レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年02月17日
- 登録日時
- 2019/09/10 15:46
- 更新日時
- 2020/04/14 13:50
- 管理番号
- n1003770-6
- 質問
-
解決
学童保育のおやつについて、その意義や歴史、先駆的取り組みを調べたいと思っていますので、関連資料があれば教えてください。少し前に、「食の安全」というテーマで勉強会を開催したところ、食べ物の安全に気遣うお母さまから「学童で出すおやつがスナック菓子が多いのは、改善できないものか」という意見が出ました。そこで、そもそも学童保育にはなぜおやつがあるのか、その意味や歴史、そして食育や栄養バランスを考慮したおやつの工夫をしている取り組みにはどんなものがあるかを調べたいのです。
- 回答
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〇学童保育の歴史や行政の取組みなどについて
・『現代日本の学童保育』 日本学童保育学会/編 旬報社 2012.11 ISBN978-4-8451-1276-0
*P.120「おやつ代」について。
・『児童館・学童保育と居場所づくり』 児童館・学童保育21世紀委員会/編著 萌文社 1995.10 ISBN4-938631-46-6
・『学童保育と子どもの放課後』 増山均/著 新日本出版社 2015.10 ISBN978-4-406-05944-2
・『民間委託で学童保育はどうなるの?』 東京・小金井の親たち/編著 公人社 2010.3 978-4-86162-066-9
・『放課後の居場所を考える 』 下浦忠治/[著] 岩波書店 2007.5 ISBN978-4-00-009401-6
・『学童保育』 下浦忠治/[著] 岩波書店 2002.4 ISBN4-00-009265-0
・『日本子ども資料年鑑』 2017 母子愛育会愛育研究所/編 KTC中央出版 2017.2 ISBN 978-4-87758-379-8
〇指導員の経験談や実践(放課後プランなど)について
・『学童保育の福祉問題』 日本女子大学附属家庭福祉センター/編 勁草書房 1993.10 ISBN4-326-60089-6
*P,7 2.学童保育政策の根拠と具体的施策の推移
1960年代から「学童保育」の施策が始まった経緯について、厚生省と文部省(ともに当時)の各対応のかかわりについて記載。
P,29 第2章 学童保育 2.学童保育の問題と今後の課題 (7)貧困対策か に「子どもの教材・おやつなどが無料であること」の一文があり、おやつが無料である(あった)ことがわかる。
・『「小1のカベ」に勝つ』 保育園を考える親の会/編著 実務教育出版 2015.3 ISBN978-4-7889-1486-5
*働く親のための子育てマニュアル・ガイド的資料。P,55 基本編 08 放課後生活はどんなふう? に①学校がある日のプログラム例 があり、下校のあと16:00おやつ がある。
・『学童保育実践入門』 中山芳一/著 かもがわ出版 2012.10 ISBN978-4-7803-0571-5
*P,22 おやつを「生活の補食」と捉えている。
・『遊びをつくる、生活をつくる。』 楠凡之/編 かもがわ出版 2017.7 ISBN978-4-7803-0926-3
*P,27 外でほかの子供の指導中「おやつを食べ終わった」児童のもとへ急ぎ帰る指導員の行動が示されており、おやつの時間が子どもでまちまちなことがあることがわかる。
・ 『よくわかる放課後子どもプラン』 全国学童保育連絡協議会/編集 ぎょうせい 2007.4 ISBN978-4-324-08214-0
*P,53 学年によって帰宅時間が異なる児童についての記載があり、「「子どもたちがそろう頃 おやつの時間です」との記述あり。
・『子どもの発達と学童保育』 田丸敏高/編著 福村出版 2011.10 ISBN978-4-571-10158-8
*P,45 おやつを準備する 「子どもはまず、おやつがほしいと言います。「おやつ」にはどのような意味があるのでしょうか」の後、子どもにとってのおやつの意味や価値、役割について説明があり、「おやつには深い思慮をもって検討する価値が十分あります」とある。
・『わたしは学童保育指導員 河野伸枝/著 高文研 2009.7 ISBN978-4-87498-423-9
*P,34 一息ついてみんなで和むおやつの時間 におやつが補食としての栄養を補う面や、夕食までの時間が長い子どももいるのでおやつが必要であること、人気のおやつや指導員と一緒におやつ作りをする様子などが記載されている(写真あり)。
・『学童保育ここに始まる 土屋正忠/編 花伝社 1998.11 ISBN4-7634-0329-X
