レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年11月18日
- 登録日時
- 2021/01/14 10:02
- 更新日時
- 2021/02/24 09:15
- 管理番号
- 京歴-533
- 質問
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解決
「芋棒」などの料理に使われる「棒鱈(ぼうだら)」は北前船で北海道から来たのか?
- 回答
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『京都人の舌つづみ』(①)p.158「鱈と鰊のお相手」の項に芋棒の説明があり、その中で「北海道で獲れた鰊、鱈などの魚類を干したものが、北前船で日本海を下って敦賀を経て京へともたられされるようになった江戸時代からの、いわゆるおばんざいのひとつである」と書かれている。
他、回答プロセス欄に記載の資料②~⑥に、棒鱈や北前船に関する記述があるのは見つかったが、棒鱈が北前船によって京都に運ばれたことを記した資料は見当たらなかった。
(2021年2月24日追記)
『京都はじまり物語』(⑦)に芋棒について記載があり、p.35に北海道の棒鱈が北前船によって京都に運ばれたことが書かれている。
- 回答プロセス
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京料理や運輸に関する資料を調べたところ、『京都人の舌つづみ』(①)に記述があった。
『京の味 : 老舗の味の文化史』(②)pp.225-228、『現代にいきづく京の伝統野菜 : 古都の食文化を担って』(③)pp.142-144ではいもぼうが紹介されており、棒鱈は「北海(北海道)のもの」とあるが、北前船で運ばれたものであるとは書かれていない。
『大海原に夢を求めて : 丹後の廻船と北前船 : 平成27年度海の京都・特別展図録』(④)pp.44-47では取引された品物が紹介されている。丹後の廻船や北前船で取引されていたものが書かれているが、棒鱈は掲載なし。北海道との交易については、江戸時代中頃は少ないが、幕末から明治時代になると、北海道から大阪までを結ぶ北前船が多くなり、運搬品も多岐に渡るようになるとある。
pp.52-55では明治~大正期の広告である引札が紹介されており、p.55には「北海産諸品」を扱う海産物加工品を販売する店の引き札が掲載されている。
『再発見京の魚 : おいしさの秘密』(⑤)pp.134-147「棒ダラ」の章の、pp141-142にマダラを長時間かけて自然乾燥した棒ダラは、マダラが水揚げされる各地(東北の日本海沿岸と北海道の各地)で製造されていたが現在は主に稚内地方で製造されていること、p.136に江戸時代の『本朝食鑑』ではタラは三越(越前・越中・越後)で獲れること等が紹介されているが、北前船については書かれていない。
『北前船 : 舞鶴・宮津・久美浜・竹野 : 江戸・明治の日本経済を支えた日本海沿岸航路』(⑥)に「各地の積荷」が掲載されているが、棒鱈らしきものはなし。
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383)
- 参考資料
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- ①『京都人の舌つづみ(PHP新書)』吉岡 幸雄著 PHP研究所 2004 (当館請求記号:K1S||383.816||Y92||)
- ②『京の味 : 老舗の味の文化史』駒敏郎著 向陽書房 2000 (当館請求記号:K1||596.21||Ko56||)
- ③『現代にいきづく京の伝統野菜 : 古都の食文化を担って』菊池昌治著 誠文堂新光社 2006 (当館請求記号:K1||626||Ki24||)
- ④『大海原に夢を求めて : 丹後の廻船と北前船 : 平成27年度海の京都・特別展図録』京都府立丹後郷土資料館編 京都府立丹後郷土資料館 2015 (当館請求記号:K4||683.216||Ky6||)
- ⑤『再発見京の魚 : おいしさの秘密』京の魚の研究会著 恒星社厚生閣 2017 (当館請求記号:K1||383.816||Ky5||)
- ⑥『北前船 : 舞鶴・宮津・久美浜・竹野 : 江戸・明治の日本経済を支えた日本海沿岸航路』北前船広域ネットワーク[編] 北前船広域ネットワーク 2017 (当館請求記号:K0||683.216||Ki66||)
- ⑦『京都はじまり物語』森谷尅久著 東京堂出版 2013 (当館請求記号:K0||216.2||Mo72||)
- キーワード
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- 棒鱈
- 北前船
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000292341