レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/03/17
- 登録日時
- 2020/10/05 00:30
- 更新日時
- 2020/10/06 09:23
- 管理番号
- 所沢富岡-2020-006
- 質問
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解決
球を最も効率的に詰め込む方法(最密充填)の数学的な証明について書かれている本はないか?
- 回答
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ご質問の証明は「ケプラー予想」と呼ばれる問題です。
ヨハネス・ケプラーの著書に記され、1998年にその証明が発表されています。
以下の資料に詳しく書かれています。
〇『ケプラー予想』 ジョージ・G.スピーロ/[著] 新潮社 2005年
〇『ビジュアル数学全史』 クリフォード・ピックオーバー/著 岩波書店 2017年
〇『美しい幾何学』 谷克彦/著 技術評論社 2019年
- 回答プロセス
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1.市内所蔵資料の内容を確認する(質問がケプラー関連だと推測)
〇『ケプラー予想』 ジョージ・G.スピーロ/[著] 新潮社 2005年
p.360-365 「訳者のあとがき」に以下の記載あり
「ケプラー予想は「大きさの等しい球をもっとも効率よく三次元空間に詰め込む方法は、果物屋の店先にオレンジが積まれるときの方法と同じである」と述べている」
「球を規則的に並べるという条件付きでなら、この予想が成り立つことは数学の王者ガウスがエレガントに証明してみせた」
「不規則な並べ方まで含めてあらゆる場合にこの予想が成り立つことを証明するには、これからさらに百七十年近くの時間を要し、ようやく二十世紀も末の一九九八年になって、ミシガン大学の数学者トマス・ヘールズが、コンピューターを大々的に利用する方法で証明を成し遂げた」
「ガボル・フェイエシュ=トートを責任者とする査読チームは、四年のあいだ精力的にヘールズの論文の査読に取り組んだ末に、「証明が正しいことは九九パーセントまで確信できたが、完全なる確信には到達できなかった」という報告を提出」
△『ケプラーと世界の調和』 渡辺正雄/編著 共立出版 1991年
p.207 「小球モデルを用いた説明は、科学史の上では、『新年の贈り物 あるいは六角形の雪について』の中で最も注目されている箇所である。(中略)ケプラーの小球モデルを用いた説明は、もっとも初期の最密球配置および立方格子状配置の記述である。」
最終証明については記載が見当たらない
×『はじめて読む数学の歴史』 上垣渉/著 ベレ出版 2006年
2.追加調査事項
〇『ビジュアル数学全史』 クリフォード・ピックオーバー/著 岩波書店 2017年
p.55 「1611年 ケプラー予想」の項目あり
「1611年、ドイツの数学者で天文学者でもあったヨハネス・ケプラーが、他の配置では是より高い充填密度は達成できないと書いた。特に、彼は著書『新年の贈り物あるいは六角形の雪について』の中で、面心立方充填や六方最密充填構造よりも高い密度で同一の球を3次元に詰め込むことは不可能である、と予想した」
「19世紀、カール・フリードリッヒ・ガウスが、伝統的な六角形の配置が正則な3次元格子としては最も効率的であることを証明した」
「1998年になって、アメリカの数学者トーマス・ヘールズが、ケプラーは正しかったという証明を発表して世界中を驚かせた」
「150個の変数を持つヘールズの方程式が、50個の球のあらゆるあり得る配置を表現している。」
「コンピューターによって、74パーセントよりも高い充填密度を達成できる変数の組み合わせが存在しないことが確認された」
p.141 「1900年 ヒルベルトの23の問題」の項目あり
「例えば、球体の効率的な充填の問題を取り上げたケプラー予想(問題18の一部)は、コンピュータを利用した証明が含まれているため、人間による検証が難しいようだ」
〇『美しい幾何学』 谷克彦/著 技術評論社 2019年
p.57 「コラム ケプラー予想」の項目あり
p.58 「3次元空間の最密充填(ケプラー予想の周期的な解)」の項目あり
(「ヒルベルト23の問題」の「第18問題」について記載された資料)
ヒルベルトが提起した「数学の進歩に役立つと考えた23の問題」の「第18問題 合同な多面体による空間の組立て」は「結晶群」「敷きつめ」「最密充填」の3つの問題からなる。「最密充填」の問題は、「合同な図形をできるだけ密に配置するにはどうしたらよいか」について取り扱ったもの
(「合同な図形」とは「例えば球」であり、「球」に限定したものが「ケプラー予想」に相当する)
△『ヒルベルト23の問題』 杉浦光夫/編 日本評論社 1997年
p.144-150 「第18問題 結晶群・敷きつめ・最密充填」の項目あり
p.149 「C. 最密充填」の項目あり
「球」を「平面」に配置する場合の証明についての記載あり
×『数学の問題』 ディビッド・ヒルベルト/著 共立出版 1977年
p.34-37 「18. 空間を合同な多面体で埋めること」の項目あり
p.110-112 「第18の問題」の解説あり
×『ヒルベルトの挑戦』 ジェレミー・J.グレイ/著 青土社 2003年
- 事前調査事項
- NDC
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- 幾何学 (414 9版)
- 数学 (410 9版)
- 参考資料
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- ケプラー予想 ジョージ・G.スピーロ/[著] 新潮社 2005.4 410.4 4-10-545401-3
- ビジュアル数学全史 クリフォード・ピックオーバー/著 岩波書店 2017.5 410.2 978-4-00-006327-2
- 美しい幾何学 谷克彦/著 技術評論社 2019.9 414 978-4-297-10810-6
- キーワード
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- ヨハネス・ケプラー
- ケプラー予想
- トマス・ヘールズ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000287878