レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/05/02
- 登録日時
- 2014/10/13 00:30
- 更新日時
- 2014/10/13 00:30
- 管理番号
- 参調 14-0012
- 質問
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解決
二・二六事件の裁判記録があれば見たい。(一審・二審・最高裁の判決)
知りたいことは、北一輝が死刑となった理由。
- 回答
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<裁判記録について>
二・二六事件は戒厳令下、緊急勅令によって設置された東京陸軍軍法会議で審判が行われたため、一審。
告訴上告なし、弁護人なし、非公開。
(「二・二六事件裁判記録 蹶起将校公判廷」 補遺(7)軍法会議(545~547ページ)の記述による)
「新訂二・二六事件」の解説に、「裁判記録の全容」として、以下の説明がある。(477~481ページ)
「正式裁判記録は、東京地検によって全六十六巻と別冊一(事件簿と被告人索引簿)に整理されている。(479ページ参照)東京陸軍軍法会議で、不起訴(陸軍軍法会議法第三百十条に基づくいわゆる三百十条告知、予審の前の段階)・不起訴処分(予審段階)・起訴となった者全員に関する記録である。捜査、予審、公訴、公判(判決も含まれる)の各段階の文書が綴られている。…全体は「数メートル」にもおよぶ膨大な量である。「判決書綴」はその第六十六巻に当たる。…目下、この記録は、およそ「学術研究のため必要があると認め」られる場合(刑事確定起訴記録法第九条第二項)にのみ、申請による許可制で閲覧が可能である。外部持ち出しはもちろん、複写も許されていない。(「新訂二・二六事件 判決と証拠」が出版された1995年現在の事実。)
<判決書について>
二・二六事件の判決書として公開、出版されたもののうち、当館で所蔵しているものは「二・二六事件判決原本」と「新訂二・二六事件 判決と証拠」。いずれの資料にも「北輝次郎以下三名」として判決文が掲載されているが、「二・二六事件判決原本」には、証拠説明の部が省かれている。(出版の際に意図的に省いたのか、底本とした資料から欠除していたのか不明)。
一番最初に陸軍省から発表された判決全文は「二・二六事件判決理由書全文とその首謀者を語る」(大文字書院, 1936.7)としてまとめられているようだが、当館未所蔵。判決書前文であるかは不明だが、「二・二六事件」(河野司編)に「軍法会議の審判」として収録されている。(北一輝については、「民間関係者判決全文」にあり)
また、平成24年5月に「二・二六事件」の判決書原文のコピーがすべて所収された「二・二六事件裁判原本資料(全二巻)」(松本一郎編、緑蔭書房)が出版されたとのことだが、当館未所蔵。
「二・二六事件裁判記録 蹶起将校公判廷」は軍人のみを扱っており、目次に北一輝の名前はないが、編者である池田俊彦氏のあとがきに、「北が反国家思想の持ち主でないことは北の裁判記録等よりして明らかである」とあり、尋問聴書から引用しているが、どこからの引用かは記載がないため不明。
判決については次の三点を紹介、他の資料に判決に至るまでの聴取書などが収録されている。
「二・二六事件秘録 1」 北一輝、亀川哲也、西田税 聴取書 のうち北一輝部分(第一回~第七回)275~299頁
「二・二六事件秘録 3 」 東京陸軍軍法会議公判状況 第四次判決分 常人北輝次郎以下三名(第一回~第十二回) 401~440頁
「二・二六事件秘録 別巻」 磯部浅一手記その他 弁駁書(北、西田両氏を攪乱者とする軍部に向けての弁駁)12~22頁
また、「二・二六事件」(河野司編)にも、獄中手記(三)として磯部浅一の弁駁書が掲載されている。143~168頁。内容は「二・二六事件秘録 別巻」とほぼ同じ。
さらに、「二・二六事件」(河野司編)には、北一輝が法華経の末葉の余白に書き残した「子に与ふ」という一文(遺書)(304~305頁)、二十二烈士の横顔として北輝次郎(一輝)についての一文が掲載されている。(401~403頁)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210 7版)
- 参考資料
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- 1 二・二六事件 河野司∥編 日本週報社 1957 210.73/KO
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2 二・二六事件判決原本 東潮社現代史料室∥編 東潮社 1964 393.3/TO -
3 新訂二・二六事件 伊藤/隆?共編 北/博昭?共編 朝日新聞社 1995.3 210.73/NI -
4 二・二六事件裁判記録 池田/俊彦?編 原書房 1998.2 210.73/NI -
5 二・二六事件秘録 1 林茂∥[等]共同編集 小学館 1971 210.73/NI/1 -
6 二・二六事件秘録 3 林茂∥[等]共同編集 小学館 1971 210.73/NI/3 -
7 二・二六事件秘録 別巻 林茂∥[等]共同編集 小学館 1972 210.73/NI/ベツ -
1 中央公論 第106巻第3号通巻1268号 中央公論社 反省社 1899 Z104 184~195「二・二六事件正式裁判文書は現存していた」(北博昭) -
2 歴史読本 第48巻第9号通巻766号 人物往来社 1960 Z104 194~198「二・二六事件裁判記録の発掘をめぐる奇妙な話」(北博昭) -
3 日本歴史 通巻484号 日本歴史學会 日本歴史社 1946- Z304 46~49「二・二六事件裁判資料のゆくえ」(渡邊行男) -
4 その時歴史が動いた 9 NHK取材班?編 KTC中央出版 2001.10 210.04/SO/9 206~「東京陸軍軍法会議」
- キーワード
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- 北一輝
- 二・二六事件
- 裁判記録
- 死刑
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000160827