レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008/12/21
- 登録日時
- 2009/04/23 02:11
- 更新日時
- 2009/11/20 14:06
- 管理番号
- 埼熊-2008-111
- 質問
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解決
荒川堤の作られた時代(年)を知りたい。
- 回答
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荒川堤については、熊谷堤とその範囲が判然しないため築堤年代が確定しない。荒川の左岸には大囲堤が築かれている。
国土交通省荒川下流河川事務所《荒川流域のポータルサイトARA》の〈荒川の資料の参考書7 洪水のある暮らし〉の「日本堤・隅田堤による狭窄部と遊水地」図内に堤の区分けあり。「隅田川右岸に日本堤、左岸に墨田堤と熊谷堤/荒川堤を築く」とあり。
(http://www.ara.go.jp/category/13_data/history/sanko_07.html 2008/12/21最終確認)
このほか,記述のあったおもな資料を以下に紹介する。
『浦和市史 通史編2』「荒川大囲堤の築堤は、慶長期(1596-1614)から徐々に始められ、慶安期(1648-1651)ごろにほぼ完成した。」とあり。
『日本歴史地名大系 11 埼玉県の地名』〈荒川〉の解説に、「天正19年(1591)松平家忠が熊谷堤50間を築造し(家忠日記)、慶長期には伊奈備前守忠次により土屋古堤が築かれた。その後元和2年(1616)に淵江領掃部宿(現東京都足立区)で開発主の石出掃部亮が水除堤を築いており、(略) 熊谷付近から千住宿(現足立区)に至る大囲堤が江戸初期の段階で築造されたとみられる。」とあり。
- 回答プロセス
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荒川関係資料を調査する。
『武蔵国郡村誌 9』「荒川堤」に、「此堤は天正2年(1574)小田原北條氏より築かしめし由云伝へり熊谷堤と称するもの是なり」とあり。
『荒川下流誌 本編』に「熊谷堤・荒川堤は、いつ頃築かれたのかよくわかっていない、熊谷堤の完成年度は、元禄~享保年間頃(1688~1736年)と言われている。」とあり。荒川左岸旧堤(水除堤、大囲堤)には築造年の記述なし。「江戸時代に向島から千住までの区間に荒川堤が、千住から本木・江北を通り埼玉県の熊谷まで熊谷堤が、それぞれ築かれた。」とあるが、同時に「荒川堤、熊谷堤と一応分けられているが、どちらも熊谷に至る堤防のため熊谷堤といわれていたようである。」とあり。
『埼玉県内に残る旧堤の調査研究報告書』の「荒川大囲堤」に「隣接下流(現足立区)の熊谷堤(囲堤の荒川左岸)に、接続して連続堤にしたことが推測される(17世紀前半)。」
『浦和市史 通史編2』「荒川の大囲堤の築造については、明確な資料に欠け築造の時期や工事内容の詳細を知ることはできない。これらの事例からみると荒川大囲堤の築堤は、慶長期(1596-1614)から徐々に始められ、慶安期(1648-1651)ごろにはほぼ完成したと思われる。」
『新編武蔵風土記稿 7』「千住宿」に「堤防-荒川水除堤」あり。「綾瀬川の堤より屈曲して築けり、高さ1丈2尺、此堤は元和2年(1616)東照宮御放鷹の時、石出掃部亮が願上しによりて築上しによりて築かせられしと云、又此堤より尚北の方千住町一丁目の境にも堤あり、これは千住町の水除けなり、共に御普請所なり、」「本木村」と「堀之内村」に、いずれも村の南側を荒川が流れており水除堤があるという記述。「鹿濱村(ししはまむら)」に、西の郡境を荒川が流れ水除堤があるとの記述あり。
『明治ニュース事典8』 明治44年7月23日の記事に以下の記述あり。「(川幅拡張のため荒川堤の桜全滅か) 荒川堤(熊ヶ谷土堤)は元禄、享保年間に築造されしものにて、明治18年に修理され、」とあり。
『新編埼玉県史 通史編3 近世』 荒川の治水事業の初発は、江戸北辺に封じられた松平家忠による荒川流路の北条堤(熊谷西堤の延長約50間)である。忍城に入った家忠は直ちに築堤工事に着手し、翌(天正)19年3月に完工した。出典は「家忠日記」。
- 事前調査事項
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「荒川の治水翁斎藤祐美」に「江戸を洪水から守る戦略」の章あり。徳川家康が荒川の水を江戸にひき、洪水を防ぐために日本堤・隅田堤を築いたとの記述。熊谷堤・荒川堤・墨田堤・日本堤の図あり。明治43年の洪水。ただし、熊谷・荒川堤については説明なし。
調査済み資料:「台東区史 通史編1・2」「墨田区史 前史、上・下」
- NDC
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- 河海工学.河川工学 (517 9版)
- 貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション (090 9版)
- 参考資料
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- 『武蔵国郡村誌 9』(埼玉県立図書館 1954)
- 『荒川下流誌 本編』(リバーフロント整備センター 2005)
- 『浦和市史 通史編2』(浦和市 1988)
- 『新編武蔵風土記稿 7』(雄山閣 1977)
- 『明治ニュース事典 8』(毎日コミュニケーションズ 1986)
- 『明治東京名所図会 下』(朝倉治彦 東京堂出版 1992)
- 『埼玉県の地名 日本歴史地名大系11』(平凡社 1993)
- 『新編埼玉県史 通史編3 近世』(埼玉県 1988)
- キーワード
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- 堤防
- 荒川
- 荒川堤-東京都-歴史
- 治水-治水誌
- 埼玉県-武蔵国
- 郷土資料
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 定番事例-参考資料-新編埼玉県史-解決
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000054118