「インターネット」「小説家」「小説」「作品」「投稿」「媒体」「ケータイ小説」「電子(媒体)」「Web小説」などのキーワードを組み合わせて、CiNii Articles, magazineplus, 大宅壮一雑誌記事検索、Google Scholar, 新聞記事データベース(聞蔵Ⅱ、日経テレコン、SankeiWeb、ヨミダス、毎索) を検索してみました。
結果、出版形態としての電子書籍をテーマにしているものが多いようです。書き手が発表する場の変遷そのものを論じている記事・論文は内容を確認できる範囲では見つかりませんでした。
“ケータイ小説”に限定した情報をお探しではないとは思いますが、電子媒体を通じて発表する作品の“形”を“ケータイ小説”として語られている記事・論文も多く、この言葉を検索語として、ヒットした中に参考になる記事・論文がありました。
(ケータイ小説の同義的言葉としては、オンライン小説、オンラインノベル、ネット小説、ウェブノベル、Web小説 … などがあるようですが、これらの言葉ではヒットしてくる記事・論文があまりありません。)
以下、参考になりそうな文献を列挙します。
①『情報の科学と技術』62(6) 2012
「特集・電子ブックと出版」を組んでおり、様々な観点の記事・論文があります。これらはすべてJ-Stageで全文閲覧が可能です。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jkg/62/6/_contents/-char/ja 【最終アクセス2018/7/17】
・「電子書籍とはなにか―ケータイコミック/ケータイ小説考察」
純然たるケータイ小説のみではなく、スマートフォン、タブレットが登場してからにも言及しています。また、小説に限らず、コミックについても、語られています。
②『国文学』53(5) 2008
「特集・ケータイ世界」で、様々な観点の記事・論文があります。
小説に限らず、マンガ、短歌などを論じている論文もあります。
③『文学界』62(1) 2001
・「ケータイ小説は「作家」を殺すか」pp.190~208
座談会ではありますが、ケータイという場を発表の場として選ぶ著者たちのこと、傾向などが、語られています。
少し時代が古いですが、ご参考まで。
④ガブリエレ・レバリアーティ「ケータイ小説における作者と読者の関係性―ケータイ小説が生まれる空間の考察―」
『青山社会情報研究』(6) 2014 青山学院大学機関リポジトリから全文閲覧可能
https://www.agulin.aoyama.ac.jp/opac/repository/1000/17296/17296.pdf 【最終アクセス2018/7/17】
この論文そのもの参考になるだけでなく、参考文献が多いので、さらなる資料探しによいかと思います。参考文献の中にはここで挙げているものも含まれています。
⑤七沢潔「表現メディアとして展開するケータイ ~ケータイ小説流行の背景を探る~」
『放送研究と調査』57(5), 2007-05 pp. 16-21
CiNii Articles から、全文閲覧可能
https://ci.nii.ac.jp/naid/110009892069 【最終アクセス2018/7/17】
⑥『日本経済新聞』2013.11.14夕刊 7面 「ブログ感覚で「自己出版」」
・『日経産業新聞』2012.11.2 6ページ 「名作書物、みんなで発掘」
などは、電子媒体を用いた最近の出版事情の記事です。
⑦以下当館に所蔵が無く記事を読んでないので内容はわかりませんが、参考になりそうな記事のタイトルであったので、記しておきます。
・『ダ・ヴィンチ』2003年11月 pp.20-25 「誰でも作家になれますか?“作家への道”の傾向と対策」
・『ダ・ヴィンチ』2002年6月 pp.146-147 「デジタル ダ・ヴィンチ 18回 思い立ったらネットで学んでオンラインから作家を目指せ」
大学図書館でも所蔵しているところがあるので、学外相互利用で文献複写を取り寄せることは可能ですが、大阪府立図書館中央図書館に所蔵がありますので、直接訪問して利用が可能です。
⑧『作家/作者とは何か テクスト・教室・サブカルチャー』日本近代文学会関西支部
TVアニメの記述があり、電子媒体との関係の記述があるか否かは、熟読しておりませんが、ご参考まで、
⑨最近書かれた『~になるには』のような本も参考になるかもしれません。
以上、ご要望では “作品発表形態の変化をスマホ普及以後網羅しているもの”とのことでしたが、一論文でその内容がありそうな文献は見つけることができませんでした。上記のような、文献さらにその参考文献などから、流れを把握できれば、と思います。
なお蛇足ではありますが、CiNii Articles で論文を探すとき、本文リンクありで検索すると、本文にアクセスできる論文のみがヒットする(ただしID/PWを求められる場合もあり)ので、すぐに内容が確認できるので良いかと思います。