レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2001/04/25
- 登録日時
- 2010/08/01 02:00
- 更新日時
- 2015/05/25 10:26
- 管理番号
- 長野市立長野-01-006
- 質問
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解決
大名が何流の能を習っていたのか。できるだけ多くの大名について知りたい、特に真田について。
- 回答
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以下参考資料に掲載されていたのでご紹介しました。
真田についての記述は見つかりませんでした。
- 回答プロセス
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『能に憑かれた権力者』p25に、「おもなものとしては、徳川氏の観世後援のほかに、周防大内氏と金春禅竹、播磨赤松氏と金剛大夫、河内畠山氏と金春宗筠・同禅鳳、甲斐武田氏と金春座の傍系の大蔵大夫、小田原北条氏と宝生大夫などの関係が知られている。」とあり。
以降「織田信長、徳川家康、細川幽斎といった著名な戦国武将の能楽愛好について紹介」されている。
信長については、「能については自身鼓をたしなみ、幾人かの役者を後援してはいたが、秀吉のようにみずから能を演じることはなかったよう」とある。
家康については、「上方から下向して今川氏の庇護を受けていた観世十郎大夫(七世観世大夫宗節の兄)から謡などの稽古を受けていたようである。」とある。
細川幽斎については、「能のなかでも、とりわけ幽斎が好んだのは太鼓で、その師は信長の愛顧を受けていた名手の観世与左衛門国広である。」とある。
県立長野図書館へレファレンス依頼。
以下同図書館より回答。
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大名と能の関係について、『岩波講座 能・狂言1』p293-328「五 地方諸藩の能楽」と『能楽全書 第二巻』p174-197「能の地方的分権とその情勢」に詳しい記述がありました。真田家については『松代町史 下巻』p407-408、『真田宝物館図録』に記述があります。
能は、江戸時代に幕府の「式楽(儀式に用いる楽)」に位置づけられており、各藩では能役者を雇用しています。保護をするという形式ではありません。また雇用した能役者も同一流派のみということでなく、いろいろな流派から人選していたようです。大名が何流の能を習っていたかということについては記述がありませんでした。
上記資料に、地方諸藩の能楽については資料がほとんどなく、能楽史研究の中で最も立ち遅れている分野との記述があります。現在、各藩の歴史的文献をあたる以外に調査する方法はないようです。
【調査済資料】
『能・狂言事典』(平凡社 1999)
『日本の古典芸能 第三巻 能』(平凡社 1970)
『芸能・文化の世界』(吉川弘文館 2000)
『日本の近世 第11巻 伝統芸能の展開』(中央公論社 1993)
『藩史大事典 第3巻 中部編Ⅰ』(雄山閣出版 1989)
『猿楽能の研究』(桜楓社 1988)
『世子・猿楽能の研究』(新読書社 1991)
『能楽盛衰記 上・下巻』(東京創元社 1992)
『日本演劇辞典』(展望社 1980)
『国史大辞典』(吉川弘文館 1979)
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- 事前調査事項
- NDC
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- 能楽.狂言 (773)
- 参考資料
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- 『能に憑かれた権力者』天野 文雄/著 講談社 1997.10 <773ア> (p25-36)
- 『能・狂言入門』松田 存/〔著〕 文研出版 1977 <773マ> (p42-55)
- 『岩波講座 能・狂言 1』岩波書店 1987.3 (県立長野図書館所蔵)
- 『能楽全書 第2巻 綜合新訂版』野上 豊一郎/編修 東京創元社 1981.01 <773ノ>
- 『松代町史 下巻』大平 喜間多/編纂 臨川書店 1986 <N213マ>
- 『真田宝物館図録』真田宝物館/編 松代藩文化施設管理事務所 1989.03 <N288サ>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
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- 県立長野図書館(http://www.library.pref.nagano.jp/)
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000069697