謡曲「賀茂」原文は、「解註謡曲全集 第1巻」収録。※質問受付時提供済
質問に「小うた」とあるが、「小謡」のことと思われる。
小謡:謡曲中の短い一節を抜き出して囃子を伴わずに謡うもの(「広辞苑」より)
「小謡集」を当館では所蔵していないため、国立国会図書館のデジタル資料より確認。小謡としては下記の記載など。
「小謡集 平仮名付」瀬川頼秀編 大正12年刊
・「御手洗の、聲も涼しき夏陰や、聲も涼しき夏陰や、糺の杜の梢より、初音ふり行く時鳥、なほ過ぎがてに行きやらで、今一通り村雨の、雲もかけろふ夕づく日、夏なき水の河隈、汲まずとも陰は疎からじ、汲まずとも陰は疎からじ」
・「石川や、瀬見の小河の清ければ、瀬見の小河の清ければ、月も流れを尋ねてぞ、澄むも濁るも同じ江の、浅からぬ心もて、何の疑いのあるべき。年の矢の、早くも過ぐる光陰、惜しみても帰らぬはもとの水、流れはよも盡きじ。絶えせぬぞ手向けなりける。」
【参考】観世流では、「年の矢の」以下が、喜多流、式例では、「御手洗の」以下, 金剛流では、「今一通り」以下が、宝生流、祝言では、「汲むや心も」以下が謡われている。
これだけでは質問にある小謡がどれに当たるのかは、確定できないため、香雪美術館の展示を美術館HPで確認。
「筑前・黒田家が伝えた名宝 -福岡市美術館コレクションより」(2015年8月22日~10月18日)
さらに福岡市美術館HPで確認。
狩野探幽・画 沢庵和尚・賛 「宗英公像」のことと思われる。
同画像を検索。
インターネット上で、下記論文中に画像があり。
門脇むつみ「趙州狗子話と絵画 -祖師図、肖像画、宗達、若冲ー」 (城西国際大学「日本研究センター紀要」第4号所収)
http://www.jiu.ac.jp/japan/hontai/kiyo/04_04.pdf 「宗英公像」に沢庵和尚が賛として記載されたのは謡曲「賀茂」の中の下記部分。
「石川や、瀬見の小河の清ければ、瀬見の小河の清ければ、月も流れを尋ねてぞ、澄むも濁るも同じ江の、浅からぬ心もて、何の疑いのあるべき。年の矢の、早くも過ぐる光陰、惜しみても帰らぬはもとの水、流れはよも盡きじ。絶えせぬぞ手向けなりける。」