レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/01/17
- 登録日時
- 2020/03/25 00:30
- 更新日時
- 2024/03/30 00:41
- 管理番号
- M20011617508417
- 質問
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刑法39条「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その行為を減軽する」が適応されるなどして、罪に問われなかったり、刑が減免されたりした触法精神障害者の再犯率が知りたい。
- 回答
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①『〈市民〉と刑事法』によると、不起訴処分、あるいは裁判で刑の減免を受けた触法精神障害者の11年間での再犯率は21.8%である。この比率は有罪判決を受けた一般の犯罪者と比べてかなり低い。11年間の追跡調査に基づき、殺人、または放火で有罪判決を受けた一般犯罪者の再犯率をみると、触法精神障害者の再犯率はその4分の1である、と書かれている。
①『〈市民〉と刑事法』で提示されている11年の追跡調査は、②『日本の犯罪学 7』に掲載されている。②『日本の犯罪学 7』によると、追跡調査の対象は、1980年1年間にわが国で犯罪を犯しながら精神障害者であることを理由に検察庁において不起訴処分を受けたり、あるいは裁判所で刑の減免を受けた、総計946例の触法精神障害者である。再犯に関して、法務省の調査票に基づき、これら946例の中で1991年までの11年間に再び事件を起こし、再度心神喪失ないし心神耗弱を認められて法務省に再報告された事件、および警察庁の前科調書に基づき、追跡期間中の再犯事件のうち、完全責任能力を認められて有罪判決を受け、その結果法務省には報告されていない事件について調査した。追跡期間である11年間に、946例中207例の触法精神障害者が、総計487件の事件を起こしていたことが明らかになった、と書かれている。
③『犯罪と犯罪者の精神医学』によると、「再犯研究概説」の「わが国における精神障害者の再犯研究の現状」の部分では、やはり、②『日本の犯罪学 7』の追跡調査が挙げられている。1995年に報告された山上らによる1980年触法精神障害者946例の11年間の追跡調査は、わが国の触法精神障害者の実態を知るうえで非常に貴重な資料である。1980~1991年の11年間の全再犯事例数は総計207例で、再犯事件の総数(累計)は487件であった、と書かれている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 刑法.刑事法 (326 9版)
- 参考資料
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①内田博文, 佐々木光明『〈市民〉と刑事法 : わたしとあなたのための生きた刑事法入門』 日本評論社,2016,266p. 参照はp.211-212.
②所一彦 [ほか]『日本の犯罪学 7(1978-95 1) (原因)』 東京大学出版会,1998,393p. 参照はp.41-43.
③山上皓『犯罪と犯罪者の精神医学 』 中山書店,2006,373p. 参照はp.18-23.
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①内田博文, 佐々木光明『〈市民〉と刑事法 : わたしとあなたのための生きた刑事法入門』 日本評論社,2016,266p. 参照はp.211-212.
- キーワード
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- 触法精神障害者 再犯 犯罪学 精神医学 刑法39条 心神喪失 心神耗弱
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2020011617510408417
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢
- 登録番号
- 1000276604