけに見られます。ゲンリセアの緑色をしたふつうの葉は地上にでますが、地中にも、根のようにのびる白い葉と、プランクトンをつかまえる白い捕虫葉がのびます。」とあり、「管の内部には細かな毛がはえていて、はいりこんだプランクトンは、でられないようなしくみになっている。」との記載がある。
②には、「食虫植物は罠で昆虫を捕まえます。その罠は捕虫葉といい、おもに昆虫をとかし、その成分を吸収する特殊な葉です。」とあり、「ネペンテス」という食虫植物の仲間は、「葉の先につぼ状の捕虫葉がつきます。つぼの入口には蜜の出るところがあります。その蜜に誘われてやってきた昆虫は、つぼの中に落っこちます。つぼの中の昆虫は、植物の消毒液でとかされて吸収されてしまうのです。ネペンテスの仲間は、おもに東南アジアの森林などに生えるつる植物で、90種ほどが知られています。世界一大きな種では、ネズミやコウモリがつぼの中から見つかることがあります。」と書かれている。また、「サラセニア」という食虫植物の仲間は、「捕虫葉は、筒状です。多くの種では、捕虫葉は高く立ち上がります。筒の中には液体がたまっていて、落ちた昆虫などが分解され、吸収されます。筒の内側はツルツルと滑りやすくなっています。」との記載がある。
③には、「食虫植物とはこの3つの条件を満たした植物のことをさすんだ。」とあり、「☆虫をさそいだす ☆虫をつかまえる ☆虫を消化・吸収し、それらを養分にして育つ」との記載がある。また、「つかまえ方にも色々方法があって、おもに5種類に分けられるんだ。とあり、「☆はさみこみ式 ☆落とし穴式 ☆ねばりつけ式 ☆すいこみ式 ☆迷路式」との記載がある。それぞれの植物の写真も掲載されている。
④には、三つのとらえ方として、「食虫植物の虫のつかまえ方には、つぎの三つの方法があります。鳥もち式・葉から粘液をだして、虫をねばりつけてとらえる。わな式・葉をとじあわせて、虫をはさむものと、水ちゅうで、ふくろの中に虫をすいこむものの二しゅるいがある。おとしあな式・ふくろの中に、虫をおとしこんでとらえる。」との記載がある。
⑤には、食虫植物ハエトリグサの虫のとらえかたが説明されており、「ハエトリグサは、スプーンのような形の葉が2枚むかいあっていて、葉のふちには、くしの歯のように長い毛がでています。葉の中央部分には、小さなトゲが3本あり、これが昆虫がやってきたことを感知する役目をはたします。昆虫がこのトゲにふれると、左右にひらいていた葉がとじ、中に昆虫をとじこめてしまうのです。」との記載がある。また、「ふくろで生物を飲みこんでしまうタヌキモ」や「ネバネバ液で虫をとるモウセンゴケ」そして、「ウツボカズラのふくろのような落とし穴」など、写真やイラスト入りで分かりやすく載っている。
⑥には、虫を食べる食虫植物が2つ紹介されており、「まずはハエトリグサです。葉ではさむようにして昆虫を捕まえます。ハエトリグサの葉には、みつが出る部分があります。そのみつで昆虫を誘い出します。葉にはセンサーもあります。そのセンサーに昆虫の体が触れると、葉を閉じて昆虫を捕まえるのです。そして昆虫を溶かして吸収します。」とあり、「次はウツボカズラです。東南アジアの森林に生えるつる植物です。葉がつぼ状になっています。つぼの入口にはみつの出るところがあります。そのみつで昆虫をおびき寄せます。みつに誘われてやってきた昆虫は、足を滑らせつぼの中に落っこちます。そして、つぼの中の液体で昆虫を溶かして吸収してしまうのです。」との記載がある。
⑦には、ハエトリグサの捕虫のメカニズムが説明されており、「ハエトリグサに捕まるのは、ハエ、カガンボ、クモ、クロアリなどです。これらの虫は葉の緑から分泌される甘い蜜に誘われてやってきます。2枚の向きあった葉の中央には、それぞれ3本の感覚毛があり、虫がこれに触れると葉を閉じるしくみになっています。ただ感覚毛に1回さわっても葉は閉じませんが、2回さわると瞬間に運動をおこして、葉がとじあわさるのです。また、葉の縁にあるトゲは、虫をはさみ込んで逃がさないための鉄格子の役割を果たしています。」との記載がある。