レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年01月30日
- 登録日時
- 2021/03/18 10:21
- 更新日時
- 2021/03/18 10:22
- 管理番号
- 横浜市中央2624
- 質問
-
解決
時代によるおんぶと抱っこに対する考え方の変化があるか知りたい。
おんぶとだっこの比較をしている、あるいはその長所・短所等について述べている資料を探している。
- 回答
-
次の資料に記載がありました。
1 図書
(1)『現代育児学 第14版』今村榮一/著 医歯薬出版 2003.4
p.135-136 ・おんぶは人手がないとき便利、安全な運搬法、ベビーカーより高い
ので排ガスを受けることが少ない、等
・おんぶは腹部をおされて胸式呼吸になる、胃が圧迫される、腕やもも
の血液循環が悪くなる、足をまっすぐにしておぶうと股関節に障害が
おこる、等
(2)『新しい母と子の育児全書 改訂新版』平山宗宏/編集 社会保険出版社 1997.4
p.643「明治・大正の頃におんぶ廃止論があり、それ以後現在までおんぶは賛否両論
あって、それぞれに長所、短所をのべあっています。」
(3)『定本育児の百科』松田道雄/著 岩波書店 1999.3
p.229-230「おんぶに対して明治後半以降の育児書は、「胸部を圧迫するからいけない」
などといって反対した。だが、それは、もっぱら西洋式(主にドイツ式)
育児書を直輸入して、向こうのものは何でも進んでいると思って崇拝し
た時代の産物だ。」
(4)『新・小児保健』 今村榮一/編著 診断と治療社 2010.2
p.133-144 ・わが国では一般に「おんぶ」指向であった。
・昭和40年代のころから、抱っこ用具が普及するにつれて、おんぶが
少なくなり現在ではほとんど前に抱っこする形である。
・おんぶは首がしっかりする半年以降がよい。
(5)『育児大百科』ベネッセコーポレーション 2012.5
p.30-31「抱っことおんぶ」
2 雑誌
(1)「赤ちゃんのためにいいのは……おんぶかだっこか」船川幡夫
(「婦人生活」23巻2号 1969年2月 p.259-262)
・解剖学的にはだんぜんだっこ
・おんぶは家事上のつごうから出たもの
・昔長時間おんぶしたまま働かなければならなかったため、胸が圧迫されたり、下肢の
血行が悪くなってたっちが遅れたり、母親の目がとどかないため鼻がうずまってい
たということがあった。
・現代ではそんなに長時間のおんぶは考えられなくなった。むしろ外出のときなど、
安全を考えてのじょうずなおんぶはよいことです。
(2)「うちのヒットマン カドラードレシー「子守帯」」
(「サンデー毎日」1993年4月4日号 p.53)
「子供を連れて外出する機会が圧倒的に増えている中で、むしろ、ファッションの
観点から前抱き用子守帯が支持を得ている。「現在、外出用では80%から90%近くの
方が、前抱き用子守帯を使っています。背負うと紐で胸が締め付けられ、ファッショ
ン性に欠ける。」」
3 新聞
(1)「赤ちゃんをオンブして成長妨げる母さん 親心も果ては罪作り、改めたい悪習」
(「読売新聞」 1930年11月7日 朝刊5面)
(2)「東京っ子第一部 いまどきの親子 子連れでも心おきなく、かっこよく」
(「読売新聞」 1991年11月5日 朝刊 26面)
「育児雑貨メーカーの「トリゴエ」によると、だっこ用の子守帯やベルトが、おんぶ
用と逆転したのは、七、八年前。胸の線が現れるのと、所帯じみた感じが嫌われ、
おんぶ派はいまや一割程度という。」
(3)「支えあって子育て 風穴を開ける(反響編)」
(「読売新聞」 2006年6月16日 朝刊 26面)
「親の眼が届かないおんぶでは安全が心配」
(4)「育児書これじゃ困る 内容マチマチ」
(「朝日新聞」 1980年8月13日 朝刊13面)
11冊の育児書のうち、おんぶは避けたい5冊、気をつければよい6冊
(5)「おんぶよりだっこ 育児革命」
(「朝日新聞」 1982年2月23日 朝刊21面)
「胸の形があらわになる伝統的なおんぶヒモに比べ、「ファッション的にもいい」
「乳房を締めつけなくていい」と母乳推進派も大歓迎」
(6)「(専門誌に聞け)育みの前線:1季刊「発達」丸山碧編集担当」
(「朝日新聞」 2019年5月29日 朝刊13面)
・抱っこひもは赤ちゃんの見える世界が狭められ、手遊びや運動ができない。短時間
なら問題ないが、通常ではとらない姿勢のまま長くいるとのちの運動発達の問題
につながる可能性がある。
・かつて一般的だったおんぶは親の肩の上から顔を出して色々なものが見える。背中
をよじ登るなど運動もできる。経験的に大人は子どもの欲求や思いをとらえてい
たのだと感じる。
4 web上で公開されている論文等 ※最終確認日2021年2月18日
(1)「子どもの「運搬」における身体的負担」犬飼博子
(「日本家政学会誌」 vol.491 No.11 1998年 p.1233-1239)
https://doi.org/10.11428/jhej1987.49.1233
東京駅構内の子ども連れを調査。抱っこが78.1%、おんぶは6.5%。
「おんぶは、頻度の低い運搬方法であることも明らかになった。その理由には子ども
の様子がわからないこと、おんぶは格好が悪いといった外見の問題があげられた。」
(2)「おんぶひもに関する考察」原田眞澄
(「中国学園紀要 14」2015年6月 p.51-58)
http://id.nii.ac.jp/1640/00000955/
・公園や図書館などで見かけた親子連れになぜおんぶではなく抱っこをしているの
かと尋ねたところ、「今は色々怖いことが起こっている。子どもが自分の背中側
にいると見ることができない。」
・自宅で料理をする時はおんぶをしている。
(3)「近現代日本における育児行為と育児用品にみられる子育ての変化に関する一考察」
阿部和子〔ほか〕(「人間生活文化研究」No.24 2014)
https://doi.org/10.9748/hcs.2014.245
p.248「例えば、明治20年永井久一郎演術「論説東京婦人教育談話会」では「外へ
出るに附いて日本ではおぶッて出ることは大変わるい事であります。」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 育児 (599 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000295359