レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/05/17
- 登録日時
- 2014/05/17 14:37
- 更新日時
- 2015/02/25 11:02
- 管理番号
- 愛知県図-03271
- 質問
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解決
「大きなかぶ」というロシアの昔話に猫とねずみが出てこないヴァリエーションがあると聞いたが、それを読みたい。
- 回答
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ロシアの昔話「大きなかぶ」には、複数の原話及び再話が存在する。このうちアファナーシエフ編には、ねことねずみのかわりに一本足が登場する。アファナーシェフ編の原話は、当館所蔵資料では資料5から7に収録されている。また、資料1からヴェッソーノフの『童謡集』にもアファナーシエフ編とほとんど同じ内容の歌があることがわかったが、ヴェッソーノフ編については収録資料を確認することができなかった。このほか作者・出典が不明だが、資料9でも猫とねずみが出ない話を読むことができる。
- 回答プロセス
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1 「大きなかぶ」の話のヴァリエーションについて調べる
(1)当館所蔵資料
[資料1] 159~160ページにあらすじと解説がのっている。あらすじではアファナーシエフ編の『昔話集』に収められている話が紹介されている。猫とねずみは登場せず、代わりに一本足が次々5本やってくる。解説では「これとほとんど同じ内容の歌がヴェッソーノフの『童謡集』にある (中略) ロシア、ウクライナ、リトアニア、スウェーデンでしか記録されていない珍しい話で、ロシアでは4つの記録がある。」との記述がある。
[資料2] 7~11ページに「大きなかぶ」の4つの原話(人々の間で口伝えで広がり、文字にされていない昔話などを書きとめたもの)について記述あり。あらすじを確認したところ、アファナーシエフ編とヴェッソーノフ(この資料ではベッソーノフと表記)編の2つでは猫とねずみが登場しない。オンチュコーフ編では猫は出てこないがねずみが登場する、ニキーフォロフ編では両方とも出てくる。
また12~15ページでは4つの再話(原話にさまざまな度合いで手を入れたもの)についての比較がされているが、いずれのものにも猫とねずみ共に登場している。
[資料3] 資料1、2とほぼ同じ内容の記述あり。
(2)インターネット
Cinii Articleで「大きなかぶ」についての研究論文を探す。
[資料4] PDFファイルが閲覧可能。原話と再話について記述あり。内容は資料2にほぼ同じ。
2 アファナーシエフ編またはヴェッソーノフ編の原話が収録されている資料を探す
(1)アファナーシエフ編の原話
当館所蔵資料で資料5~資料7にアファナーシエフ編の原話が収録されていることを確認した。
[資料5] 『蕪』というタイトルで47~48ページに収録されている。
[資料6] 『かぶ』というタイトルで39~40ページに収録されている。
[資料7] 大正13年10月に発行されたものの復刻。『蕪菁』というタイトルで67~68ページに収録されている。
(2)ヴェッソーノフ編の原話
当館OPACや国会図書館サーチ、Cinii Books等を検索したが収録資料を確認できなかった。
資料2~4で参考文献としてあげられている資料8にヴェッソーノフ編の原話について詳しい説明があるようだが、当館では所蔵しておらずまた電子化もされていなかったので内容を直接確認するjことができなかった。冊子体は県内の公共、大学図書館では所蔵していないが、国立国会図書館及び14の大学図書館で所蔵している。
このほかCinii Articleでの検索を通じて、静岡大学の機関リポジトリで資料9を確認した。
[資料9] 『鑑賞文選』大正14年8月号尋常4年と昭和2年1月号尋常2年に掲載された『蕪菁』の全文を論文中で紹介している。論文の著者によると、この物語の作者や出典について『鑑賞文選』では何も書かれていないとある。猫とねずみは登場せず、代わりに5本の足が出てくる。『鑑賞文選』については緑陰書房より復刻版が出ているが、当館では所蔵していない。県内公共図書館では刈谷市中央図書館が、県内大学図書館では県立大学長久手キャンパス、愛知学院大学が所蔵している。
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388)
- 児童文学研究 (909)
- 小説.物語 (983)
- 参考資料
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- [資料1] 『世界昔話ハンドブック』 稲田浩二/編集代表 三省堂 2004.4 (1108487079)
- [資料2] 『「おおきなかぶ」のおはなし 文学教育の視点から』(ユーラシア・ブックレット 119)田中泰子/著 東洋書店 2008.2 (1109382090)
- [資料3] 『「大きなかぶ」はなぜ抜けた? 謎解き世界の民話』(講談社現代新書) 小長谷有紀/編 講談社 2006.7 (1108965337)
- [資料4] 「刊行された『おおきなかぶ』の表現比較研究」 加古有子/著 『全国大学国語教育学会発表要旨集 124』 2013.5
- [資料5] 『ロシア民話集』上(岩波文庫) アファナーシエフ/編 中村喜和/編訳 岩波書店 1987.7 (1102961152)
- [資料6] 『ロシアの民話』別巻 アファナーシエフ/著 金本源之助/訳 群像社 2011.12 (1110296160)
- [資料7] 『世界童話大系』 第5巻 中村白葉/訳 名著普及会 1989.4 (1105541625)
- [資料8] 「<蕪>の4つのヴァリアント」 伊藤一郎/著 『なろうど 39号』 1999
- [資料9] 「『おおきなかぶ』の日本への紹介と変容・成立」 花井信/著 『静岡大学教育学部研究報告 教科教育学篇 39』 2008.3
- キーワード
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- 大きなかぶ(大きな蕪、おおきなかぶ、蕪菁、等)
- アファナーシエフ
- ヴェッソーノフ(ベッソーノフ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000153311