レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年09月01日
- 登録日時
- 2018/01/07 13:59
- 更新日時
- 2018/12/08 16:38
- 管理番号
- 相大-H29-063
- 質問
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解決
マンションの大規模修繕工事を業者に依頼したが、重篤な瑕疵がある。復旧申し立てや損害賠償の訴えをしたい。訴訟には3年の時効があるが、訴訟を起こす手続きをすれば半年延びるらしい。その根拠となる法律が知りたい。
- 回答
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民法第百五十三条が根拠と思われる。
- 回答プロセス
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法情報データベース「D1-Law」にて民法を確認する。
民法第七章「時効」より、
第百四十七条「時効は、次に掲げる事由によって中断する。一 請求 二 差押え、仮差押え又は仮処分 三 承認」
第百五十三条「催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。」
自館OPACにて、“ミンポウ ジコウ”で検索する。
『民法』 尾崎哲夫/著 自由国民社 2007 【s26541177 324】
p64- 第153条の解説あり。「催告とは、裁判外での権利の主張を総称したもので、権利を主張する意思を相手方に通知することです。催告は、これだけでは完全に時効の中断の効力を生じません。催告してから6ヶ月以内に裁判上の請求など上記の行為を行ってはじめて効力が生じます。…再度の催告の後に裁判上の請求など上記の行為を行えば、時効中断の効力が認められることになります。」
『時効 全訂版』 長戸路正之/著 自由国民社 2009 【s29959806 324.16】
p140 時効の中断事由の一つとして、請求が定められており、裁判外の催告と裁判上の請求がある。さらに裁判上の請求には、訴訟・支払督促・和解及び調停の申立て・破産手続き参加、民事再生手続き参加などがある。
p141 「裁判外の請求は時効の完成を六か月間延長するだけ」。民法153条は、裁判外の請求の請求をしてから六か月以内に裁判上の請求をしなければならないと定められている。例えば、もうすぐ消滅時効期間が満了してしまうというような差し迫った状況のときに、ひとまず文書で債務者に対して催告(裁判外の請求)をしておくと、時効期間が六か月間延びるので、その間に訴訟を起こせば時効にかからずにすむということである。
『我妻・有泉コンメンタール民法 第2版追補版』 我妻榮/(他)箸 日本評論社 2010 【s28502193 324.1】
第百五十三条の解説として、以下の記載あり。
p302 「催告は、いわば予備的措置にすぎず、それ自体としては時効の完成を6か月猶予するだけで、独立の中断事由ではない。」
p303 「通常の催告において、この制度が最もよく効用を発揮するのは、時効期間満了の間際になって債権者がこれに気づき、まず催告をして6か月の余裕をつくり、そのあとでおもむろに訴えを提起するというような場合である。」
注:【 】は自館の資料コードと請求記号
- 事前調査事項
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3年の時効については、民法第170条により調査済み。
- NDC
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- 民法.民事法 (324 9版)
- 生活.消費者問題 (365 9版)
- 参考資料
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- 『民法』 尾崎哲夫/著 自由国民社 2007
- 『時効 全訂版』 長戸路正之/著 自由国民社 2009
- 『我妻・有泉コンメンタール民法 第2版追補版』 我妻榮/(他)箸 日本評論社 2010
- キーワード
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- 大規模修繕
- マンション
- 時効
- 訴訟
- 消滅時効
- 民法
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 法律
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000228012