レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年1月8日
- 登録日時
- 2020/01/08 10:27
- 更新日時
- 2022/06/07 12:36
- 管理番号
- 2019-086
- 質問
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解決
明治41(1908)年以前に白文鳥(白無地の文鳥)が日本にいたことがわかる資料を探している。
できれば当時の資料がよい。
- 回答
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国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている下記資料の中に、明治41年以前に白文鳥(純白の文鳥)が生み出され、飼われていたことがわかる記述がありました。
・川口清五郎 著『諸鳥飼養全書』(博文館[ほか], 明36.12)
p.37「ブンテウ(文鳥)飼養法」に、
白文鳥が明治41年以前に生み出され飼われていたことがわかる記述があります。
下記URLからご覧いただけます。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/841886/57
また、下記資料の中には、白文鳥が江戸時代に生み出され、明治時代に飼われていたという記述があります。
・久永章武「ぶんてうの歴史」(『東京家禽雑誌』(40)p.7~, 1893(明治26)年)
※『東京家禽雑誌』は図書館送信参加館内公開となっております。
詳細やその他参考となる資料につきましては、回答プロセスをご覧ください。
- 回答プロセス
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1.事前調査で『東京横浜毎日新聞』に記事があったということだったので、本学契約毎日新聞記事データベース「毎索」でキーワードを「白文鳥」「白無地 AND 文鳥」などにして検索。
→明治41年以前の記事は見つからず。
2.本学統合検索システム(DOGS Plus)でキーワード:白文鳥 として検索。
検索結果より
本学契約朝日新聞記事データベース「聞蔵Ⅱ」
・「弥富の白文鳥、盛衰を本に 核家族化で需要減 /愛知県」(『朝日新聞』2009年10月27日 朝刊 名古屋・1地方 029頁)に、
「……最後の組合長大島静雄さん(84)が「弥富文鳥盛衰記」をまとめた……文鳥の飼育は江戸末期、旧又八村(現・弥富市)で始まった。……<弥富の文鳥生産> 江戸時代末期の 1865年ごろ、旧又八村に嫁入りした女性が、奉公先の尾張藩の武家屋敷から桜文鳥を土産として持参したのが始まり。……旧又八村で明治初め、全身が白く、くちばしが赤い白文鳥が突然変異で生まれた。改良を重ね日本唯一の特産地となった。」とあり。
『弥富文鳥盛衰記』(2009)の所蔵を確認。
弥富市立図書館に所蔵あり。
参考調査を依頼。→古い文献は所蔵していないとの回答。弥富市歴史民俗博物館をご紹介いただく。
弥富市歴史民俗資料館のHPを確認。
http://www.city.yatomi.lg.jp/kurashi/1000296/1000301/1000303.html [2019-11-11 参照]
「文鳥は金魚と同じころに弥富に来たといわれ、明治時代には突然変異により白文鳥が生まれました。生産者は近年減少していますが、かつては日本で唯一の産地として知られ、現在でも「文鳥の聖地」と呼ばれています。館内では昔の飼育道具や映像を見て、弥富文鳥の歴史や文化を学ぶことができます。」とあり。
歴史民俗資料館に参考調査を依頼。
→回答あり。
歴史民俗資料館では、弥富文鳥の明治時代の資料については伝承や口伝のみとなっており、写真や新聞記事などは所蔵がなく(所蔵する写真や新聞記事などは、弥富文鳥組合が結成された1962年以降のものとのこと)、明治時代以前の弥富の文鳥生産の情報は、以下の2点に依拠するとのこと。(回答より抜粋)
・「江戸時代末期に文鳥飼育が始まり明治時代にその中から白文鳥が生まれたという伝承が伝わっており、市内にある「白文鳥発祥地碑」も採用しています。」
・「1925年生まれの元文鳥農家、大島静雄氏が「祖父母の代から文鳥飼育を行っていた」と述べています。」
また、参考文献として「大島静雄(2009)『弥富文鳥盛衰記』ドートー印刷」をご紹介いただく。
上記回答についても利用者に伝える。
3.辞書類を調査
・本学契約データベースJapanKnowledge Lib
キーワード:白文鳥 ※全文検索。
『日本大百科全書』「ブンチョウ」の項がヒット。
「江戸末期になると、同県の海部(あま)郡弥富(やとみ)町の農家で大々的に生産されるようになり、ハクブンチョウ(白文鳥)もここで産出された」とあり。
"ブンチョウ", 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2019-11-07)
・Web検索 キーワード:又八村 白文鳥 で検索
→『愛知県姓氏歴史人物大辞典』p.308がヒット。
当館所蔵分で内容を確認。
p.306-309“海部郡 弥富町”
p.308「白文鳥と弥富金魚」の項に
「当時の文鳥飼育は一八六四(元治元)年ごろ、尾張藩の某屋敷に女中奉公していた八重女が、又八新田の大島新四郎に嫁ぎ、土産の文鳥を飼ったのが始まりといわれる。そして明治初年ごろ突然変異により白文鳥が誕生し、固定化に成功したといわれている」とあり。
4.国立国会図書館デジタルコレクションで検索。
キーワードを「白文鳥」にすると、明治41年以前の資料や記事がヒットしなかったため、「文鳥」で再検索。
※公開範囲=すべて
検索結果より
