レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年11月16日
- 登録日時
- 2016/01/06 14:56
- 更新日時
- 2017/05/25 11:19
- 管理番号
- wul-20151116-00
- 質問
-
(1)下記3つのテーマに関して、研究のフレームワークや初期仮説の構築のために効率的・効果的な、論文・雑誌・図書の探し方が知りたい。
○外資系企業の日本進出におけるKey Success Factor、または、重要なフレームワーク
○外資系ベンチャー企業の日本進出におけるKey Success Factor、または、重要なフレームワーク
○Globalization/Standardization vs Adaptation/Localization(グローバル標準化 対 ローカル適応化)を日本進出に照らし合せている事例またはフレームワーク
(2)下記13点の論文が早稲田大学で利用できるかどうか知りたい。
○桑原哲也. "日本市場へ後発的に参入した多国籍企業の経験-ユニリーバ, 1964 ~ 2000 年." 國民經濟雜誌 196.1 (2007): 69-90. (他12件)
- 回答
-
(1)先行研究は、統計やデータも含め、ご自身の研究上踏まえるべきものは網羅的に探す必要がある。初期仮説構築の段階では、まずはどのような研究があるかを調べる。調べる方法として、【1】検索キーワードの工夫、【2】参考文献の確認、【3】『外資系企業総覧』および「外資系企業動向調査」、【4】関連機関を案内。検索でヒットしたものから、図書名、論文名、掲載雑誌名、出版年などを基準に研究に有益そうなものを選び、実際に資料にあたって内容を確認する。
【1】検索キーワードの工夫
効率的な資料収集のためには、用語を言い換える、用語の概念を広める、狭めるなどの方法で検索を繰り返す必要がある。研究分野に適した専門用語を探していくことが有効である。今回の場合、「対日直接投資」「対内直接投資 日本」のようなキーワードがある程度有効と思われる。
→CiNii Article「対日直接投資」の検索結果:
○田中 清泰「対日直接投資の動向と特徴 : 『外資系企業動向調査』による推計」 『経済統計研究』 42(2), 35-50, 2014
○長島 忠之「対日投資リポート 対日直接投資の新潮流--9のキーワードで類型化」『ジェトロセンサー』 61(726), 47-58, 2011
→早稲田大学図書館蔵書検索WINE「対日直接投資」検索結果
○対日直接投資と多国籍企業の戦略 / 長谷川信次 研究代表(2007.3、科学研究費補助金研究成果報告書)
○対日直接投資と日本経済 / 深尾京司,天野倫文 著(日本経済新聞社, 2004.5)
【2】参考文献から他の文献をたどる
ご自身が有用だと思った図書・論文の末尾にある「参考文献」や、「引用文献」をたどることが効果的で効率的な先行研究調査につながる。
○Lee, Kyung-Tae. "日本市場における外資系企業のブランド確立と進出成否." 経営論集. 74 (2009): 75-89.
【3】『外資系企業総覧』と「外資系企業動向調査」の活用
これらの先行研究を見ると、『外資系企業総覧』と「外資系企業動向調査」のデータが使用されている事例が多いようだ。最新版は以下のように入手可能。
○『外資系企業総覧』は、冊子版を早稲田大学の中央図書館、商学研究図書室などで所蔵している。契約データベース「東洋経済デジタルコンテンツ・ライブラリー」でも、『外資系企業総覧』のデータの閲覧が可能(2009年以降)。CD-ROM版『外資系企業CD-ROM』は、早稲田大学商学研究図書室にて閲覧できる。
○「外資系企業動向調査」は経済産業省のウェブサイトにて最新版の閲覧が可能。
【4】関連機関
下記機関の出版物や統計も参考になるだろう。
○対日投資・ビジネスサポートセンター(ジェトロ(日本貿易振興機構))
○INVEST JAPAN 対日直接投資推進(内閣府)
(2)CiNii Articlesで検索した論文の場合、「機関リポジトリ」「CiNi PDF」などのリンクがあれば、そのリンクをたどることで無料の電子媒体が入手できる。リンクがない論文は雑誌名で早稲田大学図書館所蔵目録(蔵書検索WINE)を検索し、図書館所蔵の紙媒体を探す。WINEに「オンライン版」の表示がでれば、電子媒体を入手できることがある。また、政府系の研究レポートなどは、オンラインで無料公開されていることがある。A.の文献は、経済産業研究所のウェブサイトで無料で全文閲覧が可能。電子媒体がなく、早稲田大学図書館に紙媒体も所蔵されていない場合、他大学図書館から論文コピーや図書の取り寄せをすることができる。申込みは早稲田大学図書館を通じて行う。
- 回答プロセス
-
(1)利用者が挙げている文献について
○桑原哲也. "日本市場へ後発的に参入した多国籍企業の経験-ユニリーバ, 1964 ~ 2000 年." 國民經濟雜誌 196.1 (2007): 69-90.
