レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009年07月15日
- 登録日時
- 2012/05/22 14:08
- 更新日時
- 2012/12/26 11:04
- 管理番号
- 新県図-01206
- 質問
-
解決
旧濁川村名目所(なめとこ)に伝わる「名目所ずんばい(ずんべい)」について
(1)恐らく梅か杏を表す方言と思われるが、意味を知りたい。
(2)「名目所」の地名の意味
- 回答
-
(1)「名目所ずんばい」の意味
当館所蔵の新潟市近辺を中心に方言資料を調査しましたが、「ずんばい(ずんべい)」または「名目所ずんばい(ずんべい)」について記述のある資料を見つけることはできませんでした。また新潟県内方言研究雑誌『ことばとくらし』を通覧しましたが、同様に記述を見つけることはできませんでした。
質問に「梅か杏を表す」とありましたので、植物関係の方言資料を見たところ、『日本植物方言集成』(八坂書房 2001 当館請求記号:R470/Y61)の索引に「ずんばい」および「ずんべ」が「モモ」の方言の項にあり、またその他の呼び方も出ていました。
すんべーもも(ツバイモモ) 岩手* 宮城 秋田* 福島 新潟* 長野*[その他は省略]
いずれも「ツバイモモ」の方言です。県名の後ろに*印があるものは一部の地域での方言とのことです。この資料では新潟県では「すんべーもも」と呼ばれているとありますが、「ずんばい」や「ずんべい」の記載もありますので、「もも」を省略した形ということがわかります。
「ツバイモモ」は『日本国語大辞典』9巻(第2版 小学館 2001 R813/Sh95/9)に、【椿桃・油桃】とあります。
「名目所ずんばい」というような地名+果樹名(野菜名)の組み合わせは、一般的には果樹(野菜)の産地を示していると考えられますので、『新潟の果樹』(農林省新潟統計調査事務所/編・発行 1967 N625/N96)を確認したところ、「もも」の産地としての聖籠町の記述に「古くから油桃等を自家用程度に栽培していた」(p63)とあり、名目所でも同様だったのではないかと考えられます。
(2)「名目所」の地名の意味
新潟県関係の地名に関する資料のうち、『県内地名新考』下巻(小林存/著 高志社 1950 N290/Ko12/2)p84に県内各地の「目」のつく地名例を並べ、p85に以下の記述があります。
古くから眼代(ガンダイ)若しくは目代(モクダイ)という言葉がある。一般的には目代(メダイ)の義に解され領主の留守中目の及ばぬ処を処理する一時的代理者と説明されているが(現に先日迄北蒲原郡あたりの大地主は所有地一区画の支配人を設け、それをメダイと名づけていた)必ずしもそうではなく、矢張り名代同様地に即しての目代であるらしい。目という地名の由来はここからでも理解される筈だ。北蒲原郡濁川村大字名目所(ナメトコ)は之に関し常に疑われるが、何も不思議なことはない。名目は滑の宛字滑かなる所である。名主(ミョウシュ)をナヌシといい、メダイを目代(モクダイ)眼代(ガンダイ)とも言った処を見ると音訓通用したものであろうか。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 北陸地方 (214 9版)
- 方言.訛語 (818 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 名目所ずんばい
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000106431