レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009/7/8
- 登録日時
- 2011/01/14 02:00
- 更新日時
- 2021/02/25 14:12
- 管理番号
- 中央-2010-02
- 質問
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グラフィック・デザイナーである亀倉雄策氏が、東京オリンピックのために制作したポスターで芸術選奨を受賞したと聞いている。このポスターは何年に制作されたものか、また、亀倉氏はその賞を何年に受賞したのかを知りたい。
- 回答
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亀倉雄策氏が芸術選奨(昭和35年度第11回)を受賞したのは1961年(昭和36年)3月8日である。
ただし、受賞前年の1960年の活動全般に対して贈られた賞であり、オリンピックのポスターに対しての賞ではないと思われる。
資料1に掲載された略年譜によると、亀倉氏によるポスターの作成年度と芸術選奨受賞年度は以下のとおりである。
1960年6月 「オリンピック東京大会シンボルマークコンペ」で亀倉案が採用される
1961年2月 東京オリンピック公式ポスター第1号を制作
1961年3月 昭和三十五年度(第11回)芸術選奨受賞
1962年5月 東京オリンピック公式ポスター第2号を制作
1963年4月 東京オリンピック公式ポスター第3号を制作
1964年4月 東京オリンピック公式ポスター第4号を制作
資料2には亀倉氏のポスター図版の横に受賞した賞が記されているが、4枚の公式ポスターへの賞の中に「芸術選奨」は記載されていない。また、資料3~5からも、ポスターと芸術選奨受賞の関連についての記述は見つからない。
朝日新聞の昭和36年3月9日 朝刊に「芸術選奨ことしの受賞者」の記事が掲載されている。
この記事によると、亀倉氏の受賞については、「数々のすぐれた作品を発表してわが国のグラフィック・デザインの近代化に影響を与え、また日本宣伝美術会の育成に努力するとともにひろく国際交流に貢献した」とあり、特定の作品に対して受賞したのではないことが伺える。
また、資料6の「芸術選奨 美術部門」の項には「毎年、締め切りは12月中旬、発表は翌春」とある。
このことからも、1961年になってから発表されたオリンピック公式ポスターは受賞理由の対象外であると考えられる。
ただし、第1号ポスターのデザインの元になった東京オリンピックのシンボルマークは、1960年にコンペで採用された亀倉氏の作品である。このシンボルマークをデザインしたことが受賞理由の一つとなった可能性はある。シンボルマークについては、資料1、資料7に図案と本人が書いた関連記事が掲載されている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- グラフィックデザイン.図案 (727 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】 亀倉雄策 : YUSAKU KAMEKURA 1915-1997 / 亀倉雄策∥著 / DNPグラフィックデザイン・アーカイブ , 2006.1 ( ggg Books 別冊-4 ) <727.0/5135/2006>
- 【資料2】 亀倉雄策のポスタ- : 時代から時代へ・1953年-1996年の軌跡 / 亀倉雄策∥[画] / 東京国立近代美術館 , c1996 <7270/3211/96>
- 【資料3】 亀倉雄策作品集 / 亀倉雄策∥[画] / 美術出版社 , 1971 <7270/K091/K>
- 【資料4】 亀倉雄策のデザイン / 亀倉雄策∥著 / 六耀社 , 1983.10 <D/7270/135/83>
- 【資料5】 美術年鑑 1962 / 美術出版社 , 19610000 <R/7059/B798/B1-62>
- 【資料6】 美術・デザイン賞事典 / 日外アソシエーツ株式会社∥編集 / 日外アソシエーツ , 1990.7 <R/7033/3007/90>
- 【資料7】 亀倉雄策1915-1997 : 昭和のグラフィックデザインをつくった男 / リクル-ト∥[ほか]編集制作 / メディアファクトリー , 1998.5 <D/7270/3224/98>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000076451