レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年05月09日
- 登録日時
- 2017/12/07 19:40
- 更新日時
- 2017/12/07 19:47
- 管理番号
- 横浜市中央2495
- 質問
-
解決
幕末から明治の頃に横浜及び国内にあった西洋料理店名と、当時のメニューについて書かれている資料はありますか。
- 回答
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次のような資料があります。
1 横浜の西洋料理店について
下記(1)、(2)では、大野谷蔵が姿見町3丁目(現在の中区末広町2丁目)に開いた店が最初であるとしています。
(1)『横浜市史稿 風俗編』横浜市役所/編 名著出版 1973.10 p.705
「横浜沿革誌に「明治2年8月、姿見町3丁目谷蔵ナルモノ西洋割烹を開業ス(後略)」と記し、横浜に於ける西洋料理の元祖とされて居る」
(2)『西洋料理がやってきた』 富田仁/〔著〕 東京書籍 1983.10 p.44
「横浜の大野谷蔵(中略)が、慶応2年(1866年)8月、姿見町に西洋料理店を開いた。明治4年には駒形町代地に開陽亭を開業し、横浜における西洋料理店の元祖として繁昌した。」
(3)『日本食肉文化史』 伊藤記念財団/編 伊藤記念財団 1991.9 p.539日本食肉史年表
「1866(慶応2) 大野谷蔵横浜姿見町に洋食店を開業し、専ら外国人を対象とする」
それ以後に開店した店は、次の資料で確認できます。
(4)『横浜の食文化(横浜の文化シリーズ)』「横浜の食文化」編集委員会/編 横浜市教育委員会 1992.3 p.44~48
「開陽亭」「日進亭」「万花亭」「日進楼」「滋養亭」「川柳亭」等、店名の記載があります。
外国人が経営する店はもう少し古く、『横浜の食文化』p.48に「外国人経営のレストランの第1号は、文久2年(1862)に居留地49番でジョージが開いたゴールデンゲイトレストランである」とあります。
その他、次の資料に詳細があります。
(5)ヨコハマ洋食文化事始め』草間俊郎/著 雄山閣 1999.5 p.181~199
2 国内の西洋料理店について
(1)『日本の食文化史年表』江原絢子ほか/著 吉川弘文館 2011.7
「西洋料理店」という言葉が最初に出てくるのは安政元年(1857)で、「長崎の日本料理店が西洋料理店を兼業し外国人用西洋料理店として指定を受けた」とあります。その後文久3年(1863)に長崎にて西洋料理店良林亭(のちの自由亭)ができています。
(2)『長崎の西洋料理 洋食のあけぼの』 越中哲也/著 第一法規出版 1982.4 p.175~191
長崎の西洋料理店について詳細があります。
(3)『明治西洋料理起源』前坊洋/著 岩波書店 2000.7
全国の西洋料理店について詳細があります。ただし、日本人に開放されている店に限っています。p.41には「東京以外の西洋料理屋図」として一覧が、東京についてはp.73~82に明治中ごろにあった店が区ごとに紹介されており、開業順に並べた年表(p.105)も確認できます。
(4)『明治事物起原 8』 ちくま学芸文庫 石井研堂/著 筑摩書房 1997.12 p.123~
(5)『西洋料理事始 中央亭からモルチェまで』 中央亭/編 中央亭 1980.2 p.63
エ、オでは東京の西洋料理店について詳細があります。
3 メニューについて
西洋料理店のメニューについては、『明治西洋料理起源』(1(2)ウ)p.89に「献立をのこしてくれた店は絶望的に少ない。(中略)東京の西洋料理屋という枠もはずしてしまって(中略)手を広げてみても、状況はほとんど変わらない」とあります。同書では、東京・松の屋が明治18~19年に『時事新報』紙上に載せた「西洋料理献立日々予報』(本日の献立)について触れており、その一覧を確認することができます。料理の値段(定食代)についてはp.46「値段表」、p.84、85「西 洋料理定価の変遷」「明治23年西洋料理屋定価一覧」で確認できます。
その他、以下の資料に記載があります。
(1)『帝国ホテル百年史 1890-1990』帝国ホテル/編 帝国ホテル 1990.11 p.83~85
帝国ホテルの晩餐メニュー
(2)『絵で見る日本食物誌』小柳輝一/著 春秋社 1984.5 p.167
東京三河屋の晩餐メニュー
(3)『明治東京逸聞史 1』森銑三/著 平凡社 1969.3 p.51
明治10年の東京三河屋の西洋料理広告
(4)『メニューに視る食文化 古代ギリシアから現代日本まで』早坂勝/著 調理栄養教育公社 2004.3 p.65
明治18年の鹿鳴館のメニュー
4 その他の調査資料
(1)幕末から明治の西洋料理について
当時の西洋料理店の概略は次の資料で確認できます。
ア『西洋料理がやってきた』(1(1)イ) p.42~55
イ『明治文化史 12 生活』 開国百年記念文化事業会/編 原書房 1979.8 p.178~182
ウ『にっぽん洋食物語大全』ちくま文庫 小菅桂子/〔著〕 筑摩書房 2017.8 p.11~45
p.30、32には簡単なメニューが書かれた引札(広告)の紹介があります。
(2)横浜の西洋料理
ア『神奈川の百年』上巻 毎日新聞社横浜支局/編 1968.12 p.89~94
イ『幕末・明治の横浜 西洋文化事始め』斉藤多喜夫/著 明石書店 2017.3 p.114~115
ウ『横浜沿革誌』太田久好/編 石井光太郎/校訂 有隣堂 1970 p.80 1(1)の事実確認
エ『ホテル・ニューグランド50年史』 白土秀次/著 ホテル・ニューグランド 1977.12 p.177
時代がずれますが、昭和9年の東京ニューグランドのメニューの一部を掲載しています。
オ 『横浜流 すべてはここから始まった』 高橋清一/著 東京新聞出版局 2005.7
ホテル・ニューグランド発祥の料理を紹介しています。
(3)回答につながる情報がなかった資料
ア『日本の食生活全集 14 聞き書神奈川の食事』農山漁村文化協会/編 1992.7
イ『明治・大正・昭和食生活世相史』 加藤秀俊/著 柴田書店 1977.1
ウ『父は明治のコックさん』 山下正/著 近代映画社 2007.1
エ『明治の引札』 高田功/著 田村資料室 1988.5
オ『引札絵ビラ風俗史』 増田太次郎/著 1981.9
カ『引札 絵びら 錦絵広告』 増田太次郎/編著 誠文堂新光社 1976.12
キ『拙者は食えん! サムライ洋食事始』 熊田忠雄/著 新潮社 2011.4
キは参考文献が充実しており、2(3)『明治西洋料理起源』はここで見つけることができました。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 8版)
- 食品.料理 (596 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000226046