レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/10/06
- 登録日時
- 2018/12/23 00:30
- 更新日時
- 2018/12/23 00:30
- 管理番号
- 6001034946
- 質問
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解決
何かの本から脱落した一部のページが手元にある。それが収録されている資料を特定し、全文を見たい。
■脱落ページからわかる情報
・A5サイズ程度。p45-52のみで冒頭部分、末尾部分はない。三段組みの本文とページ数以外は情報なし。
・内容は座談会。出席者名(登場順):岡戸・海音寺・土屋・北町・東野村・戸伏・鹿島
・中見出し:p46『日の出』五月号 p51『講談倶楽部』五月号
- 回答
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このページは、雑誌『文学建設 昭和16年5月号』に収録されている次の記事の一部分であることがわかった。
・岡戸武平ほか「作品批評座談会」『文学建設』3(5) <29>(文学建設社 1941.5)p42-58
以下に回答プロセスを記入する。
1)脱落したページの内容を調査
・文字の組み方、紙質、内容などから、大正から昭和初期くらいの古い雑誌と推定。
・内容は、文芸時評のようなもので、おそらく当該雑誌刊行の前月頃に刊行された大衆文学雑誌掲載作品を俎上にあげて批評している。
・中で海音寺潮五郎の「淵上兄弟」が取り上げられており、その時の会話内容から、参加者の「海音寺」は作家の海音寺潮五郎であることが判明。
2)収録雑誌の刊行年について調査
■登場する雑誌の刊行時期について調査
『日本近代文学大事典 第5巻 新聞・雑誌』(日本近代文学館/編 講談社 1977.11)
p377『日の出』新潮社発行の大衆雑誌。昭和7・8~20・12
p102『講談倶楽部』講談社発行の大衆雑誌。第一期は明治44.11~昭和21.2
■海音寺潮五郎作品「淵上兄弟」の初出掲載時期について調査
・『海音寺潮五郎全集 第21巻 史論と歴史随筆 現代小説』(海音寺潮五郎/著 朝日新聞社 1971)
年譜 p618-619 「昭和16年(1941)5月「淵上兄弟」(日の出)」とあり。
以上のことから、この脱落ページの記事は昭和16年刊行の雑誌掲載小説に対する批評を掲載しているため、昭和16年発行の雑誌だということが判明した。
3)座談会出席者について調査
「海音寺」は作家の海音寺潮五郎であることから、作家中心の座談会だと考え、昭和16年当時活躍していた大衆文学作家を『日本近代文学大事典』やオンラインデータベースのWhoPLUSなどを用いて調査した。その結果、4名については次の作家であると推定した。
岡戸:岡戸武平
北町:北町一郎
戸伏:戸伏太平
鹿島:鹿島孝二 (土屋と東野村は不明)
4)掲載雑誌について調査
座談会の内容から、大衆文学雑誌だと思われるため、大衆文学関係資料を調査した。
・『大衆文学の歴史 上 戦前篇』(尾崎秀樹/著 講談社 1989.3)
索引で調査したところ、3)で推定した4名及び海音寺潮五郎に共通の掲載ページ(p244)があったため、確認。「「文学建設」系の作家たち」(p243-245)という見出しの文章により、この5名が雑誌『文学建設』の同人であったことが判明した。
5)『文学建設』の掲載号について調査
次の資料を調査した。
・『文学建設 総目次 創刊号-5巻9号(昭和14年1月-18年11月)』(文学建設社 1980.1)
2)で昭和16年頃発行の雑誌という事が推定できたので、その年前後を調査したところ、「文学建設 昭和16年5月号目次」(p73)に次のようにあり。
「オール読物 日の出 講談倶楽部 大衆文芸 文学建設 ●作品批評座談会●
出席者 岡戸武平 海音寺潮五郎 鹿島孝二 北町一郎 戸伏太平 東野村章 土屋光司 (四二)」
現物を確認したところ、『文学建設 昭和16年5月号』掲載の座談会の一部のページであることが判明した。
[事例作成日:2018年10月6日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 図書.書誌学 (020 8版)
- 参考資料
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- 文学建設 文学建設社 3(1-11)<25-35> (3(5) <29> p42-58)
- 日本近代文学大事典 第5巻 日本近代文学館∥編 講談社 1977.11 (p377・102)
- 海音寺潮五郎全集 第21巻 海音寺/潮五郎∥[著] 朝日新聞社 1971 (p618-619)
- 大衆文学の歴史 上 尾崎/秀樹∥著 講談社 1989.3 (p243-245)
- 文学建設 文学建設社 総目次 創刊号-5巻9号(昭和14年1月-18年11月) (p73)
- キーワード
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- 書誌(ショシ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- その他
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000249109