レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年3月21日
- 登録日時
- 2019/01/04 11:20
- 更新日時
- 2022/10/04 17:07
- 管理番号
- 2062
- 質問
-
未解決
夜明け前の空に青い月が見えた。理由が知りたい。
- 回答
-
1.「月が青く見える」しくみが説明された資料は見つけることができませんでした。
月の色や見え方についてわかったことや参考になった資料を紹介します。
月の光は、太陽光が月に当たって反射されたものを目が捉えたものです。
月の色は、一般的に黄色と認識されていますが、実際には、その光が通過する大気の
状態(含まれる成分・チリ・水蒸気の粒子の大きさや量)、季節、月の位置(高度)など、
様々なものの影響を受けて、変化して感じられます。
日中、太陽光が地表に届くとき、大気やチリ・水蒸気にぶつかり散乱して、
おもに青い色が目に届きます(それを空の色と感じています)。
大気中にチリが多いと赤っぽく、水蒸気が多いと白っぽくなります。
月の光についても同じようなことがおこります。
ですから、チリや水蒸気が少ない時の方が月の光も青くなることが考えられますが、
月の光は太陽光ほど強くはないため空は暗色で青い光が感じられることはありません。
月の色については、夜、低い位置にあるときは赤っぽく見え、高く昇るに従い、赤みが減り
黄色(または白)っぽくなります。日中は、散乱した太陽光が重なり、白く見えます。
「青い月が見えた」という夜明け前の空は青藍色をしています。
地表はまだ影で暗いのですが、上層の大気に差す太陽光が散乱して青い光が通ってくるため
このような色になります。
この時間には、月は、西の空では少し黄色っぽく、南の中天に近い月は日中と同じく白っぽく
見えます。
ですが、空の青さ(青い光の量)や大気の状態などによっては、月まで青く見えることがあるかも
しれません。
・『自然の中の光と色』(桜井邦朋/著 中央公論社 1991年)425
光の散乱、色の見え方、月の見かけの色、空の色、どれについても詳しく書かれています。
青く見える月については、宇宙空間で観察されたものについての記述があります。
p.33-
空の色の見え方、そのしくみ
p.69-
夜明け前の空の色
p.74-
月の色の見え方
p.80
青く見える月
「スカイラブ実験のクルーが、アポロ衛星船から撮影したもので(中略)大気によって散乱されて
戻ってきた青い色の光が月からの光に重なって、月までが青紫がかってみえた」
2.以下の資料にも「月が青く見える」ということに関する記述がありました。
・『デジタルカメラによる月の撮り方』(月の撮り方研究会/編 誠文堂新光社 2011年)442.7
p.127
「大気中のチリの影響でまれに月が青く見えるブルームーンなどもよく知られています」
3.以下のサイトのQ&Aに「月が青くみえること」に関する解説がありました。
・「月探査情報ステーション」
「月が蒼くみえるときがあるようですが、なぜそのようにみえるのでしょう?」
(https://moonstation.jp/faq-items/q025)
ここでも、月の見かけの色は地球の大気や月の位置などにより変化すると説明されており、
「観測者の間では、夏よりも冬の月の方がより青くみえるそうです」と書かれています。
(2022年3月22日確認)
■追記
2022.10.2情報提供いただきました
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ネット上の子ども向けの情報ですが、「ブルーモーメント」について
専門家によるわかりやすい説明がありました。
魔法のような色の空はなぜ見える?薄明・マジックアワーのナゾ Honda Kids(キッズ)
荒木健太郎 雲研究者 気象庁気象研究所所属 博士(学術)
https://www.honda.co.jp/kids/explore/twilight/
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補足:ブルーモーメントの際に「月が青く見える」かは不詳です。
確認済資料
・『BLUE MOMENT』吉村和敏/著 小学館 2007年
URL確認日:2022.10.4
- 回答プロセス
-
1.月に関する資料を調査
・『最新・月の科学』(渡部潤一/編著 日本放送出版協会 2008年)446
p.36-
月のみかけの色は月の高さや大気中のチリ・水蒸気により影響を受けることが書かれている。
・『デジタルカメラによる月の撮り方』(月の撮り方研究会/編 誠文堂新光社 2011年)442.7
p.127
青く見える月の存在が知られていると書かれている。
「大気中のチリの影響でまれに月が青く見えるブルームーン」(上述)
2.大気中のチリや成分に関する資料を調査
月のみかけの色が地球の大気やチリに影響を受けているという記述があったため
大気に関する資料を調査した。
公害や地学関連の資料も調べたが参考になるものは見つからなかった。
・『空気のはなし』(稲場 秀明/著 技報堂出版 2016年)435
p.50-
空の色の見え方や光の散乱について詳しく書かれている。
3.光や色に関する資料を調査
光・色の見え方を詳細したものを探した。
・『光と色のサイエンス』(ニュートンプレス 2015年)425
p.46-
空の色や光の散乱のしくみを図解する。
・『自然の中の光と色』(桜井邦朋/著 中央公論社 1991年)425
光の散乱、色の見え方、月の見かけの色、空の色、どれについても詳しく書かれている。
青く見える月については、宇宙空間で観察されたという記述がある。
p.33-
空の色の見え方、そのしくみ
p.69-
夜明け前の空の色
p.74-
月の色の見え方
p.80
青く見える月
「スカイラブ実験のクルーが、アポロ衛星船から撮影したもので(中略)大気によって散乱されて
戻ってきた青い色の光が月からの光に重なって、月までが青紫がかってみえた」
- 事前調査事項
- NDC
-
- 光学 (425 10版)
- 無機化学 (435 10版)
- 月 (446 10版)
- 参考資料
-
-
『空気のはなし』
(稲場 秀明/著 技報堂出版 2016年) -
『最新・月の科学』
(渡部潤一/編著 日本放送出版協会 2008年) -
『自然の中の光と色』
(桜井邦朋/著 中央公論社 1991年) -
『デジタルカメラによる月の撮り方』
(月の撮り方研究会/編 誠文堂新光社 2011年) -
『光と色のサイエンス』
(ニュートンプレス 2015年)
-
『空気のはなし』
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
-
- レファレンス協同データベース事業サポーター
- 備考
-
以前に同じ質問をした利用者が回答に納得できず再度質問してきたもの。
前回と今回とは別の職員が対応した。
前回の回答は以下のとおり。
月の満ち欠けの周期は平均29.5日なので、一月のうちに満月が2回あることがあり、
2日目の満月を「ブルームーン」と呼びます。
・『天文学はこんなに楽しい』縣秀彦/監修 誠文堂新光社 2005年
p196 ブルームーン
・『月の名前』高橋順子/文 佐藤秀明/写真 デコ 2012年
p27 青月
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000249611