レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年08月19日
- 登録日時
- 2017/02/01 16:26
- 更新日時
- 2017/03/15 11:59
- 管理番号
- 埼熊-2016-097
- 質問
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未解決
県内自治体の地方公務員の給与について、遡及した不足分を未来に向って支払われる場合があるという記述を図書館の資料で見た記憶がある。どの資料に載っていたかを知りたい。
- 回答
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著名事件名「富士見市ヤミ給与住民訴訟控訴審判決」事件名「損害賠償請求控訴事件」(東京高等裁判所 平成3年10月15日控訴審)の判例に、「過去の給与の決定に誤りがあつた場合に、常に当該決定を遡及的に訂正しなければならないとするのは、給与に関する秩序を混乱させ、職員に不安を抱かせるおそれがあることなどにかんがみ、合理的裁量により、右遡及的訂正をすることなく、将来に向かつてのみ効果を及ぼす訂正方法をとり得ることを認めたものである。」とあったが、質問に該当する資料は見つからなかった。
参考に関連資料を紹介した。
- 回答プロセス
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1 判例データベースで検索する
《D1-Law.com 法情報総合データベース》(第一法規)を「判例体系」〈給与 & 遡及 & 支払い & 公務員 & 条例 & 義務〉&〈平成元年-〉&〈民事のみ〉で検索、56件が該当する。
著名事件名「富士見市ヤミ給与住民訴訟控訴審判決」
事件名「損害賠償請求控訴事件」(東京高等裁判所 平成3年10月15日控訴審)
「2 ところで、市の給与規則四二条は、給与条例の委任に基づき、「職員の給与の決定に誤りがあり、任命権者がこれを訂正しようとする場合において、あらかじめ市長の承認を得たときは、その訂正(昇給期間の短縮を含む。)を将来に向かつて行うことができる。」と定めている。この規定は、国家公務員の俸給の訂正について定めた人事院規則九-八の四五条の規定と同趣旨であり、過去の給与の決定に誤りがあつた場合に、常に当該決定を遡及的に訂正しなければならないとするのは、給与に関する秩序を混乱させ、職員に不安を抱かせるおそれがあることなどにかんがみ、合理的裁量により、右遡及的訂正をすることなく、将来に向かつてのみ効果を及ぼす訂正方法をとり得ることを認めたものである。」とあり。
2 法令関係雑誌を確認する
『判例時報 1414号』(判例時報社 1992.5)
p42-46「富士見市ヤミ給与住民訴訟控訴審判決」(東京高等裁判所 平成3年10月15日控訴審)の解説と判決文あり。
『判例時報 1316号』(判例時報社 1991.9)
p52-61「富士見市ヤミ給与住民訴訟控訴審判決」(浦和地方裁判所 平成1年3月20日第一審)の解説と判決文あり。
『判例タイムズ 769号』(判例タイムズ社 1992.1)
p133-138「富士見市闇給与住民訴訟控訴審判決」の解説と判決文あり。
3 富士見市給与規則42条を確認する
《富士見市例規集 内容現在 平成27年3月31日》(昭和53年4月1日規則第6号)(http://www1.g-reiki.net/fujimi/reiki_taikei/r_taikei_05.html 富士見市)
「初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則」
「(給料の訂正)第40条 職員の給料の決定に誤りがあり、任命権者がこれを訂正しようとする場合において、あらかじめ市長の承認を得たときは、その訂正を将来に向かって行うことができる。(平18規則61・旧第42条繰上・一部改正)」
4 「人事院規則九-八の四五条」について確認する
《e-Gov》(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S44/S44F04509008.html 総務省行政管理局)
「人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準)(昭和四十四年五月一日人事院規則九―八)最終改正:平成二七年三月一八日人事院規則一―六三
(俸給の訂正)
第四十五条 職員の俸給の決定に誤りがあり、各庁の長がこれを訂正しようとする場合において、あらかじめ人事院の承認を得たときは、その訂正を将来に向かつて行なうことができる。」
5 人事院規則9-8第45条の解説資料を探す
『給与実務のてびき 国家公務員 平成10年版』(人事院給与局給与制度研究会編 日本人事行政研究所 1998)
p89「(3)俸給の訂正」の項に人事院規則9-8第45条が掲載されている。注に、「俸給決定の誤りとは、それが法律、規則等に反して行われた場合のほか、裁量を誤り、法規の趣旨、目的を著しく逸脱している場合をも含むものと解されている。」とあり。
6 金銭債権の消滅時効についての解説を調べる
『逐条地方公務員法』(橋本勇著 学陽書房 2009)
p419「給与請求権の時効」
「職員の給与請求権については、労働基準法の適用があり、その権利を行使することができる時から退職手当以外のものは二年、退職手当は五年を経過したときに時効によって消滅する(法五八3、労基法一一五、最高裁昭四一・一二・八判決、判例時報四七〇号15頁)。」とあるのみ。
『地方自治職員研修 280号 1988年12月』(公職研 1988.12)
p74-75「地方自治法第236条の金銭債権の消滅時効に関する規定」の解説あり。
その他調査済資料
『地方公務員の〈新〉勤務時間・休日・休暇』(小原昇著 学陽書房 1997)
『公務員給与便覧 平成12年版』(給与関係法令研究会監修 大蔵財務協会 2000)
『地方公務員の勤務条件と労使関係質疑応答集』(地方公務員人事労務研究会編著 学陽書房 2000)
『解釈通覧地方公務員関係法』(地方公務員関係研究会編著 総合労働研究所 1988)
『自由民主 246号』(自由民主党)
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2015年8月4日。
- 事前調査事項
- NDC
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- 地方自治.地方行政 (318 9版)
- 貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション (090 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 地方公務員
- 給与
- 不足
- 遡及
- 給与-判例-日本
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000208531