*P,71 おやつの時間は3時で、学年が上がると帰りの時間が遅くなり、おやつの時間が「ずれる」旨の記載がある。
〇諸外国の子どもの放課後(学童保育)について
・『 子どもの放課後を考える』 池本美香/編著 勁草書房 2009.12 ISBN978-4-326-25060-8
*フランス、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、イギリス、アメリカ、オーストラリア、韓国、日本の放課後対策について考える。副題は「諸外国との比較でみる学童保育問題」。P,118(第6章アメリカ)「日課」についての規範の説明があり、食事・栄養について細かい規範がある旨簡単に説明している。「常に水を飲める状態にする」「ジュースについては100%果汁をコップから飲む」など。
P,178(第10章 私立学校・企業の取組み)保護者の迎え時間が18時半を過ぎる場合は「軽食が提供」される。
P,183 NPOによって運営されている学童保育を併設している一般の会社について。社屋2階に学童保育の場所があるが、同じ階にカフェがありそのキッチンを使って子どもたちがおやつを作ったり、おやつをオフィスに売りに来ることなどが記載されている。
・『 しあわせな放課後の時間』 石橋裕子/著 高文研 2013.10 ISBN978-4-87498-528-1
副題は「デンマークとフィンランドの学童保育に学ぶ」。p,143 おやつは至福の時間 学童保育所で子どもの帰りをまつ指導員がオレンジを切ったり、お菓子を皿に盛ったりしていたこと、三々五々帰る子どもが指導員と話しをしながらおやつを食べている様子が書かれている。「おやつを食べながら、きっと今日のできごとをあれこれ話しているんだろうなあ、という雰囲気でした」
〇学童保育でのおやつについての論文
・『学童保育での生活におけるおやつの役割に関する研究』嵯峨 美咲 / サガ ミサキ
松本 歩子 / マツモト アユコ ( 科研費研究者番号: 10615058 ) 花輪 由樹 / ハナワ ユキ ( 科研費研究者番号: 80804377 ) 平安女学院大学子ども教育学部 平安女学院大学子ども教育学部紀要 2018-02-28
https://st.agnes.repo.nii.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=31&item_id=2363&item_no=1
*学童保育における「おやつ」の役割に着目し、今後の放課後児童対策におけるおやつの役割を考察。このなかでおやつは96.3%の学童保育で提供されており、生活行為のひとつで①栄養面での役割、②精神面での役割 ③教育面での役割 があると指摘。
・『放課後児童クラブの生活環境整備に関する研究:提供されるおやつと食べる空間の実態』
秋武由子 福岡教育大学非常勤講師 柳田あやの 福岡教育大学卒業生 鈴木佐代 福岡教育大学家政教育講座 豊増美喜 大分大学大学院工学研究科
福岡教育大学紀要.10-Feb-2015
http://libopac.fukuoka-edu.ac.jp/dspace/bitstream/10780/1691/1/5-19-Suzuki-2015%28%E3%81%9D%E3%81%AE6%29.pdf
*福岡県KA市の放課後児童クラブを対象に、おやつを食べる環境について検討するため、おやつに対する指導員の考え、おやつの量の自由度、おやつ時の空間づくりについて「児童と指導員の行動観察調査および指導員へのヒアリング調査より実態を把握」。
・『宮城県の学童保育におけるおやつの現状と課題』 高橋 比呂映 平本 福子 宮城学院女子大学 生活環境科学研究所研究報告 46巻 2014-03-01
file:///C:/Users/gyomu02/Downloads/%E5%AE%AE%E5%9F%8E%E7%9C%8C%E3%81%AE%E5%AD%A6%E7%AB%A5%E4%BF%9D%E8%82%B2%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%8A%E3%82%84%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E3%81%A8%E8%AA%B2%E9%A1%8C.pdf
*Ⅰ 1,に「学童保育は、1903年に日露戦争で出征した兵士の留守家庭の低学年児童を預かったことが源流である」とあり。「学童保育でのおやつを考える際に、1997年の児童福祉法改正で学童保育が法的に位置づけられた際に、「生活の場」と定義されたことが重要である」とある。おやつが提供されている学童保育所は96.3%だが、その中で指導員が業務としておやつを提供している施設は76.9%で、それ以外は保護者が準備している、とある。
・『学童保育室のおやつ調査』寺嶋 昌代 東海学院大学紀要 2009-01-01
