レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/04/16
- 登録日時
- 2013/10/05 00:30
- 更新日時
- 2013/10/06 12:44
- 管理番号
- 千県東-2013-0005
- 質問
-
解決
九十九里大漁木遣唄の歌詞の中に「鳥毛網」とあるが、どのようなものか。その意味も知りたい。
- 回答
-
次の資料に「鳥毛網」に関する記述がありました。
『一宮町史』【資料1】(p402-404)
文化財「九十九里南部沿岸民謡」の項目に、「鳥毛あみは、鳥の毛で作った魔よけの立竿」と説明されています。「沖さ取りだす鳥毛あみ」のほかに十数種類の歌詞が紹介されており、「今日も鳥毛の竿がたつ」という歌詞があります。
また、風俗・習慣・伝説「地曵」p498-499でも「鳥毛網」について記述されています。
歌詞中の「鳥毛あみ」や「鳥毛の竿」と同一のものとは言い切れませんが、Google画像検索で「鳥毛竿」を検索すると、鳥の毛でできた飾りのような画像がヒットします。
「忠孝苑日誌帳 飛騨護國神社公式ブログ『闘鶏楽のこと』」
(http://fidagokoku.hida-ch.com/e440571.html)【資料2】
なお、『日本民謡選集』【資料3】p96にも木遣り唄の歌詞と解説を掲載していますが、『日本民謡事典』p314-316と同様の内容でした。
また、『日本の木遣唄 2』【資料4】p122-123と『復刻日本民謡大観 関東編 現地録音CD解説』【資料5】p62は、『日本民謡事典』『日本民謡選集』とは異なる歌詞を掲載しています。
(インターネットの最終アクセス:2013年9月27日)
- 回答プロセス
-
事前調査資料である『日本民謡事典』より、「長生郡一宮町の玉前神社に参詣する氏子たちによって歌い広められた木遣り唄」とわかったので、多方面から調べる。
1.唄の名称をキーワードに木遣り唄について調べる。
自館OPACで書名「九十九里大漁」を検索。以下の資料がヒットしたが該当の記述なし。
・『ふさの国の文化財総覧 第3巻 東葛・京葉・君津・山武』(千葉県教育庁教育振興部文化財課 2004)
・『大塚文雄大全集 5 民謡』(大塚文雄唄 キングレコード 2001)【録音資料】
・『九十九里大漁節』(プロダクション135 1993)【録音資料】
同じく書名「木遣」を検索。
『日本の木遣唄2』【資料4】p122-123に該当の記述あり。『日本民謡事典』や『日本民謡選集』とは異なる歌詞を掲載されていた。
2.民謡の分野から調べる。
自館OPACで全項目「民謡 千葉」を検索。以下の資料を閲覧したが、直接回答につながる記述は得られなかった。
・『千葉県の民謡』(千葉県立房総のむら編 千葉県教育委員会 1999)
・『千葉県民謡緊急調査報告書』(千葉県教育委員会 1981):概況では「九十九里沿岸の漁村では、大漁祈願に氏神へ出掛けて『木遣り』をうたうことがあり、また大漁成就のあかつきにも神社に参って『木遣り』をうたう土地も多い」(p.12)と、木遣り唄に触れている箇所がある。しかし九十九里沿岸の自治体、すなわち飯岡町から岬町にかけての各調査報告では、木遣り唄に関する記述は見られない。
・『伝説と民謡 房総観光読本』(山田美恵子筆 千葉県観光協会 1949)
・『房総の民唄をたずねて』(田村実著 崙書房 1974)
・『下総の唄歌』(岡崎柾男著 単独舎 1985)
・『千葉県の民謡』(日本放送出版協会 1944)
・『千葉県民俗芸能調査 昭和48年度 民謡之部』(千葉県民謡調査団 1974)
・『長生地方の童謡と民謡、方言、里諺集』(椎野秀峯編 東総園 1971)
国会図書館サーチで「民謡 千葉」を検索。
『日本民謡選集』【資料3】p96で木遣り唄の楽譜と解説を掲載しているが、『日本民謡事典』と同様の内容。
『日本民謡大観 関東編 現地録音CD解説』【資料5】p62に長生郡一宮町原の「大漁木遣」が掲載されている。『日本民謡事典』や『日本の木遣り唄』とは歌詞が違っており、「鳥の群れ」という文字が見える。
