レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年11月27日
- 登録日時
- 2017/11/27 14:49
- 更新日時
- 2017/11/27 14:49
- 管理番号
- 神奈川総教C-2017事2
- 質問
-
解決
造船・海洋教育について調べている。戦後(おおよそ高度経済成長時代まで)の小学校教科書で、「造船」がどのように扱われていたかを知りたい。
- 回答
-
○「造船」をキーワードに小学校国語教科書の掲載作品、社会科の教科書などを調べたところ、次のような教科書などがありました。
○小学校国語
「造船」を表題に持つ教材は、昭和27年~45年頃まで登場します。昭和31年に日本の造船量は英国を抜いて世界第一位となり、「造船国日本」と呼ばれるようになり、その頃の教科書にもよく登場します。しかし、昭和40年台になると掲載数は減っていき、工場見学などを題材にした教材も、造船工場から自動車工場などへと変化していきます。
(検定年_使用年度_出版者_記号・番号_書名_単元名)
S26(1951)_S27(1952)_001日本書籍_小国567_山本有三編集国語5年2_船/造船所の話
S25(1950)_S26~S27(1651~1952)_012二葉_小国628_国語の本12第6学年下_二 生産の喜び/一 造船所
S27(1952)_S28~S35(1953~1960)_001日本書籍_小国588_山本有三編集国語5年2_汽船/造船所の話
S27(1952)_S28~S35(1953~1960)_012二葉_小国585_国語の本5年上改訂版_二 お話しとげん燈/一 造船所をたずねて(牧野弘之)
S29(1954)_S30~S31(1955~1956)_011学校図書_小国5-551_小学校国語5年下新版_働く人たち 造船所
S30(1955)_S31~S35(1956~1960)_012二葉_小国A-602_新編国語の本6年1_二 見学の記録/二 造船所をたずねて
S31(1956)_S32~S35(1957~1960)_011学校図書_小国A-503_小学校国語5年下_働く人たち 造船所
S28(1953)_S29~S35(1954~1960)_011学校図書_小国5-529_わたしたちの国語5年上_海/造船所
S35(1960)_S36(1961)_005中教出版_国語5001_小学国語5年(1)_見学/造船所の見学記録
S35(1960)_S36~S39(1961~1964)_003大阪書籍_国語4019_小学国語4上_働く人々/造船所
S35(1960)_S36~S39(1961~1964)_026信濃教育会出版部_国語6021_国語6年上_八 造船所/造船所見学
S36(1961)_S37~S40(1962~1965)_143筑摩書房_国語9004_国語3_二 発表と報告/二造船所
S39(1964)_S40~S42(1965~1967)_026信濃教育会出版部_国語6037_国語6年上_九 造船所
S42(1967)_S43~S45(1968~1970)_026信濃教育会出版部_国語6049_国語6年上_九 造船所
○小学校社会科、地図帳
小学校社会科、地図帳については、東京書籍の教科書を調べました。
社会科については昭和31年~42年の教科書の巻頭グラビアページに造船所が紹介されています。
地図については、いわゆる巻末の資料集に世界の造船トン数の比較と推移がグラフ等で示されていますが、日本の輸出品目の上位にあった造船が、上位8位から姿を消した昭和61年以降の地図帳からは掲載されません。
(検定年_使用年度_出版者_記号・番号_書名_単元名)
S30(1955)_S31~35(1956~1960)_002東書_小社582_改訂新しい社会 五年下_巻頭モノクロ ④造船所
S31(1956)_S32~35(1957~1960)_001日書_小社596_新版小学生の社会 産業と生活 5下_巻頭モノクロ 進む生産 造船所/交通運輸のはたらき (二)輸送上の問題 海上運輸
S35(1960)_S36~39(1961~1964)_002東書_社会5008_新しい社会 5年上_巻頭カラー はってんする産業 船を作る
S39(1964)_S40~42(1965~1967)_002東書_社会5021_新編新しい社会 5年下_巻頭カラー 発展する工業 ④造船所
S32(1957)_S33~35(1958~1960)_002東書_小社4~438_小学校用新編新しい社会科地図_工場分布・どれだけの商船があるか
