レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年07月13日
- 登録日時
- 2015/01/26 10:18
- 更新日時
- 2015/03/22 11:12
- 管理番号
- 【3】【5】中2014-009
- 質問
-
解決
夏目漱石『草枕』作中に登場する「胡麻ねぢ」「微塵棒」という駄菓子が実際にどういう形であったのか知りたい。
特に写真を探している。
- 回答
-
現在の仙台菓子に類似のものあり。
下記資料を提供。
『駄菓子屋横丁の昭和史』/588/ 松平誠(小学館)2005 【資料1】
p.168 「駄菓子の種類」図、右上部に「胡摩ネヂ」「ミヂン棒」の絵あり。
p.142~146 「駄菓子の登場」に「胡麻捻」「みじん」のくわしい説明あり。
p.183 仙台菓子の写真あり。
- 回答プロセス
-
1)当館OPACで検索し所蔵資料を探す。
最初「駄菓子の本はあるか」という問い合わせだったため、
書名「駄菓子」をキーワードにして市内の所蔵を検索し下記資料を提供。
×『ザ・駄菓子百科事典』/588/ 串間努(扶桑社)2002
×『おもちゃ博物館20』/589/ (京都書院) 1992
×『おもちゃ博物館21』/589/ (京都書院) 1992
◎『駄菓子屋横丁の昭和史』/588/ 松平誠(小学館)2005 【資料1】
探しているものが見つからない様子だったのでインタビューを重ねると、
「胡麻ねぢ」「微塵棒」という駄菓子を探しているとのこと。
2)分類588の書架で探してみる。
×『まだある。大百科 お菓子編』/588/ 初見健一・著(大空出版)2008
×『まだある。おやつ編』/588/ 初見健一・著(大空ポケット文庫)2007
2つの駄菓子名で探すが見つからず。
3) 百科事典、辞典類で「ごまねじ」「みじんぼう」を調べる。
〇『日本国語大辞典 第1巻』/R813/ (小学館) 2000 p.1053 【資料2】
「ごまねじ【胡麻捩】」の項あり。草枕の該当箇所の記載あり。図はなし。
〇『日本国語大辞典 第12巻』/R813/ (小学館) 2001 p.662 【資料3】
「みじんぼう【微塵棒】」の項あり。「みじん粉」から作るとあり(事項①)。図はなし。
×『広辞苑 第6版』/R813/ 岩波書店 2008
×『百菓辞典』/R588/ 山本候充・編 東京堂出版 1997
×『日本の伝統食品事典』/R588/ 日本伝統食品研究会・編 朝倉書店 2007
△『菓子の事典』/R588/ 小林彰夫・編 朝倉書店 2000 p.28 【資料4】
事項①に関連して「味甚粉・みじんこ」・・・関東以北とあり。
さらに質問者にインタビューを重ねると、
夏目漱石『草枕』作中に「胡麻ねぢ」「微塵棒」が登場すると判明。(事項②)
注釈を読んでもイメージがわかないので画像で見たかったとのこと。
事項②により、昭和ではなく明治以前の風俗の資料を探す。
4)分類382~の棚の本を調べる。(項目名は「駄菓子」で探す)
×『近代日本食文化年表』/R383.8/ 小菅桂子/著 雄山閣出版 1997
△『日本風俗史事典』/R382.1/ 日本風俗史学会・編 弘文堂 1979 p.102C
駄菓子は「一文菓子」ともいうとあり。 【資料5】
〇『江戸庶民風俗図絵 別冊解説集索引』/R382.1/ 三谷一馬・著 三樹書房 1975 p.71 【資料6】
「駄菓子」をひくと「駄菓子を売る店」「菓子屋」と説明あり。
↓
〇『江戸庶民風俗図絵』/R382.1/ 三谷一馬・著 三樹書房 1975 p.281 【資料7】
駄菓子の店先の絵があるが、個々の菓子名は不明。
〇『明治物売図聚 別冊解説書索引』/R384.3/ 三谷一馬・著 三樹書房 1977 p.99 【資料8】
「菓子」「駄菓子」でさがす
↓
◎『明治物売図聚』/R384.3/ 三谷一馬・著 三樹書房 1976 p.44-p.45 【資料9】
p.44「菓子売り」の絵、p.45「駄菓子おろし屋」の絵に「ねじ物、みぢん棒」があり。
ここで、1)で用意した資料を別の目で再度確認。
◎【資料1】
◆第五章 駄菓子の歩み
→p.168の「駄菓子の種類」図、右上部に「胡摩ネヂ」「ミヂン棒」
→p.142~146
「駄菓子と呼ばれるようになったのは明治の終わりごろ」
「胡麻捻」「みじん」のくわしい説明あり。
◆第六章 駄菓子から郷土菓子へ
→p.180
仙台の郷土菓子として「ごま捻り、しぐれ捻り、黄粉捻り」が紹介されている。
→p.183
「きなこねじり」「しぐれねじり」の写真あり。
- 事前調査事項
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夏目漱石『草枕』のニ
~「御菓子を」と今度は鶏の踏みつけた胡麻ねぢと微塵棒を持つてくる。
『漱石全集 第三巻』夏目金之助・著 (岩波書店) 1994
本文 p.17
注解 p.471
- NDC
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- 食品工業 (588 9版)
- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 参考資料
