レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年10月05日
- 登録日時
- 2014/05/15 09:51
- 更新日時
- 2014/07/29 16:01
- 管理番号
- 埼久-2014-024
- 質問
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未解決
「violence」を日本語で「暴力」と翻訳した最初はいつか、またそれは誰かを知りたい。
- 回答
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初訳の事実については確認することができなかった。
所蔵資料の範囲内では、1931年刊の『大英和辭典』(市河三喜,畔柳都太郎共著 富山房 1931)に掲載されているが、それ以前の辞典類では掲載がない。
- 回答プロセス
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『大英和辭典』
「violence」の項に「暴力」の記載あり。
また、「by violence」の項に「暴力にて、無理に」とあり。
『ウェブスター氏新刊大辞書和訳字彙』(ウェブスター著 イーストレーキ訳 南条文雄増補 三省堂 1902)
「Violence」の項に「暴力」の訳語なし。
『英和字彙 附・音插図』(柴田昌吉編 日就社 1873)
「violence」の項に「暴力」の訳語なし。
『和英語林集成初版訳語総索引』(飛田良文,菊地悟共編 笠間書院 1996)
本文編に「Violence」はあるが、訳語として「暴力」はなし。
なお、『和英語林集成』は1867年発行。
『和英語林集成第三版訳語総索引』(山口豊編 武蔵野書院 1997)
「暴力」はなし。
なお、『和英語林集成第三版』は1886年発行。
『日本語源広辞典 増補版』(増井金典著 ミネルヴァ書房 2012)
「暴力」の項の説明では、「中国語で、「暴(乱暴)+力」が語源」とあり、「violence」には言及していない。
『明治のことば辞典』(惣郷正明,飛田良文編 東京堂出版 1986)
「暴力」の項なし。「暴動」はあるが、項中に「violence」はない。
『現代に生きる幕末・明治初期漢語辞典』(佐藤亨著 明治書院 2007)
「暴力」の項で引用されている文献は加藤弘之「武官ノ恭順」明治七年(1874)が最古であるが、「violence」との関係は不明である。
『日本国語大辞典 12』(小学館 2001)
「暴力」の項で引用されている文献は「文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉」が最古であるが、「violence」との関係は不明である。
《近代デジタルライブラリー》(http://kindai.ndl.go.jp/ 国会図 2012/10/05最終確認)をキーワード〈暴力〉、出版日〈古い順〉で検索する。
古くは1883年刊行の図書に「暴力」という言葉が用いられているが、医学関係の資料が多い。
翻訳書と思われるものでは、1912年に「露西亜印象記」(ブランデス著 中興館)、1932年に「革命の印象」(ボース著 木星社書院)がある。ただし、「violence」の訳語として用いられているかは不明である。
その他以下の資料を調査した。
『いろは辞典 漢英対照』(高橋五郎著 名著普及会 1983)長尾景弼明治21年刊の複製である。
『横文字独学 英学部3編上』(青木輔清 中外堂 [18--])
『英學童子解 無類 捷徑 2篇』(青木輔清 同盟舎 1886)
『文典・理学・地学三書字類』(榧木寛則[著] 森屋治兵衛 1872)
『翻訳と日本の近代』(丸山真男,加藤周一著 岩波書店 1998)
『翻訳語成立事情』(柳父章著 岩波書店 1982)
『明治初期の中国と日本における近代語彙の形成と交流』(江林著 富士ゼロックス小林節太郎記念基金 1997)
『近代訳語考』(広田栄太郎著 東京堂出版 1969)
- 事前調査事項
- NDC
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- 語源.意味[語義] (832 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 翻訳
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000153235