3.玉前神社や一宮町をキーワードに、木遣り唄について調べる。
国会図書館サーチで「玉前神社」を検索。以下の資料を閲覧したが、該当の記述なし。
・『全国一宮祭礼記』(落合偉州[ほか]編 おうふう 2004)
・『房総の古社 歴史と風土』(菱沼勇著 有峰書店 1975)
・『上総国一ノ宮玉前神社由緒年表』(玉前神社 1975)
自館OPACで件名「一宮町」を検索して以下の資料を閲覧。『一宮町史』【資料1】p402-404、p498-499に該当の記述あり。
その他下記の資料には該当の記述なし。
・『曙光 一宮町百周年記念誌』(一宮町 1990)
・『町民が語る昭和の一宮』(一宮町教育委員会 2008)
・『町民が語る昭和の一宮2』(一宮町教育委員会 2012)
・『ふさの国の文化財総覧 第1巻 安房・夷隅・長生』(千葉県教育庁 2004)
・『図説長生・夷隅の歴史』(三浦茂一監修 郷土出版社 2010)
・『一宮町の文化財』(一宮町教育委員会 1983)
4.漁網や漁業をキーワードに鳥毛網について調べる。
自館OPACでNDC「6656」や件名「漁網」を検索し、以下の資料を閲覧したが、該当の記述なし。
・『漁具図説 図譜 北海道水産試験場調査』(勝木重太郎編 左文字書店 1946)
・『漁網集覧』(伊吹群作原著 左文字書店 1960)
・『網漁具 資材一般』(高瀬増男著 海文堂出版 1967)
・『網 ものと人間の文化史』(田辺悟著 法政大学出版局 2002)
同じく件名「漁業 千葉県」を検索し、以下の資料を閲覧したが、該当の記述なし。
・『九十九里浜の大地曵』(作田紋平翁談 日本民俗学会 1976)
・『外房における漁具・漁法とその習俗』(千葉県教育委員会 1984)
5.千葉県立図書館ホームページ内の菜の花ライブラリーで「木遣」「民謡 一宮」「民謡 九十九里」を検索してヒットした記事から、下記の資料を閲覧したが、該当の記述なし。
・「木遣歌」『房総 郷土の古文書研究 通巻75号』(川城文庫 1997)p8
・「木遣り歌」『房総 郷土の古文書研究 通巻76号』(川城文庫 1998)p2
・「舞踊や木遣りなど披露 岬町誕生40周年記念コンサート 庄野真代さんのトークも」『千葉日報縮刷版 平成13年6月号』(2001年6月17日付 朝刊 県南版)p15
・「浪曲、民謡に“笑顔の輪”一宮町で老連演芸会」『千葉日報縮刷版 昭和63年6月号』(1988年6月7日付 朝刊 南総版)p13
・「人情味あふれる民謡の里を訪ねて 白浜、木更津、一宮、銚子」『ニューライフちば 通巻319号』(千葉県広報協会 1990)p15-18
- 事前調査事項
-
『日本民謡事典』(長田暁二編著 千藤幸蔵編著 全音楽譜出版社 2012)p314-315
- NDC
-
- 伝説.民話[昔話] (388 9版)
- 音楽史.各国の音楽 (762 9版)
- 参考資料
-
- 【資料1】『一宮町史』(一宮町史編さん委員会編さん 1964)(1000000594708)
- 【資料2】「忠孝苑日誌帳 飛騨護國神社公式ブログ『闘鶏楽のこと』」(http://fidagokoku.hida-ch.com/e440571.html)
- 【資料3】『日本民謡選集』(千藤幸蔵編著 ドレミ楽譜出版社 2001)(2101403524)
- 【資料4】『日本の木遣唄 2』(宮内仁著 国書刊行会 1994)(0105068209)
- 【資料5】『日本民謡大観 関東編 現地録音CD解説』(日本放送出版協会 1992)(1101102583)
- キーワード
-
- 九十九里大漁木遣唄(クジュウクリタイリョウキヤリウタ)
- 鳥毛網(トリゲアミ)
- 鳥毛あみ(トリゲアミ)
- 鳥毛の竿(トリゲノサオ)
- 民謡(ミンヨウ)
- 千葉県-一宮町(チバケン-イチノミヤマチ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000137830