→CiNiiからリポジトリで閲覧可。ユニリーバのみの事例研究、参考文献にめぼしいものなし
○Lee, Kyung-Tae. "日本市場における外資系企業のブランド確立と進出成否." 経営論集= Journal of business administration. 74 (2009): 75-89.
→CiNii PDF オープンアクセス。個別事例でなく大規模な質問紙調査を実施しており、ご研究内容の先行研究として有用と思われる。参考文献も有用だが、ここは利用者がすでに拾っている様子。
○浅羽茂(2005)からBatzer, Erich, and Helmut Laumer(1989)まで
→いずれも上記Lee(2009)に挙げられている参考文献であり、利用者がここから取捨選択したことがわかる。「外資系企業動向調査」は40回~42回だけでなく、現在も続いていることを教えることとする。また、『外資系企業総覧』は2007年度版だけでなく、最新版が出版されていること、東洋経済DCLで閲覧可能な事を案内
○金成洙, and 盧垠靜. "大手外資系小売業の日・韓進出の比較: 成功要因と失敗要因 (創立 40 周年記念号)." 専修大学北海道短期大学紀要 40 (2007): 1- 23.
→個別事例を基にした研究。研究内容の先行研究として有用と思われる。参考文献は『外資系企業総覧』のほか日経MJの記事を拾っている。
(2)その他の文献と検索方法の提案
→CiNii Articlesで「外資 日本 進出」の検索例
○秋山 沙樹 , 木田 哲史 , 小林 知代 , 勢能 拓哉. 外資系小売企業の日本進出 -IKEAの日本市場攻略-. 早稲田社会科学総合研究. 2013, 別冊 2012年度学生論文集, pp.17-28.
→CiNii Articlesで「外資 日本 成功」の検索例
○Abegglen, James C. 成功する外資系企業 : 日本は閉鎖的であるという神話と、歴史的事実. 國民經濟雜誌. 2007, 196(1), pp.119-133.
(3)早稲田大学商学研究図書室に確認。『外資系企業総覧』は東洋経済DCLとCD-ROMで若干使い勝手が違うようだ。
(4)図書を調査。「外資系 進出」などのキーワードでは少し難しいようだ。早稲田大学図書館所蔵目録(蔵書検索WINE)に登録されている件名としては「外国企業」が外資を差し、「多国籍企業」でも関連文献はヒットするが、探しているテーマに合うものは少ない。
→件名「外国企業」の検索例。いずれも古い書籍。
○外資系流通業の戦略研究レポート : 日本に進出する欧米大手流通業と欧米主要国の流通構造の研究 / 流通経済研究所 著(流通経済研究所, 2000.9)
○外国企業の対日進出と進出形態に関する研究 / 長谷川信次 研究代表(2000.3、科研費報告書)
→キーワード「対日 投資」の検索例。近い内容の書籍が見つかるが、新しいものではない。
(5)「対日 投資」でgoogleを検索してみると、ジェトロの「対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)」、内閣府の「INVEST JAPAN 対日直接投資推進」などのページがヒット。このあたりのレポートもよいかもしれない。
(6)外資系企業の日本進出なので、「外資系」や「外国」だけではなく、たとえば「海外企業」でワード検索すると577件ヒットする。「欧米企業」、「アジア企業」あるいは「アメリカ企業」などもキーワードになるのでは。「ヨーロッパ企業」や「欧州企業」としてしまうと、日本企業の進出というニュアンスが強くなるようだ。
(7)「海外企業」については、完全一致で25件、書名を見たが、件名「外国企業」「多国籍企業」などと似たような結果となる。専門用語としては、「対日直接投資」「対日 投資」がよいだろう。
(8)商学研究図書室から、経産省の「外資系企業動向調査」を教えてもらった。
- 事前調査事項
-
WINE,CiNii Books / Webcat Plus
・自身でCiNiiやGoogle Scholorで、「外資系企業の日本進出」などを検索したものの、PDFや早稲田大学図書館で閲覧可能な資料が発見できなかった。
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 大学院学生
- 登録番号
- 1000186785