レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024/02/07
- 登録日時
- 2024/02/07 11:29
- 更新日時
- 2024/04/16 16:10
- 管理番号
- 関大総図 23B-10J
- 質問
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解決
アメリカの孤児院(養護施設)について、以下の情報を知りたい。
・対象地域:カリフォルニア州(ロサンゼルス市)
・孤児院に入れるのは何歳までの子どもなのか。
・孤児院を出るのは何歳か。
・2000年以降、できれば日本語の資料。
- 回答
-
カリフォルニア州の孤児院について、お求めの内容が日本語で書かれている論文・ 図書は見つかりませんでしたが、
州政府等の情報を確認したところ、通常「入れるのは新生児から、出るのは18歳まで」、2012年の新しい州法により、21歳まで延長することも可能となっているようです。
- 回答プロセス
-
■ キーワードについて
日本語では「孤児院」「児童養護施設」と呼ばれますが、
直訳の「orphanage」では、検索してもあまりヒットしませんでした。
この役割の施設を、英語では「group home」「foster home」「Foster care system」
「group receiving center」「children's house」などと表現するようです。
また、「グループホーム」は、日本では高齢者施設として捉えることが多く、
英語と日本語では意味するところが異なるため、
この単語による日本語の論文では該当するものが見つかりませんでした。
「年齢」や「入所 退所」といった英単語でも見つかりませんが、
「『虐待大国』アメリカの苦闘」原田綾子(2008)に「成人年齢である18歳に達すると、
フォスター・ケアから出て行くことになる。これをエイジ・アウト(Age out)という」(p.168)とあり、
「退所」に替わる英語表現として「age out」がキーワードとなることがわかりました。
■ 養護施設について
名称を「孤児院」としているところは少なく、時代のニーズによって様々な形態・種類の
「養護施設」へ移行、それぞれによって年齢設定なども異なるようです。
・児童養護, 1979, 10(1)
海外の児童養護 ニューヨークおよびカリフォルニアの児童養護 / 大久保佳彦/34~36
・児童養護, 1984, 15(3)
海外の児童養護 アメリカの児童養護 / 岩崎浩三/34~37
・東洋法学, 57(2), 81-90, 2014. 1 -東洋大学学術リポジトリ-
《国際家族法研究会報告(第48回)》アメリカにおける里親制度, 池谷和子 によると、
「アメリカにおいても日本における社会的養護と同様の制度があり(Foster care system)、
「家庭外で子ども達に対する二四時間体制の代替的な世話をする制度」と定義づけられている。
日本での社会的養護と非常に似ているが、アメリカでは日本と状況が 異なり、養育里親(47%)、
親族里親(27%)、グループホーム(6%)、養子縁組里親(4%)を合わせると、
全体の84%が里親へと預けられるために、法文献においては、この制度自体が里親制度と訳される場合も多い」(p.81)
「アメリカは連邦制の国であるので、~五〇州それぞれに個別の関連法規は存在する」(p.84)とあります。
https://toyo.repo.nii.ac.jp/records/6654【最終アクセス:2024/03/19】
■ カリフォルニアの未成年は何歳まで?
FAMILY CODE-FAM DIVISION 11.MINORS PART 1. AGE OF MAJORITY
(カリフォルニア州家族法典 第11編「未成年者」第1章「成人年齢」第6500条 未成年者)より、
カリフォルニア州の「未成年者」は「18歳未満」であることがわかります。
■ 施設は何歳から何歳まで?
郡・州政府機関や多くの養護施設サイトに情報がありました。いくつか例をあげます。
・COUNTY OF SAN MATEO 郡政府
「里子の年齢は通常、新生児から 18 歳までです。カリフォルニア州法 AB12 に基づき、
里親養育は 21 歳まで延長されました」「成功へのつながりの育成(AB 12)と呼ばれる
州法のおかげで、カリフォルニア州の里親青少年は 18 歳から 21 歳まで支援を受ける
ことができるようになりました。2012 年 1 月に発効したこの法律は~」とあります。
https://www.smcgov.org/hsa/how-old-are-children-and-how-long-do-they-stay-foster-care
【最終アクセス:2024/03/19】
・カリフォルニア州政府機関 (社会福祉局) ― 養護施設
「AB 12 は、児童福祉および保護観察制度の対象となる若者が 21 歳まで里親養護施設に留まることができるカリフォルニア州の長期里親養護 (EFC) プログラムを創設しました。青少年は延長養護施設を辞め、その後 21 歳までプログラムに再参加することを選択できます。
https://www.cdss.ca.gov/inforesources/foster-care/extended-foster-care-ab-12
【最終アクセス:2024/03/19】
・KNOW BEFORE YOU GO
「カリフォルニアでは、18 歳で里親養護施設に入っている場合、21 歳まで里親養護施設に留まるという選択肢があります。たとえ里親養護施設を辞めて気が変わったとしても、再び里親養護施設に戻る選択肢があるかもしれません」
https://knowb4ugo.org/re-entering-foster-care 【2024/03/11現在 アクセス不可】
WaybackMachine(https://archive.org/web/)にて復元可能なことを確認。
・ALTERNATIVE FAMILY SERVICES
「カリフォルニア州では、2012 年に議会法案 12 が可決され、~」
https://www.afs4kids.org/blog/living-after-foster-care-ends/
【最終アクセス:2024/03/19】
・Los Angeles Times 2017.8.12 新聞記事
Youths in foster system get care until age 21, but struggles persist
