レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010/03/26
- 登録日時
- 2010/09/01 02:00
- 更新日時
- 2010/10/26 14:31
- 管理番号
- 10-0A-201003-02
- 質問
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解決
拾遺和歌集掲載の「勅なれば いともかしこし 鶯の 宿はととはば いかが答えむ」の作者について調べている。
高校の古典の教科書には、「紀貫之の娘」の歌と載っているが、拾遺和歌集では「よみ人知らず」「道綱の母」などで記載されているものもある。どちらが正しいのか?
- 回答
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諸説あるようです。
「大鏡」「十訓抄」では紀貫之の娘の紀内侍(きのないし)の作としているが、「拾遺和歌集」では道綱の母と記載されている。
また、この歌は「鶯宿梅(おうしゅくばい)」という梅の木に関連する故事でも紹介されている歌でもある。
『日本国語大辞典』【鶯宿梅】の項目では、「大鏡」などに見える故事として、紀貫之の娘の紀内侍を作者として紹介している。
下記の論文がインターネット上で公開されていたので、ご案内。
・菅原利晃「紀貫之の娘「鶯宿梅」歌説話小考」『札幌国語研究』8巻(2003年7月)北海道教育大学
- 回答プロセス
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1.当館所蔵の拾遺和歌集を確認
『拾遺和歌集の研究 校本篇 伝本研究篇』(片桐 洋一著:大学堂書店,1970)では、「勅なれば~」の歌をよんだのは、道綱の母のような書き方にみえる。作者のところには紀貫之の娘の名はなし。
『新日本古典文学大系 7 拾遺和歌集』(岩波書店,1990.1) に「勅なれば~」の歌の記載(p.151)がある。
作者欄には名前がないが、注釈の欄に紀貫之女のことも書かれている。
2.インターネット情報を調査
Googleで検索→相国寺ホームページ「相国寺物語 17」http://www.shokoku-ji.or.jp/shokokuji/history/shokokuji_story/shokokuji_story_17.html (2010.8.30確認)などの記載を確認
3.商用データベース等検索
・「eレファレンスツール」人物レファレンス事典
※2010年6月より、「e-レファレンス・ライブラリー」(日外 人物・出版情報)「人物レファレンス事典plus」に変更。
道綱母、紀内侍を確認、「鶯宿梅」の故事についてはどちらもふれられていない。
・「Japan Knowledge(ジャパンナレッジ)」(事典・辞書等)
“鶯宿梅”を検索、 『日本国語大辞典』の【鶯宿梅】の項目を参照。
・「MAGAZINEPLUS」(日外アソシエーツ雑誌論文情報)
“鶯宿梅”を検索、4件の論文が見つかる。
4.国文学研究資料館ホームページを確認
国文学論文目録データベースhttp://www.nijl.ac.jp/bunseki/index.html (2010.8.30確認)
“鶯宿梅”を検索、「MAGAZINEPLUS」(日外アソシエーツ雑誌論文情報)検索結果にもあった
菅原利晃「紀貫之の娘「鶯宿梅」歌説話小考」『札幌国語研究』8巻(2003年7月)北海道教育大学 が見つかる。
5.CiNii http://ci.nii.ac.jp/ (2010.8.30確認)
菅原利晃「紀貫之の娘「鶯宿梅」歌説話小考」のPDFファイルが閲覧できることを確認。
文献によって詠者の記載が異なることも表になっていてわかりやすい。
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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- 『拾遺和歌集の研究 校本篇 伝本研究篇』片桐 洋一著:大学堂書店,1970<当館書誌ID0080125492>
- 『新日本古典文学大系 7 拾遺和歌集』岩波書店,1990.1,,ISBN 4-00-240007-7<当館書誌ID0000230273>
- 菅原利晃「紀貫之の娘「鶯宿梅」歌説話小考」『札幌国語研究』8巻(2003年7月)北海道教育大学
- 商用データベース「e-レファレンス・ライブラリー」(日外 人物・出版情報)「人物レファレンス事典plus」
- 商用データベース「Japan Knowledge(ジャパンナレッジ)」(事典・辞書等)
- 商用データベース「MAGAZINEPLUS」(日外アソシエーツ雑誌論文情報)
- キーワード
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- 紀内侍
- 道綱母
- 拾遺和歌集
- 鶯宿梅
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000070658