レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2003/02/28
- 登録日時
- 2010/10/28 02:02
- 更新日時
- 2010/11/25 02:03
- 管理番号
- 新県図-01156
- 質問
-
解決
矢島輝夫という作家について調べている。以下の事項について知りたい。
1.矢島輝夫の追悼文が掲載された同人誌
2.官能小説を書いた頃の筆名と発表された小説及び掲載誌(単行本があるか否か)
3.もしあれば「矢島輝夫論」「矢島輝夫伝」のようなもの。
- 回答
-
1.矢島輝夫の別名は「矢切・隆之(やぎり・たかゆき)」です。(『文化人名録 著作権台帳』第26版 日本著作権協議会より)
矢切隆之の追悼文が掲載された同人誌の所在については、残念ながら確認できませんでした。
唐沢俊一のホームページ「裏モノ日記」(http://www.tobunken.com/index.html)で、「追悼文集」「追悼遺歌集」が存在することは分かりましたが、所蔵図書館や入手方法については確認できませんでした。
官能倶楽部会員に配布された冊子で、一般には流通しない資料かもしれません。
ほかに、インターネットで調べたところ、矢切隆之が所属していた同人誌『日曜官能家』第3号に「訃報・お知らせ」が掲載されています。
この同人誌は終刊となっていますが、睦月堂「日曜官能家」通販ページ(http://www.fsinet.or.jp/~futami/shop/sellbook.htm)で入手可能です。
『日曜官能家』は国立国会図書館でも未所蔵で、ほかの公立図書館で所蔵している可能性も低いと思われます。
矢切隆之の追悼文が掲載されているかどうかについて確認が必要の場合は、お手数でも直接販売元へお問い合わせください。
ほかにも、インターネットで矢切隆之に関する情報が得られます。よろしければ、検索エンジンに「矢切隆之」と入れてお調べください。
2.矢島輝夫は、「矢切隆之」という名前で官能小説を書いていました。当館で所蔵している矢切隆之の著書は次の1冊です。
* 当館所蔵資料
タイトル、発行者、出版年、当館請求記号の順です。
『なぜ「四畳半襖の下張」は名作か』三一書房 1995(庫910.2/Y16)
矢切隆之の小説(単行本)は多数出版されています。当館所蔵の『日本の小説全情報』27/90、91/93、94/96、97/99(全4冊 日外アソシエ-ツ株式会社編 日外アソシエ-ツ)で、矢切隆之の小説の一覧を御覧いただけます。
矢切隆之の著作物は、国立国会図書館ホームページ(http://www.ndl.go.jp/ 当館ホームページのリンク集にあります)でも調べることができます。
国立国会図書館では、82冊(小説以外の著書も含む)所蔵しています。書名等につきましては、お手数でも国立国会図書館のホームページで御確認くださるようお願い申し上げます。国立国会図書館のホームページのトップページより、「蔵書の検索」→「NDL-OPAC」→「一般資料の検索」の「簡易検索窓」で「著者・編者」に「矢切隆之」と入れて、「検索」をクリックすると、著書の一覧を御覧いただけます。その中で、NDC(8)またはNDC(9)が913.6とあるものが小説です。
矢切隆之の小説の多くは国立国会図書館で所蔵していますが、一部所蔵していないものもありました。『日本の小説全情報』に掲載されている矢切隆之の小説で、国立国会図書館で所蔵していないものを御紹介します。
タイトル、出版社、出版年、シリーズ名の順です。
(1)淫囚の人妻 徳間オリオン、徳間書店(発売) 1994 (オリオン文庫)
(2)美人教師淫魔の贄 グリーンドア社,勁文社(発売) 1994 (グリーンドア文庫)
(3)秘密の下着 コスミックインターナショナル 1991 (JUICY NOVEL)
(4)若妻・生贄レイプ-官能エクスプレス 東京三世社 1995
ほかに、『日本の小説全情報』より、次の資料に矢切隆之の小説「妻の恋人」が収められていることが分かりました。こちらの資料は、国立国会図書館で所蔵しています。
『悦楽の獲物』 南里征典他著 竹書房 1998 (竹書房文庫)(スーパーラブロマン選集)
なお、現在入手(購入)可能な矢切隆之の著書は、日本書籍出版協会のホームページ(http://www.books.or.jp/ 当館ホームページのリンク集にあります)で調べることが可能です。よろしければお試しください。
次に、雑誌掲載の著作について国立国会図書館雑誌記事索引で調べたところ、次の2件がヒットしました。
このほかにも、矢切隆之の著作が雑誌に掲載されている可能性はありますが、効率的な検索手段がないため、悉皆調査は省略させていただきました。御了承ください。
*雑誌記事
論題、著者、国立国会図書館請求記号、雑誌名、出版者・編者、巻号・年月日、ページの順です。
(1) 八十一歳にして五人の愛人を持つ男 矢切隆之(Z24-568) 新潮45 新潮社/新潮社[編] 18巻5号(通巻205号)(1999.5) p156-164
(2) 芥川龍之介マル秘ポルノ『田原安江』 矢切隆之(Z24-568) 新潮45 新潮社/新潮社[編] 18巻2号(通巻202号)(1999.2) p152-160
3 当館所蔵資料、各種データベースを調べましたが、残念ながら「矢島輝夫論」「矢島輝夫伝」のような資料は見つかりませんでした。雑誌記事を調べたところ、書評など関連する記事が3点ほど見つかりました。
(1)のみ当館で所蔵しております。
*雑誌記事
論題、著者、雑誌名、出版者・編者、巻号・年月日、ページの順です。
(1)対談時評-14-矢島輝夫「もうひとつの生活」、福沢英敏「哀しい男」、林京子「祭りの場」
対談・宮原昭夫;対談・黒井千次 文学界 文芸春秋社 29巻7号(1975.7) p210-229
(矢島輝夫関連記事は、p210-217)
(2)夢なき時代の夫婦の夢 矢島輝夫 婦人公論 1978.10
p156-(最終頁は不明)
(3)書評 POST BOOK REVIEW 読み手の想像力を刺激するとき、書き手も興奮の極=淫靡な拷問 矢切隆之『なぜ「四畳半襖の下張」は名作か』三一書房 *略歴(倉本四郎)
週刊ポスト 1995.4.14 p141-143
- 回答プロセス
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参考情報:
* 唐沢俊一のホームページ「裏モノ日記」
「銀行に寄り、雑用二、三済ませて家に帰ったら、官能倶楽部メンバーでこの春に亡くなった矢切隆之氏の追悼文集が送られていた。二十代から三十代、『文藝』で嘱望された純文学の徒であり、数冊の作品集も出版したあと、四十代から官能小説に転じて人気作家となった矢切氏に対し、ジュンブンガクの仲間からの風当たりは強かったらしい。すでに官能作家となって十五年以上たってなお、しかも旅先で、「吉本隆明に師事した者が官能小説を書いているとは何事だ。殺してやりたい」と言われた、という話がこの文集の中にある。矢切氏のそのときの心境を思いやることとは別に、いかにもアマチュア的なその物言いに笑ってしまう。今や文学が官能小説に学ぼうとしているこの時代に。」(1999年12月10日)
「・・・昨日、矢切隆之氏の追悼遺歌集が届く。突然の死からはや一年、感慨深し。ただ、氏のかなりプライベートな部分に関する歌(性にまつわるもの)も掲載されており、ここで歌われている対象の女性も知人だけに、かなり複雑な感想。」(2000年4月13日)
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本文学 (910 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 矢島輝夫
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 一般
- 質問者区分
- 一般利用者
- 登録番号
- 1000072931