まず、レーザー・レーサーという水着の騒動について、新聞記事検索、雑誌記事検索で調査した。
「magazineplus」で「レーザー・レーサー」のみ入れて調査した場合、10件の該当記事があった。そのうち6誌が当館に所蔵があったため、内容を確認すると、水着の騒動について書いてあるものは以下の通り。
「週刊文春」2008.6.12の146~147p.に関連記事が出ている。北京五輪選手がレーザー・レーサーを着用できないために、メダルを逃すかもしれないという不安の声が上がっていること、レーザー・レーサーを着用した選手の記録ラッシュに、国際水泳連盟が禁止している『推進力や浮力を与える道具』の使用に当たるのではないかと、調査が行われたが、問題がなかったことなどが書かれている。
「現代」2008.8の174p~189pに関連記事が出ている。日本水泳連盟で契約しているメーカーではないスピード社のレーザー・レーサーを北京五輪限定で着用可能となったことが記されている。これに伴い、北島康介選手がミズノとアドバイザリー契約を結んでいたために着用することができなかったレーザー・レーサーの着用が可能になったことが書かれている。さらには、国際水泳連盟の水着に関する規則の変更に対して、日本メーカーが遅れをとったことがレーザー・レーサーの騒動の一端となるなど、様々な要因が書かれている。
「Newsweek」2008.7の38~40p.に関連記事が出ている。レーザー・レーサーが浮力を増す道具などの使用を禁じた国際水泳連盟の規定に違反するという苦情があったことを記している。
また、キーワードを「高速水着」にすると、7件の該当記事があり、その内の1誌で下記の記述があった。
「デサントスポーツ科学」Vol.33に高速水着に関して論文が掲載されている。その中の諸言で、高速水着が登場し、問題視された経緯と終息したことが記述されている。それによると、高速水着が一部の選手しか着用できない期間があったこと、浮力の付加効果があるのではないかとの憶測が生じたこと、記録の短縮幅や更新率があまりに大きかったことなどが挙げられている。
次に、新聞のデータベースを使い、「レーザー・レーサー」の単語を入れて検索した。「聞蔵Ⅱビジュアル for libraries」では147件該当した。山陽新聞社総合データベースSandex」では98件該当した。「読売新聞ヨミダス歴史館」では142件該当した。
主に山陽新聞の記事でいくつか紹介し、下記の通りとなった。
山陽新聞朝刊2008年6月1日記事では、見出しを「水着革命」 衝撃 波紋 「技術ドーピング」批判も 国内3社ようやく改良品」として、成績を左右するほど水着が進化していること、「『すべての競技者が入手可能』とする国際水泳連盟」のルールに違反するという批判があることなどの問題点を報じている。
山陽新聞朝刊2008年6月26日記事では、見出しを「「スピード」騒動 「水着革命」日本勢出遅れ 情報戦での弱さ浮き彫り」として、日本の水着開発において政治力が負けたこと、国際水泳連盟のルールがあいまいなことを報じている。
山陽新聞朝刊2008年12月21日記事では、2009年4月より豪水泳連盟が8歳以下のジュニア選手を対象に、「レーザー・レーサー」など上半身から足首までを覆うフルボディー型水着の着用を禁止することを決めたと報じている。
山陽新聞朝刊2009年3月16日記事では、「国際水連は14日、英スピード社の「高速水着」レーザー・レーサーが昨年登場して以来議論を呼んでいる水着問題について「水泳は本来選手の身体的パフォーマンスに基づくスポーツだ」とし、技術の進歩を長期的に監視していくとの異例の「ドバイ宣言」を発表した。」と報じている。
また、水着に関するルールとしては、雑誌、新聞にも触れられているが、図書で探してみたところ、『ほんとは知らない競技ウェアの秘密』に記載があった。FINA規定「GR5 スイムウェアー」第5条では、水着が非透過でなければならないこと、新しい水着は国際水泳連盟の許可がいることなどが規定されている。また、16pには「競技中にその速力・浮力または耐久力を助けるような器具(たとえば、水かきのある手袋、手ひれ、フィン等)・仕掛け等を使用したり着用してはならない」と、国際水泳連盟が定めていることが書かれている。またこの資料は、レーザー・レーサーについてもまとめている。
最新のルールに関しては、国際水泳連盟のHPより確認ができるが、全文英語である。
http://www.fina.org/sites/default/files/logo_fina_general_rules_as_approved_by_the_ec_on_22.07.2017_final_4.pdf上記のサイトで「FINA GENERAL RULES」が確認できる。