S35(1960)_S36~39(1961~1964)_002東書_地図4005_小学校用新しい社会科地図_世界の造船「日本は世界最高の造船高を示している。」
S39(1964)_S40~42(1965~1967)_002東書_地図4013_小学校用新編新しい社会科地図_世界の造船
S42(1967)_S43~45(1968~1970)_002東書_地図4018_新訂新しい社会科地図_世界の造船
S45(1970)_S46~48(1971~1973)_002東書_地図4030_新しい社会科地図_船のおもな生産国
S48(1973)_S49~51(1974~1976)_002東書_地図4060_新訂新しい社会科地図_船のおもな生産国
S51(1976)_S52~54(1977~1979)_002東書_地図4070_新編新しい社会科地図_おもな造船所と自動車工場
S54(1979)_S52~57(1980~1982)_002東書_地図401_新しい社会科地図_おもな造船所と自動車工場
S57(1982)_S58~60(1983~1985)_002東書_地図403_改訂新しい社会科地図_おもな造船所と自動車工場
S60(1985)_S61~63(1986~1988)_002東書_地図405_新編新しい社会科地図_日本の輸出品目
S63(1988)_H01~03(1989~1991)_002東書_地図407_新訂新しい社会科地図_日本の輸出品目(上位8位外)
○学習図鑑
小学館の学習図鑑シリーズの造船に関わる箇所は次の通りです。
⑨交通の図鑑小学館S31(1956)初版S41(1966)改訂9版造船「つまり造船は、あらゆる工業のあつまりだということもできます。」
⑬社会科の図鑑小学館S33(1958)初版S41(1966)改訂5版海の交通、港と貿易
㉔機械の図鑑小学館S37(1962)初版S40(1965)4版人や貨物を運ぶⅠ 船
○中学校、高等学校教科書
当センター所蔵教科書のうち、中学校の水産、職業・家庭科、高校の水産の教科書には造船を題材にしたものは見つかりませんでした。
○学習指導要領
昭和22年版の『小学校学習指導要領 社会科編(試案)』、第6学年「工場生産は,どこにどのように,発達するか。」、「学習活動の例 工場の立地条件を発見する」に、「10.造船所を見学し,木造船と鉄船との場合で立地条件のちがうことを発見する。」とあります。その後の指導要領には、工業生産についての記述はありますが、造船についてのものはありません。
また、高等学校工業科の学習指導要領をみると、昭和26年版「第12章 造船課程の指導計画」、昭和31年版「3.造船に関する科目」では造船に関する科目が1科目でした。昭和35年版では「第14 造船実習~第24船舶法規」の11科目と増え(最多)、昭和45年版では「第16 造船実習~第22 造船力学」と7科目ありましたが、昭和53年版では「第12 造船工学」1科目のみとなります。
- 回答プロセス
-
○国語教科書については、東書文庫の「蔵書検索(作品名検索)」、当センターの「小学校国語教科書題材データベース」により、造船など関係するキーワードで検索し、当館所蔵教科書を調査しました。
○社会科教科書、中学校教科書、高等学校教科書については、内容を検索できるデータベースなどがないため、当館所蔵教科書を調査しました。
○図鑑、学習指導要領については、当館所蔵資料を調査しました。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
- キーワード
-
- 教科書(戦後検定教科書)
- 小学校
- 国語
- 社会
- 造船
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
学習指導要領は、次のHPで閲覧することができます。
・現行もしくは直近のもの:文部科学省HP 学習指導要領 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/youryou/main4_a2.htm
・昭和22年~平成20年のもの:国立教育政策研究所HP 学習指導要領データベース https://www.nier.go.jp/guideline/
- 調査種別
- 書誌的事項調査 所蔵調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000225503