レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年10月27日
- 登録日時
- 2017/03/07 14:29
- 更新日時
- 2017/06/02 15:42
- 管理番号
- 埼久-2016-132
- 質問
-
解決
仏教用語で「知足(ちそく)」(足るを知る)というものがある。この言葉について、詩・漢詩・俳句で読まれているものを知りたい。良寛の「方外君莫羨 知足心自平」以外で何かないか。
- 回答
-
原文と書き下し文、現代語訳が掲載されている下記資料を紹介した。
『国風暗黒時代の文学 下 1 弘仁・天長期の文学を中心として』(小島憲之著 塙書房 1991)
p3087 「(99)同前(五言和藤朝臣春日過前尚書秋公帰病之作一首) 野岑守」の3行目に「知足慎玄誡」あり。
『日本古典文学大系 72 菅家文草』(岩波書店 1966)
p197-198 「114 小廊新成、聊以題壁」の11行目に「掃除一室雖知足」あり。
p453-454 「444 敬奉和左大将軍扈従太上皇、舟行有感見寄之口号」の3行目に「無限恩涯知止足」あり。
『日本古典文学大系 71 三教指帰』(岩波書店 1965)
p124 10行目「知足の意に乗じて鉢を捧げて直ちに征く。」あり。
p125 後ろから7行目「乗知足意。棒鉢直征。」あり。
『崔子玉座右銘』(貫名菘翁書 木耳社 1975)
「慎言節飲食知足勝不祥」あり。
『白楽天全詩集 3』(佐久節訳註 日本図書センタ- 1978)
p201「知足吟」という漢詩あり。
『世界古典文学全集 17 老子』(筑摩書房 2004)
p39 「知足者富」あり。
p53 「知足不辱」あり。
p54-55 「故知足之足」あり。
p442-443 「知足者。不以利自累也。」あり。
《国会図書館デジタルコレクション》
「漢文叢書 第19」(塚本哲三編 有朋堂 1927-1929)
266コマ 「知足者不可以勢利誘也。」あり。
(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2503562 国会図書館)国立国会図書館/図書館送信参加館内公開
『菜根譚』(洪自誠〔著〕 今井宇三郎訳注 岩波書店 1975)
p250 後集21「都来眼前事、知足者仙境、不知足者凡境。」あり。
p259 後集30「知足者、藜羹旨於膏粱、布袍煖於狐狢、編民不譲王公。」あり。
『禅林句集』(足立大進編 岩波書店 2009)
p241 「大海若知足 百川洲倒流」あり。
- 回答プロセス
-
1 「漢詩について調べる 日本編」(県立久喜図書館作成)を参考に調査する
『本朝文粋漢字索引』(藤井俊博編 おうふう 1997)
p869 「暗模上天知足之様」「誠足知亮」「欲亦知足而免三懼」あり。
『日本詩紀本文と総索引 本文編』(勉誠出版 2003)
p50 「知足慎玄誡」の参考として「国風暗黒時代の文学」あり。
p115 「掃除一室雖知足」の出典として「菅家文草」あり。
p145 「無限恩涯知止足」の出典として「菅家文草」あり。
2 参考図書を確認する
『日本国語大辞典 8』(日本国語大辞典第二版編集委員会[ほか]編 小学館 2001)
p1349「ちそく知足」あり。老子の文の他に、下記4つの掲載あり。
三教指帰(797頃)下「乗知足意、捧鉢直征」
十善法語(1775)八「知足の人は貧といへどもつねに富めり」
当世書生気質(1885-86)〈坪内逍遥〉九「知足(チソク)を修身の規矩となせしは封建時代の方便教」
崔■(王ヘンに爰)-座右銘「慎言節飲食知足勝不祥」
3 名言に関する参考図書を確認する
『漢文名言辞典』(鎌田正[ほか]著 大修館書店 1995)
p566-567「足るを知れば辱められず〔知足不辱〕満足することを知っている者は恥辱を受けない。」(出典は「老子四十四」)
『格言大辞典』(芳賀矢一〔ほか〕共編 日本図書センター 1981)
p136に「知足之足常足」(老子・第四十六、韓詩外伝・巻九)、「知足者富」(老子・第三十三)、
「知足者不以利自累也」(荘子・譲王)、「知足不辱」(老子・第四十四)、「知足者不可以勢利誘也」(淮南子・詮言)あり。
『必携名蹟名言書道字典』(高畑常信[ほか]編 柏書房 2000)
p331「知足常楽」、「知足者富」あり。
4 《Google》を〈知足&漢文〉で検索する
《菜根譚(さいこんたん)ガイド》(個人サイト)
後集021「都来眼前事 知足者仙境 不知足者凡境」
後集030「知足者 藜羮旨於膏梁 布袍煖於狐貉 編民不譲王公」
《知足美術館》(http://chisoku.jp/ 知足美術館)
「禅林句集」に「知足」について書かれているとの情報あり。
5 それぞれの出典を確認する
ウェブサイト・データベースの最終アクセスは2016年10月27日。
- 事前調査事項
-
調査済資料
『大漢和辞典 巻8』(諸橋轍次編 大修館書店 1985)
「知足」の意味と出典あり。
『中国古典文学大系 第4巻 老子』(平凡社 1994)
- NDC
-
- 詩歌 (911 9版)
- 詩歌.韻文.詩文 (921 9版)
- 人生訓.教訓 (159 9版)
- 参考資料
-
- 『国風暗黒時代の文学 下 1 弘仁・天長期の文学を中心として』(小島憲之著 塙書房 1991) , ISBN 4-8273-0009-7
- 『日本古典文学大系 72 菅家文草』(岩波書店 1966)
- 『日本古典文学大系 71 三教指帰』(岩波書店 1965)
- 『崔子玉座右銘』(貫名菘翁書 木耳社 1975)
- 『白楽天全詩集 3』(佐久節訳註 日本図書センタ- 1978)
- 『世界古典文学全集 17 老子』(筑摩書房 2004) , ISBN 4-480-20317-6
- 『菜根譚』(洪自誠〔著〕 今井宇三郎訳注 岩波書店 1975)
- 『禅林句集』(足立大進編 岩波書店 2009) , ISBN 978-4-00-333411-9
- 「漢文叢書 第19」(塚本哲三編 有朋堂 1927-1929)
- キーワード
-
- 知足
- 漢詩(中国)
- 漢詩(日本)
- 格言
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000211190