レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012/08/17
- 登録日時
- 2012/08/19 02:00
- 更新日時
- 2012/09/03 14:17
- 提供館
- 京都市図書館 (2210023)
- 管理番号
- 右中-郷土-53
- 質問
-
解決
京都における菓子型(菓子木型)の歴史を知りたい。
- 回答
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【資料1】によりますと,干菓子と呼ばれる打ちものや押しもの類を生産するために用いられる菓子型は,江戸時代後半から様々な型が作られ発展しました。それらの木型の多くは,京都の職人が作り各地へ広がったもようです。また,京都で彫られた紋様を写して,各地で型を作ることも多かったといわれています。
同じ江戸時代には,各寺院や神社の紋を表した御紋菓と呼ばれる菓子が作られるようになりました。多くの寺社のある京都では,社寺御用達の老舗菓子屋である亀屋清永や玉寿軒,笹屋伊織等がそれぞれの紋の菓子型を持ち,供え物の落雁などを作ってきました。
菓子型に関する文献は少なく詳しいことはわかりませんが,京都では戦後,菓子型彫刻師は野口次良氏ただ一人となりました。野口氏の父親が大正9年に野口筑紫堂を創業,戦前は京都で5人程度同業者がいたということです。父親はかつて御幸町綾小路にあった「青池精巧堂」で修行されました。
野口氏の仕事については【資料2】~【資料6】に詳しい記述があります。
菓子木型は京都市の「京の手しごと工芸品」に,また野口筑紫堂は平成14年度京の手しごと工芸品店に指定されています。
- 回答プロセス
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●干菓子に関する資料より
【資料1】…京都を中心とした落雁用の木型や御紋菓について詳しい。図版多数
●京都の伝統工芸に関する資料より
【資料2】~【資料5】…野口次良氏の取材記事 ※【資料4】には作品図版あり
【資料6】…京都府による諸職の調査報告書。製作工程や用具,使用する素材,製品等について
●菓子・京菓子に関する資料より
【資料7】“落雁”…いつごろ木型が用いられるようになったのかははっきりしない。明和のころ(1764~1772)ではないかといわれている。
【資料8】【資料9】…御紋菓について記述あり
●菓子木型の資料より
【資料10】…江戸時代までは菓子木型といえば,落雁を中心とする干菓子に使うことが多かったと考えられる。
〈関連事例〉
落雁や諸越など、型を使用した和菓子、打物(うちもの)の起源や伝来について知りたい。(秋田県立図書館)
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000043258
- 事前調査事項
- NDC
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- 工芸 (750 8版)
- 食品工業 (588 8版)
- 食品.料理 (596 8版)
- 参考資料
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- 【資料1】『落雁』(徳力 彦之助/著 三彩社 1967)
- 【資料2】『京の匠』(淡交社編集局/編 淡交社 1999) p81~82 “菓子型彫刻”
- 【資料3】『伝統にいきる京のお菓子』(中央公論社 1981) p139~141 “季節を掘り込むお菓子の木型”
- 【資料4】『京都手仕事のうた』(京都新聞社/編著 ・刊行 1983) p198~201 “菓子木型”
- 【資料5】『職人 伝えたい日本の魂』(エス・ビー・ビー/編 三交社 2001) p222~231 “菓子型彫刻-野口次良氏”
- 【資料6】『伝統の手仕事 京都府諸職関係民俗文化財調査報告書』(京都府教育庁指導部文化財保護課/編集 京都府教育委員会 1994) p303 “菓子型”
- 【資料7】『新・食品事典 10 菓子』(河野 友美/編 真珠書院 1991) p221~222
- 【資料8】『京都の和菓子』(井上 由理子/著 2004) p44~45
- 【資料9】『カラー京都の菓子』(鈴木 宗康/著 1974) p8~9
- 【資料10】『「菓子型の世界」展 第四十六回虎屋文庫資料展 』(虎屋/編集 1996) p9~13
- キーワード
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- 京菓子
- 和菓子
- 木型
- 菓子型
- 菓子木型
- 落雁
- 干菓子
- 紋菓子
- 御紋菓
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000110198