レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年08月06日
- 登録日時
- 2014/10/08 10:13
- 更新日時
- 2014/10/08 10:16
- 管理番号
- 県立長野-14-013
- 質問
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解決
明治10~20年代の英語教育で、「ウェブスタースペリングブック」というものが、教科書(「ナショナルリーダー」)の学習に先立って使われていたらしい。
スペリングブックをどのように使って学習をしたか、指導法について知りたい。
- 回答
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『英学の時代』高橋俊昭/著 学術出版会 2008年 当館請求記号【830.1/タト】(「明治の英語学習 スペリングブックと立志」p155-180)では、様々なスペリングブックがあったなかで、ウェブスターのスペリングブックが最も広く使用されたとした上で、次の記載がある。
「当時外国人教師の下で発音・綴り字から始める英語学習が正則と呼ばれ、日本語教師による訳読式学習が変則と呼ばれたことは周知のとおりであ る。スペリングブックによる綴り字・発音の学習は、その意味で正則の英学であった。地方の英学校などでもスペリングブックを用いて学習したのは、 正則の精神に倣ったものであろう。」
同資料では、続けて『斎藤秀三郎伝』大村喜吉/著 吾妻書房 1960年 【289.1/694】p103に掲載されている数学者高木貞治氏の「中学時代のこと」という回想文を典拠として授業の様子を記載している。
『斎藤秀三郎伝』の該当する部分には、「ウェブスターの」という記載はないが、スペリングの授業について、次のように記載している。
「吾々が一番苦しんだのは、一年級のスペリングであった。今の若い人は知るまいが、これはアメリカの子供に正字法(オーソグラフィー)を教える 為のものである。アメリカの子供はよく知っている語の綴りを暗記するのだが、吾々は意味を知らないで、発音を聞いて、綴りを言わされるのだから、 無理な話である。先生がベーカー(baker)というと、生徒は、ビー・エー・ベー、ケー・イー・アール、カー、ベーカーを答えなければならない。」
このほか、
・『明治はいかに英語を学んだか』早川勇/著 あるむ 2007年 【081/アイ/15】
・『青表紙の奇蹟』稲村松雄/著 桐原書店 1984年 【830/い】
・南精一「明治時代におけるSpelling Bookについて:Webster本の訳を中心に」『日本英語教育史研究』第4号(1989年)
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/hisetjournal1986/4/0/4_111/_pdf)
最終アクセス確認2014年10月7日
・井出裕美「英語教育法(3)日本の英語教育 : その原点 : 明治初期 英語検定教科書以前の教科書の分析と検討」(『太成学院大学紀要 第13号』 2011年)
(http://ci.nii.ac.jp/naid/110008151301)
最終アクセス確認2014年10月7日
などの記載によると、もともとノア・ウェブスターによってアメリカで発行されたスペリングブックは、独立戦争後のアメリカで異言語諸民族に対して不規則な英語のスペリングの中に共通性を求めて、学習者になるべく容易にスペリングと発音を学習させることを目的として発行されたもので、「アルファベットの発音」、「文字がどのようにして音をつくりだすか」、「どういう綴りのときにどういう音をつくりだすか」に重点を置いたもののようである。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 英語 (830 9版)
- 教育史.事情 (372 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 英語教育
- スペリングブック
- ノア・ウェブスター
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000160681