・川口清五郎『諸鳥飼養全書』(博文館[ほか], 明36.12)
p.37「ブンテウ(文鳥)飼養法」に、
「……観賞用の鳥である種類に純白の分がある之を最も上等となす……純白は一の変種であるが最初淡黒色の分に白の挿毛の分が出来しは今より百年前の事であるが夫れより間種に間種と白の挿毛の多い分と漸々交尾せしめて白の方を多くし数十年の歳月をかけて遂に純白のものを出すに至つた訳で……今日は先づ純然たる白の一種類をなすに至つたのであります……」
といった記述あり。
→明治36年の時点で観賞用として「白文鳥」が飼われていたことがわかる。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/841886/57 [2019-11-11参照]
・久永章武「ぶんてうの歴史」(『東京家禽雑誌』(40)p.7~, 1893(明治26)年)
p.8に「天保年間名古屋にて東部に白毛を交ゆるもの産出し……漸々全体純白にも変する……同地方は好鳥家多き土地なれは此の変種を買ひ入れんとて熱望するもの一時に四方に起り……東都は申すに及はす京坂地方へも輸出し大に利潤を得たり是れ我邦白文鳥の始めなりと同地人の大原楽氏(文鳥蕃殖専門家)の談話を聞きしとあり亦東京にては弓削田氏も大に文鳥を愛養し白文鳥をも専ら蕃殖せしめしとは飼育商富五郎(小石川掃除町に住居)に親しく見且つ数十羽を買ひ受け諸所へ売り込みたりと語れり……」といった記述あり。
→江戸時代に白文鳥が産出され、明治26年の時点で売買されて飼われていたことがわかる。
※『東京家禽雑誌』は図書館送信参加館内公開。
5.その他
『東京横浜毎日新聞』(復刻版)(所蔵巻号:2693-4622 年次:1879-1886)は本学社会学部が所蔵。
- 事前調査事項
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Web情報:「文鳥(ブンチョウ)の歴史と品種」(http://www.bunchoya.com/setsu/syu.htm)に、
「1885年の『東京横浜毎日新聞』に「白無地」の「ブンチョウ」を欧米に輸出しているとの記事があるので、それ以前に白文鳥が誕生していたのは、まず間違いありません。」
とある。
愛知県弥富町で生まれたらしい。
『朝日新聞』2009年10月27日 朝刊, 名古屋・1地方, 029頁「弥富の白文鳥、盛衰を本に 核家族化で需要減 /愛知県」は確認済。
- NDC
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- 畜産業 (640 10版)
- 家禽 (646 10版)
- 参考資料
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毎日新聞社 (1879年). 東京横浜毎日新聞 復刻版. 不二出版, 1990.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000074956-00 (NCID:AN10216127) - 「弥富の白文鳥、盛衰を本に 核家族化で需要減 /愛知県」(『朝日新聞』2009年10月27日, 朝刊, 名古屋・1地方, 029頁. 朝日新聞記事データベース聞蔵Ⅱ. [2019-11-11 参照])
- 弥富市文鳥組合編. 弥富文鳥盛衰記. 2009.
- "ブンチョウ", 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge Lib (https://japanknowledge.com [参照 2019-11-07])
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竹内理三 [ほか]編纂. 角川日本姓氏歴史人物大辞典 23. 角川書店, 1991.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002143326-00 , ISBN 4040022300 (NCID:BN0688936X) -
川口清五郎 著 , 川口, 清五郎. 諸鳥飼養全書. 博文館[ほか], 1903.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000480659-00 (国立国会図書館デジタルコレクションで公開 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/841886/57 [2019-11-11参照]) -
東京家禽雑誌 (40). 東京家禽雑誌社, 1893-10.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I000210065-00 (p.7~ 久永章武「ぶんてうの歴史」
国立国会図書館デジタルコレクション 公開範囲:図書館送信参加館内公開)
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毎日新聞社 (1879年). 東京横浜毎日新聞 復刻版. 不二出版, 1990.
- キーワード
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- 白文鳥
- 弥富文鳥
- 弥富市
- 照会先
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- 弥富市立図書館
- 弥富市歴史民俗資料館
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 家禽
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000272341