レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/08/10
- 登録日時
- 2023/09/01 00:30
- 更新日時
- 2023/09/21 11:55
- 管理番号
- 15366395
- 質問
-
解決
『福沢諭吉歴史散歩』加藤三明著、慶應義塾大学出版会
という本の中に、福沢諭吉の『西航記』でフランスの国立図書館についての記述があり、アンリ・ラブルーストとロベール・ド・コットが建築し、1867年に完成と書かれていますが、ロベール・ド・コットが建築したのは国立図書館のどの部分か知りたいです。
フランス国立図書館の起源は、1367年シャルル5世によって建てられた王室文庫で、フランス革命以降国立図書館になりました。リシュリュー館を母体として7つの施設で構成されているようです。また、旧国立図書館の建物もあるようです。その中でロベール・ド・コットが携わったものはどれなのでしょうか。
- 回答
-
以下のとおり調査したところ、Robert de Cotteがフランス国立図書館のリシュリュー館の建設に関わっていたことがわかりました。関連記述のあった資料を、参考までにご紹介いたします。
なお、記述があった資料1~3は全てフランス語で書かれています。Robert de Cotteが担当した部分についての記述はありましたが、その特徴についての記述は見当たりませんでした。
当館のレファレンスでは、文献の翻訳および本文を精読しての調査はできませんのでご了承ください。
【 】内は国立国会図書館請求記号です。
情報を得るために、インターネットをキーワード< Robert de Cotte >< Bibliothèque Nationale de France >で検索したところ、以下のサイトがヒットしました。
当該ウェブサイト内の情報によると、Robert de Cotteがフランス国立図書館のリシュリュー館の建築に携わったようです。
Persée(https://www.persee.fr/):当該サイトは人文科学や社会科学等の学術文献を普及させるためのポータルサイトで、一部文献の本文が掲載されています。フランスの大学や出版社と連携しながら、データを構築しているようです。
→“Les dessins du fonds Robert de Cotte de la Bibliothèque Nationale de France. Architecture et décor”(Persée)
https://www.persee.fr/doc/befar_0257-4101_1997_mon_293_1#befar_0257-4101_1997_mon_293_1_T1_0135_0000
pp.135-146「18.Paris. Bibliothèque du roi, rue de Richelieu」
Robert de Cotteが作成した、フランス王立図書館のリシュリュー館に関する図面等が掲載されています。
次に、国立国会図書館オンラインをキーワード< Richelieu >< Bibliothèque Nationale de France >等で検索したところ、以下の資料にも関連記述があることがわかりました。
資料1
Richelieu : quatre siècles d'histoire architecturale au cœur de Paris / sous la direction d'Aurélien Conraux, Anne-Sophie Haquin et Christine Mengin, Bibliothèque nationale de France, [2017]【UL521-D5】
リシュリュー館に関する歴史がまとまっています。
巻末の “INDEX”を確認すると、「Cotte, Robert de」に関する記述があることがわかります。pp.35-42にかけて、フランス国立図書館の建物の前身であった「Hôtel de Nevers」とその改築を担当したCotteに関する記述があります。特に、p.39には図面が掲載されており、Cotteが増築したと思われる北と東の棟が描かれています。
また、pp.286-289 "Nomenclature historique des espaces” では、リシュリュー館(一部前身のホテル時代)の建物の部分について記述されており、一部Cotteが担当した部分の記述があります。各説明の末尾には、その建物部位が描写されている図版番号が書かれています。
資料2
Décorations intérieures et extérieures de la Bibliothèque Nationale : ancien Palais Mazarin : architects : F. Mansard, Robert de Cotte, Henri Labrouste (1868) : architecte actuel : M. Pascal / Guérinet, [1909?]【52-91】
図24にRobert de Cotteが担当した建物の外装の写真が掲載されています。
例として、図28から42にかけて、彼が担当したと思われる窓枠の装飾の写真も掲載されています。
また、掲載されている図版の所蔵機関として「BnF(Bibliothèque nationale de France)」と書かれているものが、散見されました。
そこで、フランス国立図書館の電子図書館である「Gallica」を検索しました。
キーワード< Robert de Cotte >に< Hôtel de Nevers >や< Bibliothèque du Roi >等を掛け合わせて検索すると、以下のような資料を見出すことができます。
この他にも、参考になると思われる画像が多数ヒットします。
[Paris, Bibliothèque du Roi : premier étage du cinquième projet] : [dessin] (Gallica)
https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b6937136t
Robert de Cotteが書いたと思われる王立図書館の1階の平面図のデッサンです。一部赤く塗られている部分があります。
【調査に使用した主なデータベース、インターネット情報等】
国立国会図書館オンライン:https://ndlonline.ndl.go.jp
Gallica:https://gallica.bnf.fr/accueil/en/content/accueil-en?mode=desktop
"La cour d'honneur du site Richelieu“ (Gallica)
https://gallica.bnf.fr/blog/26112018/la-cour-dhonneur-du-site-richelieu?mode=desktop
インターネット情報等の最終確認日:2023年8月8日
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・インターネットで色々なサイトを見ました。
・西洋人物や西洋美術の事典を見ました。
・フランスの図書館が紹介されている書籍をいくつか見ました。
西洋美術のレファレンス事典を見ると、コット、ローベール・ド(Robert de Cotte)、1656年生~1735年没について、「王室第一建築家としてコットはパリに多くのホテルを建築。1713年に完成したオテル・エストレなど、そのいくつかが現存している。また、サマリテーヌのサン=ロッシュ教会の入口や王立図書館写本室、サン=ドニの修道院などがある。」と書かれており、王立図書館写本室に携わったことは分かりました。
フランス語のものなら、この人物について書かれた図書が出ているようです(ISBN: 978-1116081237)。
- NDC
-
- 西洋の建築.その他の様式の建築 (523)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000337786