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・『日本国語大辞典 第二版 9 ちゆうひ-とん』日本国語大辞典第二版編集委員会、小学館国語辞典編集部編 小学館 2001
p.59~60に「ちょう-じょう テフジャウ【牒状】」の項があり、「①「ちょう(牒)②」に同じ」「②寺院間で交わされる文書」「③国の元首が、その国の名をもって他国に遣わす国書」とあります。
また、p.19に「ちょう テフ【牒】」があり、「②古文書の様式の一つ。互いに所管・被管関係のない官司、または官司に準ずる所の間でとりかわす文書」とあります。
・『註解 養老令』會田範治著 有信堂 1964
「戸令 第八」のp.457~460に「七出條」があり「註1 本条は夫が妻を離婚する原因を規定したものである。」「6 妻に離婚の原因があれば夫はその事由を手書して、尊属、近親の連署ある離婚状(棄状又は離状という)を里長に送附する。(中略)この手書を里長に送附すれば之を官司に送って計帳の時を以て除棄するのである」とあります。
また、p.463~465に「毆妻祖父母條」があり、「註1 本条は離婚の最も重大な義絶について規定したものである。」「凡そ離婚には、強制離婚、請求離婚、協議離婚がある。」とあり、強制離婚は「意思の如何に拘らず、法律的に離婚を強制するもの」、請求離婚は「夫又は妻の一方から請求して離婚することで、本令の結婚条(二十六)と七出条(二十八)がそれである。」、協議離婚は「和離ともいうが令に明文がない。」と記述されています。
p.455~457に「結婚條」があり、「註1 本条は女家より婚姻の解消および離婚を男家に対して請求し得べき場合を規定したものである。」とあります。こちらには状を作るような手続きについての記述はありませんが、離婚を請求し得る場合として「夫が逃亡したとき。」などの記述があります。
「七出條」及び「毆妻祖父母條」、「結婚條」に「牒状」という語は見つけられませんでした。
・『日本法制史概要』石井良助著 創文社 1956
p.60~65「第十三章 親族法」のp.63に「律令に規定された離婚には、和離、棄妻、義絶及び夫の失踪による離婚の四つがある。」「夫は棄妻の場合には、その旨を手書して、牒状(届書)を作り、その尊属近親の連署を得て、所轄の官司に提出しなければならない。もし夫が書を解しないときは、他人をして牒状を作らしめ、自分はこれに画指(かくし)を加えるをもつて足りた。」とあります。