(1)法令の改正経緯
除外職員については、「身体障害者雇用促進法第2条第4項(昭和35年)」と「身体障害者雇用促進法施行令第2条および別表(昭和35年)」に定められている。このうち、除外職員の具体的な職種が挙げられているのは「施行令の別表」の方なので、その改正経緯をたどって紹介。ただし紹介する『官報』には、改正箇所しか掲載されておらず、全体像が把握しにくい。
①施行令制定時の「身体障害者雇用促進法施行令 別表」(『官報』昭和35年12月1日第10185号)
このときの別表によると、除外職員のうちで教育職員にかかわる項目は以下の3つ。
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一 裁判官、検察官、大学の教育職員並びに地方公務員第三条第三項第一号
及び四号に掲げる職員
[…中略…]
四 小学校、聾学校、養護学校及び幼稚園の教育職員
五 児童福祉施設において児童の介護、教護又は養育を職務とする者
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②「政令第二百五十一号 身体障害者雇用促進法施行令の一部を改正する政令」
(『官報』昭和51年9月28日 第14918号)
このときの改正について関連箇所を以下に抜粋。
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別表中「別表」を「別表第一(第一条関係)」に改め […中略…]同表第一号中
「大学」を「大学及び高等専門学校」に改め、同号を同表第二号とし、[…後略…]
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③「本号で交付された法令のあらまし」(『官報』平成15年5月1日 号外第96号)
「あらまし」として以下の文章あり。
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障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令(政令第二百十七号)(厚生労働省)
1 除外職員として別表第一に定める範囲を、警察官、自衛官等に限ることとした。(別表第一関係)
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「あらまし」ではなく本文の方をみると、新しい「別表第一」も掲載されていて、教育職員の部分は削除されていた。
上記①②③から、高等専門学校・小学校・聾学校・養護学校・幼稚園の職員については変遷がわかるが、中学校・高等学校については、法律上での確認ができず。
(2)「障害者の雇用・就業に関する行政監察<勧告>」(平成8年)
労働省・文部省に対して総務庁行政監察局から「障害者の雇用・就業に関する行政監察<勧告>」が平成8年に出ている。勧告では、除外職員に該当しない中学校・高等学校の教員について、その採用計画の作成を免除する特例扱いを労働省が平成6年6月まで行ってきたことが指摘されている。
①勧告は『行政監察月報』(442号平成8年7月)に収録。
②勧告の解説は『障害者雇用対策の現状と課題』(総務庁行政監察局編 1996年刊)に収録。
③総務省のホームページに概略(2016年6月確認)
(
http://www.soumu.go.jp/hyouka/syougai-koyo.htm )