レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年05月26日
- 登録日時
- 2021/08/12 17:08
- 更新日時
- 2021/08/19 09:36
- 管理番号
- 0000110921
- 質問
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解決
大川周明が北一輝を「魔王」と呼び、のちに「北とこのまま行動をともにしていたのでは、自分までがその魔力にあてられて、本物の"魔物"になってしまいかねない」という意味のことを書いている本があるというが、この本を探している。
- 回答
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同内容の記述がある大川による文献として、「北一輝君を憶ふ」がある。以下に下記資料1p364から関係部分を抄出。(/は改行)
「口下手な私は、つくづく北君の話術に感嘆し、「世間に神憑りはあるが、君のは魔憑りとでも言ふものだらう」と言つた。そして後には北君を『魔王』と呼ぶことにした。」
「当時私が北君を『魔王』と呼んだのに対し、北君は私を『須佐之男』と名づけた。/それは、往年の私は、気性が激しく、罷り間違へば天上の斑駒を逆剥ぎにしかねぬ向ふ見ずであつたからの命名で、其頃北君から来た手紙の宛名にはよく『逆剥尊殿』としてあつた。北君自身は白隠和尚の「女郎の誠」の生まれながらの体得者で、名前は魔王でも実は仏魔一如の天地を融通無碍に往来したのであるが、是非善悪に囚はれ、義理人情にからまる私として見れば、若し此儘でいつまでも北君と一緒に出頭没頭して居れば、結局私は仏魔一如の魔ではなく、仏と対立する魔ものになると考へたので、或る事件の際に北君に対して「須佐之男」ぶりを発揮し、激しい喧嘩をしたのをきつかけに、思い切つて北君から遠のくことにしたのである。」
なお、「北一輝君を憶ふ」は、当館所蔵資料では資料1,2に収録。同書によると、初出は「新勢力」昭和33年(1958年)11月で、昭和28年(1953年)頃執筆、とある。(資料1p443、資料2p152)
なお、当館未所蔵の『大川周明全集 第4巻』にも当該文献は収録されており、同書は国立国会図書館デジタルコレクションに収録されている。(図書館送信資料)
また、同デジタルコレクションでインターネット公開されている資料で、この文献を収録したものは見当たらなかった。また、「新勢力」は国立国会図書館で所蔵しているが、調査時点では電子化されていなかった。
国立国会図書館デジタルコレクション:大川周明全集 第4巻(図書館送信資料、2021年8月11日最終確認)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3002904
- 回答プロセス
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完全一致「大川周明」「北一輝」「魔王」でGoogle検索。以下の文献がヒット。
井上裕「私論 北一輝」(「専修大学社会科学研究所月報」523,2007.1.20)
http://www.senshu-u.ac.jp/~off1009/PDF/smr523.pdf
p38に、「魔王」呼称の由来として、大川「北一輝君を憶ふ」が挙げられている。
NDLサーチで「北一輝君を憶ふ」を探す。
- 事前調査事項
- NDC
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- 個人伝記 (289 9版)
- 参考資料
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1.大川, 周明, 1886-1957 , 橋川, 文三, 1922-1983. 近代日本思想大系 21. 筑摩書房, 1975.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001245261-00 (p354-368) -
2.北一輝, 大川周明, 満川亀太郎 著 , 北, 一輝, 1883-1937 , 大川, 周明, 1886-1957 , 満川, 亀太郎, 1888-1936. アジア主義者たちの声 : 入門セレクション 下 (猶存社と行地社、あるいは国家改造への試み). 書肆心水, 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009342986-00 , ISBN 9784902854435 (p152-177)
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1.大川, 周明, 1886-1957 , 橋川, 文三, 1922-1983. 近代日本思想大系 21. 筑摩書房, 1975.
- キーワード
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- 大川, 周明, 1886-1957
- 北, 一輝, 1883-1937
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000303090