https://www.latimes.com/local/lanow/la-me-ln-extended-foster-care-20170812-story.html
【最終アクセス:2024/03/19】
■ 上記に出てくる「成功へのつながりを育む法」(AB12)について
・CALIFORNIA COURTS (ca.gov)
https://www.courts.ca.gov/7988.htm【最終アクセス:2024/03/19】
・ALLIANCE for CHILDREN’S RIGHTS
Fostering Connection to Success Act (AB12)
https://allianceforchildrensrights.org/wp-content/uploads/2020/07/AB12-Primer-Jan-2014.pdf
https://allianceforchildrensrights.org/programs/tay/
【最終アクセス:2024/03/19】
なお、年齢については延長を検討されており、今後も変更される可能性があります。
The Imprint YOUTH&FAMILY NEWS(教育問題などを専門に扱う非営利の日刊ニュース)
・2023.02.22 26歳まで延長を検討されていた記事
https://imprintnews.org/top-stories/california-lawmakers-will-weigh-extending-foster-care/238645
【最終アクセス:2024/03/19】
・2023.08.22 23歳まで自立生活プログラムを延長する記事
https://imprintnews.org/top-stories/california-weighs-more-robust-support-for-aging-out-foster-youth/243837
【最終アクセス:2024/03/19】
・California LEGISLATIVE INFORMATION 議会法案369 Foster care: independent living.
https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billVersionsCompareClient.xhtml?bill_id=202320240AB369
【最終アクセス:2024/03/19】
- 事前調査事項
- NDC
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- 社会福祉 (369)
- 参考資料
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- 原田綾子. 『「虐待大国」アメリカの苦闘』. ミネルヴァ書房, 2008. p. p.168 , ISBN 9784623050208 (当館請求記号 K*369.4*ハ, 当館資料番号 102399981)
- ジョン・E・B・マイヤーズ著 ; 庄司順一, 澁谷昌史, 伊藤嘉余子訳. アメリカの子ども保護の歴史 : 虐待防止のための改革と提言. 明石書店, 2011. (明石ライブラリー ; 147) , ISBN 9784750334882 (当館請求記号 N8*369.4*217, 当館資料番号 211194361)
- 庄司順一. フォスターケア : 里親制度と里親養育. 明石書店, 2003. (明石ライブラリー ; 55) , ISBN 4750317934 (当館請求記号 N8*369.43*5528, 当館資料番号 330004166)
- マシュー・コルトン, マーガレット・ウイリアムズ編 ; 庄司順一監訳. 世界のフォスターケア : 21の国と地域における里親制度. 明石書店, 2008. (明石ライブラリー ; 123) , ISBN 9784750328515 (当館請求記号 N8*369.43*9, 当館資料番号 210665688)
- 原田綾子. アメリカのフォスターケアの実情と課題. 養子と里親を考える会編, 2011. 新しい家族 : 養子と里親制度の研究 : studies on the adoption and the foster care 54 p. 138-143, ISSN 09142398
- 池谷和子. 《国際家族法研究会報告(第48回)》アメリカにおける里親制度. 東洋大学学術リポジトリ, 東洋法学, 57(2), 81-90, 2014.01
- 大久保佳彦. 海外の児童養護 ニューヨークおよびカリフォルニアの児童養護. 1979. 児童養護 10(1) p. 34~36, ISSN 13436694
- 岩崎浩三. 海外の児童養護 アメリカの児童養護. 1984. 児童養護 15(3) p. 34~37, ISSN 13436694
- 福島 喜代子. 海外の児童養護 アメリカにおける被虐待児童の保護・援助 -カリフォルニア州ロサンゼルス郡の実情を中心に. 1998.07. 児童養護 29(1) p. 42~46, ISSN 13436694
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桐野由美子. アメリカ 90年代のアメリカ児童福祉の動向と21世紀への展望. 資生堂社会福祉事業財団, 2000.10. 世界の児童と母性 49 p. 25~27, ISSN 02892383
https://www.shiseido-zaidan.or.jp/publication/child-wellbeing 【最終アクセス:2024/02/07】 -
マーク・E. コートニー, ドロータイワニーク. 施設で育つ世界の子どもたち. 筒井書房, 2010.11.
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB04186546 【最終アクセス:2024/02/07】
- キーワード
-
- 児童福祉施設
- 児童養護施設
- 孤児院
- 自立支援施設
- カリフォルニア州
- 成人年齢
- 年齢制限
- 入所 退所
- California
- orphanage
- foster home
- foster care
- age out
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 学部生
- 登録番号
- 1000346075