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【資料1】松平誠 著 , 松平, 誠, 1930-. 駄菓子屋横丁の昭和史. 小学館, 2005.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007860015-00 , ISBN 4096261955 -
【資料2】日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部編 , 日本国語大辞典第二版編集委員会 , 小学館国語辞典編集部 , 北原, 保雄(1936-). 日本国語大辞典 第1巻- 第2版. 小学館.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000625183-00 , ISBN 409521001X -
【資料3】日本国語大辞典第二版編集委員会 , 小学館国語辞典編集部 , 北原, 保雄 , 日本国語大辞典第二版編集委員会 , 小学館国語辞典編集部 , 北原, 保雄. 日本国語大辞典 第12巻. 小学館, 2000.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I045439350-00 , ISBN 4095210125 -
【資料4】小林彰夫, 村田忠彦 編 , 小林, 彰夫, 1933- , 村田, 忠彦, 1933-. 菓子の事典. 朝倉書店, 2000.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002887584-00 , ISBN 4254430639 -
【資料5】日本風俗史学会 編 , 日本風俗史学会. 日本風俗史事典. 弘文堂, 1979.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001405215-00 -
【資料6】三谷一馬 著 , 三谷‖一馬. 江戸庶民風俗図絵 別冊解説書/索引. 三樹書房, 1975.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I001042250-00 -
【資料7】三谷一馬 著 , 三谷, 一馬, 1912-2005. 江戸庶民風俗図絵. 三樹書房, 1975.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001220411-00 -
【資料8】三谷一馬 著 , 三谷‖一馬. 明治物売図聚 別冊解説書索引. 三樹書房, 1977.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I001009376-00 -
【資料9】三谷一馬/著 , 三谷‖一馬. 明治物売図聚 本編. 三樹書房, 1977.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I010480150-00 -
【資料10】郷土菓子 : ふるさとの味を旅する. 平凡社, 2013. (別冊太陽. 太陽の地図帖 : おとなの「旅」の道案内 ; 022)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024949812-00 , ISBN 9784582945584
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【資料1】松平誠 著 , 松平, 誠, 1930-. 駄菓子屋横丁の昭和史. 小学館, 2005.
- キーワード
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- 駄菓子
- 菓子
- 夏目漱石
- 風俗・習慣
- 食文化
- 江戸
- 胡麻ねぢ ごまねじ
- 微塵棒 みじんぼう
- 草枕
- 明治
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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≪後日付記≫
仙台駄菓子で調べるというアプローチ。
1.郷土菓子に関する資料を調べる。
◎『郷土菓子 ふるさとの味を旅する』/588/ 平凡社 2013 p.12 【資料10】
→「駄菓子」仙台駄菓子として「きなこねじり」の写真あり。
2.インターネットで調べる。
◆google検索でキーワード「仙台駄菓子」+画像を指定して選択。
→画像多数ヒット。
◆実際に入手できないか、都内の宮城県のアンテナショップを調べる。
google検索でキーワード「仙台」+「東京」+「アンテナショップ」で検索。
→「宮城ふるさとプラザ」池袋にあり。
http://cocomiyagi.jp/plaza/ (2015年3月12日最終確認)
大学の授業で皆に見せたいということだったので、実物を用意できる可能性まで、ご案内できたらよかったかもしれない。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000166753