レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年01月09日
- 登録日時
- 2012/05/17 14:42
- 更新日時
- 2012/07/25 16:17
- 管理番号
- 埼熊-2012-019
- 質問
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解決
儒教・道教における死後の世界について一般論と具体論、また、各人(男・女・子ども・善人・悪人・殉教者等)の違いなどできるだけ、詳しく書かれている本を見たい。
- 回答
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儒教・道教における死後の世界について書かれているものとして、以下の資料を紹介した。
一般論と具体論、各人の違いについては、必ずしも掲載されているわけではない。
儒教(NDC分類〈124.1〉〈123〉)
『中国思想を考える 未来を開く伝統 中公新書』(金谷治著 中央公論社 1993)
p32-39「儒教の現実主義」に、「人間がどうして生まれてきたか、死んでからどうなるか、人間をとりまく世界はどうかといった問題は、問題として意識されていた形跡はありますが、それを表だって追及する姿勢はまったくありません。」とあり、死後の世界についての教義はなさそう。
『儒教の知恵 矛盾の中に生きる 中公新書』(串田久治著 中央公論新社 2003)
p147-208「第五章 生と死」に、〈死後の世界〉についての記述なし。
p189「もちろん、短命であれ長命であれ、人はいずれ死ぬ。これも天命として甘受するが、生きている限りは積極的に生きることも天が人間に賦与した命と考える。これが儒教の死生観である。」
『沈黙の宗教-儒教 ちくまライブラリー』(加地伸行著 筑摩書房 1994)
p288-294「死があれば生がある」に、〈死後の世界〉についての記述なし。儒教が死よりも生を重んじたことがわかる。
道教(NDC分類〈166〉)
『道教事典』(野口鉄郎〔ほか〕編 平河出版社 1994)
p227-228〈死生観〉の項
p228「しかししだいに発達した道教では、人間の不老長寿という考え方が強く信ぜられるに至った。特に不老不死の仙人になることが大きな理想の一つとされ、仙人でも天仙、地仙は生きながら仙人であって、実際には死が避けられない。そこで一度死んでもそれは形の上にすぎないという尸解仙が考えられるようになった。」
『道教とはなにか 中公叢書』(坂出祥伸著 中央公論新社 2005)
p42-44神仙思想についての記述あり
p52-55「尸解仙」
仙人は基本的に不老不死だが、自分の死後死体を尸解(しかい)して肉体を消滅させ、仙人になる方法がある。仙人の死と再生についての記述あり。
『不老不死という欲望 中国人の夢と実践』(三浦國雄著 人文書院 2000)
p171-190「中国人のユートピア」道教の母体である神仙思想について説明あり。
『講座道教 3 道教の生命観と身体論』(野口鐵郎編 雄山閣出版 2000)
p10-「道教の生命科学 1 生命観の変遷」に関連する記述若干あり。
- 回答プロセス
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その他、調査した資料は以下のとおり
『死後の世界 インド・中国・日本の冥界信仰』(田中純男編 東洋書林 2000)
『死後の生活』(フェヒネル著 平田元吉訳 丙午出版社 1924)
『死と再生 ユーラシアの信仰と習俗』(井本英一著 人文書院 1982)
『死後の世界』(〔出版者不明〕 〔19--〕資料番号117359331)
- 事前調査事項
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「世界の地獄と極楽がわかる本」(PHP研究所 2010)
- NDC
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- 宗教学.宗教思想 (161 9版)
- 先秦思想.諸子百家 (124 9版)
- 道教 (166 9版)
- 参考資料
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- 『中国思想を考える 未来を開く伝統 中公新書』(金谷治著 中央公論社 1993)
- 『儒教の知恵 矛盾の中に生きる 中公新書』(串田久治著 中央公論新社 2003)
- 『沈黙の宗教-儒教 ちくまライブラリー』(加地伸行著 筑摩書房 1994)
- 『道教事典』(野口鉄郎〔ほか〕編 平河出版社 1994)
- 『道教とはなにか 中公叢書』(坂出祥伸著 中央公論新社 2005)
- 『不老不死という欲望 中国人の夢と実践』(三浦國雄著 人文書院 2000)
- キーワード
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- 他界観念
- 道教
- 儒教
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000106165