レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年6月23日
- 登録日時
- 2014/06/20 11:41
- 更新日時
- 2014/06/23 11:11
- 管理番号
- 060
- 質問
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解決
江戸時代に、尼崎藩領など西摂地域(摂津国西部)の村に出された御触書を解読している。
そのうちの1点、寛政11年(1799)の触書が、一部墨がこぼれていて読めない。汚損部分を読むことができる「御触書集」のようなものはないか。
- 回答
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大都市・大坂と社会的にも経済的にも関係が深かった西摂村々には、江戸の幕府老中やそれぞれの村の領主が発令した触書に加えて、大坂町奉行の触書も廻達されていました。
おたずねの触書は、「若狭・因幡」と発令者が2名連名となっており、大坂町奉行の触書と考えられます。寛政11年当時の大坂町奉行を調べると、東町奉行として水野若狭守忠通、西町奉行として成瀬因幡守正存が在職していました。
江戸時代の触書を集成した史料集としては、寛保から天保の『御触書集成』が有名です。これは、老中や勘定奉行など江戸の幕府諸機関が発令した触書を集成したものです。大坂町奉行発令の触書は、『大阪編年史』に最も広範に収録されています。ただし、これも町奉行所が発令した触書全てを翻刻したものではなく、大坂市中に向けて布達された触書が対象であり、市外の村々宛の触書までが網羅されているわけではありません。
今回おたずねの触書は、『大阪編年史』には収録されていませんでした。西摂地域の他の村々の古文書中に残る「触書控帳」「触留」などに、同じ触書が記されているのを見つけることができれば、汚損部分を解読できる可能性があります。
- 回答プロセス
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1 歴代大坂町奉行の人名・在職期間等を調べるための参考文献
◆『大阪編年史』第26巻、『国史大辞典』(吉川弘文館)
「大坂町奉行一覧」が掲載されており、東西町奉行の氏名・呼称(若狭守など)・在職期間・禄高などを調べることができる。
触書に限らず、村々への通達類・裁許状などの差出し者が誰なのかを調べる場合、大坂町奉行に加えて大坂城代・京都所司代・京都町奉行といった近畿地方の広域行政にかかわる幕府役職者を調べる必要がある。それらの一覧は、『国史大事典』に収録されている。
2 触書集成
◆『大阪編年史』
明治時代に『大阪市史』編纂のために筆写収集された史料のうち、古代から幕末分までを刊行した史料集。第3巻から第26巻までが近世史料を収録しており、大坂市中(三郷)に通達された触書が数多く収録されている。
◆『御触書集成』
江戸幕府が出した触書をまとめた法令集。江戸時代を通じて4回にわたって集成されたものが、昭和9年(1934)から4冊に分けて刊行された。
また、平成年代には、天保以後の法令を収集した『幕末御触書集成』が刊行されている。
3 その他の参考文献
大坂市中宛町触の、個別藩領村々への通達に関する参考文献
◆岩城卓二「尼崎藩における大坂町触通達」
塚田孝編『近世大坂の法と社会』所収
- 事前調査事項
- NDC
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- 近畿地方 (216 9版)
- 政治史.事情 (312 9版)
- 法制史 (322 9版)
- 参考資料
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- 『国史大辞典』全15巻 吉川弘文館発行 昭和54~平成9年 (当館請求記号 203/コ-1~15)
- 『大阪編年史』全27巻 大阪市立中央図書館発行 昭和42~54年 (当館請求記号 219/6.4/オ-1~27)
- 『御触書寛保集成』『御触書宝暦集成』『御触書天明集成』『御触書天保集成』上下 岩波書店発行 昭和9~16年 (当館請求記号 322.5/タ-1~5)
- 『幕末御触書集成』第1~6巻・別巻 岩波書店発行 平成4~9年 (当館請求記号 322.5/イ-1~イ-7-2)
- 『御觸書集成編年索引』上下 ゆまに書房発行 平成9年 (当館請求記号 322.5/コ-1・2)
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岩城卓二「尼崎藩における大坂町触通達」
塚田孝編『近世大坂の法と社会』清文堂出版発行(平成19年)所収 (当館請求記号 322.5/A/ツ)
- キーワード
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- 御触書
- 摂津
- 西摂
- 大坂町奉行
- 尼崎藩
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000154741