レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2006年07月21日
- 登録日時
- 2006/07/21 17:47
- 更新日時
- 2013/05/21 17:51
- 管理番号
- 国音-2006-0002
- 質問
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未解決
ドビュッシー作曲のピアノ曲「喜びの島」にインスピレーションを与えたと言われる絵画を見たい。
- 回答
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ドビュッシー《喜びの島》にインスピレーションを与えたといわれる絵画としては、資料A、Bによればワトー(Watteau)作「シテール島への船出」とされている。この絵画は、知名度からすれば(1)の可能性が高いが、資料C,Dによれば、(2),(3)の可能性もある。また、資料Eでは、ワトー(Watteau)作「シテール島への船出」であるとする定説を覆し、(4)ではないかと述べている。決定打となる資料がないため、(1)~(4)を提示する。
(1)ヴァトー作《シテール島の巡礼(シテール島への船出)》(1717年)パリ ルーヴル美術館蔵
・ 『原色世界の美術 フランス. 1 ルーヴル美術館』 (小学館) のp41にNo.27 絵画の写真有り。解説は、p.53。
・『世界美術大全集 西洋編 第18巻 ロココ』坂本満編 (小学館)
(2)ヴァトー作《シテール島への船出》(1718~19頃) ベルリン シャルロッテンブルク宮殿蔵
(前作のヴァリアント。基本的構図は同じだが、色彩的な効果はかなり異なる)
・『ヴァトー【シテール島への船出】情熱と理性の和解』ユッタ・ヘルト著 中村俊春訳(三元社)折り込み図
(3)ヴァトー作《シテール島》(1709~10年頃) フランクフルト シュテーデル美術館蔵
(ヴァトーの青年期の作品)
・『ヴァトー全作品』中山公男編著(中央公論美術出版社)
(4)ベナール(Besnard, A)作《幸福な島Ile heureuse》(1902年)
・次の本に記述がある。
『A portrait of Claude Debussy』Dietschy, Marcel著 英訳(Clarenson Press)p.134
・絵画そのものは、インターネット上に公開されている。[Google, イメージ:Besnard Albertで検索]
- 回答プロセス
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利用者の所持した楽譜(「ドビュッシーピアノ曲集4」)の同曲 解説【資料A】により、インスピレーションを与えた作品がワトーのものである事が判明。当館OPACで「ワトー」で検索するも検出されない。美術事典によりワトーの綴りがWatteau である事を確認。”Music inspired by art"【資料B】のWatteauより検索。”Embarking for Cythera"である事が判明。 ワトーがフランスの画家であること及び活躍年から見当をつけ、当館の画集に収載されている同作品の写真を発見。 その後、武蔵野美術大学の協力を得て、『ヴァトー全作品』【資料C】や関連図書『ヴァトー【シテール島への船出】情熱と理性の和解』【資料D】等の図書により、ワトーが「シテール島をテーマとして3つの作品を描いていることを知る。また、当館所蔵の図書【資料E】より、ベナール(Besnard)の絵画のことも知る。
- 事前調査事項
- NDC
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- 音楽.舞踊.バレエ (76 9版)
- 参考資料
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- 【資料A】「ドビュッシーピアノ曲集 4」校註:安川加寿子 (音楽之友社 1983)
- 【資料B】Music inspired by art, by Gary Evans. (The Scarecrow, 2002)
- 【資料C】『ヴァトー全作品』中山公男編著(中央公論美術出版社)
- 【資料D】『ヴァトー【シテール島への船出】情熱と理性の和解』ユッタ・ヘルト著 中村俊春訳(三元社)
- 【資料E】『A portrait of Claude Debussy』Dietschy, Marcel著 英訳(Clarenson Press)
- キーワード
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- 音楽と絵画
- 絵と音楽
- 照会先
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- 武蔵野美術大学美術資料図書館
- 寄与者
- 備考
- このレファレンス事例を基にしたテーマ展示を行ないました。詳しくは、当館ホームページの展示資料をご覧ください。http://www.lib.kunitachi.ac.jp/tenji/2004/tenji0410.pdf
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 作品
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000029652