レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年06月25日
- 登録日時
- 2014/06/25 17:14
- 更新日時
- 2014/10/01 14:38
- 管理番号
- 名古屋市鶴-2014-018
- 質問
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解決
日本人でハムを初めて製造した人について知りたい。
- 回答
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松田雅典、松本辰五郎、中村健吉の祖先、片岡伊右衛門の4人の説があるようですが、見つかった全ての資料には片岡伊右衛門が挙げられていました。
片岡伊右衛門は、明治5年11月に長崎でハム工場を建設し、ハムの製造を始めています。
しかし、「記録として最古」とある記録物や、生没年その他については見つけることができませんでした。
- 回答プロセス
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1.NDCで畜産製造(648)の棚を確認しました。
『食卓を変えた肉食』p.54-55
→日本人によるはじめてのハム作りは、明治元年、松本辰五郎によるとの説が紹介され、本格的なものは、明治五年の片岡伊右衛門が工場をつくったことによるという記述が見つかりました。
また、“もっとも古いものとしては江戸時代末期の『清俗紀聞』や『卓子式』にはハムとその製造法が紹介されている”とも書かれていました。
『ハム・ソーセージものがたり』p.48-49
→“日本製ハム第一号誕生!”のコラムがありました。下田に着任したハリスの安政3年7月の日記にハムの記述があるそうですが誰が製造したものかはわからないとあります。
松田雅典、松本辰五郎、中村健吉の祖先があげられていますが、はっきりしないとあります。記録として最古のものとして、片岡伊右衛門が明治5年11月にハム工場を建設して製造を始めたと記述がありました。
『肉の科学』p.6-
→日本の食肉の文化史が記載されていますが、記述はありませんでした。
『日本畜産史』
→索引を引くと、p.301とp.389にハムについて書かれているとありましたが、製造した人についての記述はありませんでした。
2.松田雅典、松本辰五郎、中村健吉の祖先、片岡伊右衛門の4人全てが長崎の人であったことから、長崎関係の資料にあたりました。
『長崎県大百科事典』、『長崎県史』、『長崎県の歴史』などを確認しましたが、記述を見つけることはできませんでした。
3.起源の事典類を調べました。
『事典近代日本の先駆者』p.189、p.533-534
→片岡伊右衛門が、“ハム製造の嚆矢”として紹介されています。
→松田雅典の項目もありますが、ハムに関しての記述はありませんでした。また、松本辰五郎、中村健吉の祖先についての記述は確認できませんでした。
『事物起源事典』p.320-321
→”欧米式のハム製造の起こりは、明治五年に長崎で片岡伊右衛門”が作ったと記述されています。
4.『ハム・ソーセージものがたり』に”記録として最古のものとして、片岡伊右衛門が”とありましたので、その「記録」を探しましたが、見つけることはできませんでした。
0.製造者は掲載されていないようですが、『食卓を変えた肉食』に紹介されていた『清俗紀聞』や『卓子式』を確認しました。
『清俗紀聞 第2』「巻之四 飲食」p.19-20、p.34
→らかんの説明と、ハム製法についての記述があります。
『翻刻江戸時代料理本集成 第7巻』「卓子式」p.61
→火腿(らかん)の製法についての記述があります。
- 事前調査事項
- NDC
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- 畜産製造.畜産物 (648 9版)
- 個人伝記 (289 9版)
- 参考資料
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- 『食卓を変えた肉食』 宮崎昭/著 日本経済評論社 1987年 (p.55)
- 『ハム・ソーセージものがたり』 日本ハム/編 東洋経済新報社 1987年 (p.48-49)
- 『肉の科学』 沖谷明紘/編 朝倉書店 1996年 (p.6)
- 『日本畜産史 食肉・乳酪篇』 加茂儀一/著 法政大学出版局 1976年
- 『長崎県史』 長崎県/編 吉川弘文館 1963-1980年
- 『長崎県の歴史 第2版』 瀬野精一郎/著 山川出版社 2012年
- 『長崎県大百科事典』 長崎新聞社長崎県大百科事典出版局/編 長崎新聞社 1984年
- 『事典近代日本の先駆者』 富田仁/編 日外アソシエーツ 1995年 (p.189)
- 『事物起源辞典』 朝倉治彦/等編 東京堂出版 1970年 (p.320-321)
- 『清俗紀聞 第2』 中川忠英/著 平凡社 1966年 (「巻之四 飲食」p.19-20、p.34)
- 『翻刻江戸時代料理本集成 第7巻』 吉井始子/等編 臨川書店 1980年 (「卓子式」p.61)
- キーワード
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- ハム
- 片岡伊右衛門
- 松本辰五郎
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000155098