レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010/02/24
- 登録日時
- 2010/09/11 02:00
- 更新日時
- 2010/09/21 12:35
- 管理番号
- 埼久-2010-010
- 質問
-
解決
下記の詩の出典が知りたい。
日の落葉 月のしたたり
誰がその こぼれを拾ひ/ 誰がその うるほひを/まつぶさに 味わい知れる 況して/ 日の高き階段/ 月白の匂ふ奥所を/ 脚どりもたゆまで尋め/ きわめ あくがれ行ける
- 回答
-
出典は、蒲原有明による『日のおちぼ』(「春鳥集」所収)と思われる。ただし、作者による改訂が数回ある。
冒頭1行が合致するもの。
『蒲原有明詩集』(思潮社 1976)
『蒲原有明詩集』(創元社 1962)
『春鳥集』(日本近代文学館 1968)
他多数
1連の途中まで合致するもの。
『有明詩抄』 (岩波書店 1973)
ほぼ全文合致するもの。
『蒲原有明詩集』
【参考資料】
『蒲原有明研究 新訂版』 (矢野峰人 日本図書センター 1984)
p132 「日のおちぼ」について、「此の詩は、初出以来最後に至る迄、稿を改むる事四度に及んで居る。斯くの如きは、有明の詩にあつては必ずしも珍らしい事ではない」との記述あり。
- 回答プロセス
-
『詩歌全集・作品名綜覧 下』(日外アソシエーツ 1988)
質問者のメモ書きから「日の落葉」で検索するがその言葉はない。ただし、「日のおちぼ」(春鳥集)という作品名と蒲原有明の名が掲載されている(p1467)。
蒲原有明の詩集を調査したところ、①冒頭1行が合致するもの、②1連の途中まで合致するもの、③質問者のメモとほぼ全文合致するものがあることが判明する。
① 『蒲原有明詩集 現代詩文庫1013』(思潮社 1976)
『蒲原有明詩集』(創元社 1952)
『春鳥集』(日本近代文学館 1968)
② 『有明詩抄』 (岩波書店 1973)
③ 『蒲原有明詩集』 (新潮社 1958)
p34 掲載内容は以下のとおり。
日のおちぼ、月のしたたり、--
誰(たれ)かそのこぼれを拾(ひろ)ひ、
誰かまたそのうるほひを、
まつぶさに、味ひ知れる。
況(ま)して日の高き階段(きざはし)、
月しろのにほふ奥所(おくが)を、
脚(あし)どりもたゆまで、誰か、
尋(と)め、極(きは)め、あくがれ行ける。過(す)ぎ去りて帰る期(ご)もなく、
浪うちてつづく「刹那(せつな)」は、
光をば闇に刻(きざ)みて、
音(おと)もなく滅(き)えてはゆけど、
養(やしな)ひの、これや、その露、
美稲(うましね)の種(たね)にこそあれ。
そを棄(す)てて「命(いのち)」めぐまず、
幸御魂(さきみたま)くもりてやあらむ。
(後略)
『蒲原有明研究 新訂版』 (矢野峰人 日本図書センター 1984)
p132 「日のおちぼ」について、「此の詩は、初出以来最後に至る迄、稿を改むる事四度に及んで居る。斯くの如きは、有明の詩にあつては必ずしも珍らしい事ではない」との記述あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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- 『蒲原有明詩集』(創元社 1962)
- 『春鳥集』(日本近代文学館 1968)
- 『有明詩抄』(岩波書店 1973)
- 『蒲原有明詩集』 (新潮社 1968)
- 『蒲原有明研究 新訂版 』 (矢野峰人 日本図書センター 1984)
- 『詩歌全集・作品名綜覧 下』(日外アソシエーツ 1988)
- 『蒲原有明詩集』(思潮社 1976)
- キーワード
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- 蒲原 有明(カンバラ アリアケ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000071148