file:///C:/Users/gyomu02/Downloads/KJ00006191579.pdf
*おやつ内容、その分類と出された回数、それぞれの熱量、脂質量など、児童の家での朝食と家でのおやつ、および学童のおやつに対する満足度、なども調査。成長期にある子どもにとって「間食」が必要であり(間食というより軽食)「空腹を満たし、気分転換をはかり、喜びを与える機能」がおやつにはある、としている。
〇参考URL
放課後児童クラブ運営指針 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11906000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Ikuseikankyouka/0000080763.pdf
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ご質問にあるように「意義や歴史」については各資料、論文で触れられていますが、「先駆的取り組み」については今回提供した資料では見いだせていません。ただ、「珍しい」おやつとして、地元の山菜を提供していた例はありました。
「スナック菓子」の問題については、論文『学童保育室のおやつ調査』寺嶋 昌代 東海学院大学紀要 2009-01-01 のなかに、「おやつは手作りで、あるいは、親と語らいながら手作りというのが理想かもしれないが、学童保育では、安全上袋菓子に頼らざるを得ない状況もあり」とあるのが参考になるかも知れません。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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- 現代日本の学童保育 日本学童保育学会/編 旬報社 2012.11 , ISBN 978-4-8451-1276-0
- 児童館・学童保育と居場所づくり 児童館・学童保育21世紀委員会/編著 萌文社 1995.10 , ISBN 4-938631-46-6
- 学童保育と子どもの放課後 増山均/著 新日本出版社 2015.10 , ISBN 978-4-406-05944-2
- 民間委託で学童保育はどうなるの? 東京・小金井の親たち/編著 公人社 2010.3 , ISBN 978-4-86162-066-9
- 放課後の居場所を考える 下浦忠治/[著] 岩波書店 2007.5 , ISBN 978-4-00-009401-6
- 学童保育 下浦忠治/[著] 岩波書店 2002.4 , ISBN 4-00-009265-0
- 日本子ども資料年鑑 2017 母子愛育会愛育研究所/編 KTC中央出版 2017.2 , ISBN 978-4-87758-379-8
- 学童保育の福祉問題 日本女子大学附属家庭福祉センター/編 勁草書房 1993.10 , ISBN 4-326-60089-6
- 「小1のカベ」に勝つ 保育園を考える親の会/編著 実務教育出版 2015.3 , ISBN 978-4-7889-1486-5
- 学童保育実践入門 中山芳一/著 かもがわ出版 2012.10 , ISBN 978-4-7803-0571-5
- 学童保育指導員の仕事 あそびのハンドブック 学童保育あそび隊/編著 いかだ社 2015.11 , ISBN 9784-870514539
- 遊びをつくる、生活をつくる。 楠凡之/編 かもがわ出版 2017.7 , ISBN 978-4-7803-0926-3
- よくわかる放課後子どもプラン 全国学童保育連絡協議会/編集 ぎょうせい 2007.4 , ISBN 978-4-324-08214-0
- 子どもの発達と学童保育 田丸敏高/編著 福村出版 2011.10 , ISBN 978-4-571-10158-8
- わたしは学童保育指導員 河野伸枝/著 高文研 2009.7 , ISBN 978-4-87498-423-9
- 学童保育ここに始まる 土屋正忠/編 花伝社 1998.11 , ISBN 4-7634-0329-X
- ぼくらのオアシス学童保育 東京都学童保育連絡協議会/編 一声社 1999.1 , ISBN 4-87077-153-5
- 磨き耕す保育者のまなざし 森崎照子/著 かもがわ出版 2012.9 , ISBN 978-4-7803-0544-9
- 子どもの放課後を考える 池本美香/編著 勁草書房 2009.12 978-4-326-25060-8 , ISBN 978-4-326-25060-8
- しあわせな放課後の時間 石橋裕子/著 高文研 2013.10 , ISBN 978-4-87498-528-1
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000261179